内科(呼吸器・循環器・消化器・糖尿病外来・各種健診(入社・定期))
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DPP4阻害剤はコロナの予防重症化に効くのか?1月17日

Solerte SB, D'Addio F, Trevisan R, Lovati E, Rossi A, Pastore I, Dell'Acqua M, Ippolito E, Scaranna C, Bellante R, et al.: Sitagliptin Treatment at the Time of Hospitalization Was Associated With Reduced Mortality in Patients With Type 2 Diabetes and COVID-19: A Multicenter, Case-Control, Retrospective, Observational Study. Diabetes Care. 2020; 43: 2999-3006. Sep 29
2型糖尿病を有する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対して,DPP-4阻害薬が有用である可能性が感染拡大地域からの報告により示唆され,2型糖尿病患者における標準治療への追加としてsitagliptinの使用が検討されるようになった。さらにイタリア糖尿病学会は,COVID-19で入院中の2型糖尿病患者では,標準治療としてのインスリン治療に加えてDPP-4阻害薬を使用することが有益である可能性についての声明を発表した。
本研究では,COVID-19で入院した2型糖尿病患者において,標準治療へのsitagliptin追加の臨床的/生化学的アウトカムを検討した。
一次エンドポイントは,死亡/退院。
二次エンドポイントは,集中治療室への入室,人工呼吸器の使用,入院時および追跡時の体外式膜型人工肺(ECMO)の必要性,臨床的改善(退院および/または7ポイントからなる修正順序尺度スコアの低下≧2ポイント)。
症例対照研究,多施設(7施設,イタリア)症例対照研究,多施設(7施設,イタリア)
全患者が入院時,2型糖尿病に対する現状の治療(DPP-4阻害薬を含む)を中止し,インスリン(静注/皮下注)治療(標準治療)に切り替えた。目標血糖値は140~180 mg/dL(100 mg/dLに達した場合はインスリンを中断)。これに加え,sitagaliptin非投与例を年齢と性別をマッチングさせて登録し,sitagliptin投与例と比較検討した。
sitagliptinの用量はeGFRにより調整(eGFR≧45 mL/分/1.73 m2の場合は100 mg 1日1回,eGFR 30~45 mL/分/1.73 m2の場合は50 mg 1日1回)。追跡期間は30日。
2020年3月1日~4月30日にCOVID-19で入院した(肺炎を認め,環境大気呼吸下または酸素サポート施行下での酸素飽和度<95%),2型糖尿病の連続患者338例(sitagliptin投与169例,各施設で年齢と性別をマッチングさせたsitagliptin非投与の169例)。
平均年齢はsitagliptin投与患者69歳,非投与患者69歳,≧70歳の割合はそれぞれ54%,53%,男性73%,68%,糖尿病罹病期間9.2年,8.7年。併存疾患:心血管疾患40%,38%,慢性腎臓病21%,28%,高血圧74%,67%。血糖降下薬投与率:metformin 44%,39%,インスリン 22%,30%,ACE阻害薬 38%,50%,β遮断薬 33%,56%,利尿薬 38%,52%。
登録基準:ほぼ正常の肝機能(AST値およびALT値の上昇が最大4倍),eGFR≧30mL/分/1.73m2
一次エンドポイントである30日後の死亡/退院のリスクは,sitagliptin投与患者で非投与患者にくらべ,有意に低かった(ハザード比0.44[95%CI 0.29 to 0.66],p=0.0001)。死亡は,sitagliptin投与患者31例(18%),非投与患者63例(37%)と有意な差を認めた(p=0.0001)。
集中治療室への入室(HR 0.51[95%CI 0.27 to 0.95],p=0.03)および人工呼吸器の使用(HR 0.27[0.11 to 0.62],p=0.003)のリスクは,sitagliptin投与患者で非投与患者にくらべて有意に低かった。ECMOの必要性は,有意な差を認めなかった(HR 1.15[0.41 to 3.17],p=0.77)。

修正順序尺度スコアの低下≧2ポイントであったのは,sitagliptin投与患者72例(52%),非投与患者50例(34%)であり(p=0.0005),修正順序尺度スコアの全般的改善を認めたのは83例(60%), 55例(38%)(p=0.0001),30日後の退院は120例,89例であった(p=0.0008)。
30日後,炎症パラメーターであるプロカルシトニン(平均±SEM)(sitagliptin投与患者:1.4±0.5 ng/mL[p=0.01 vs. ベースライン],非投与患者:8.9±2.9 ng/mL)およびCRP(3.7±0.5 mg/L[p=0.001 vs. ベースライン],7.1±0.9 mg/L)はsitagliptin投与患者で有意に減少し,リンパ球数(×10-9/L)(1.6±0.2,1.1±0.07[p=0.03 vs. ベースライン])および酸素飽和度(96±0.7%[p=0.004 vs. ベースライン],92±1.0%)はsitagliptin投与患者で有意に増加した。また,血糖値(139±4 mg/dL[p=0.002 vs. ベースライン],170±9 mg/dL)はsitagliptin投与患者で低下した。
COVD-19で入院した2型糖尿病患者において,入院時のsitagliptin追加投与により死亡率が低下し,臨床アウトカムが改善することが示された。

大師匠 河盛隆造先生のコメント
DPP-4阻害薬が,何故COVID-19感染後の予後の改善に有効であったのか? DPP-4は炎症シグナルのメディエーターであり,サイトカインストームを拡げることが知られている。さらにSARS-COV-2が細胞内に侵入するのをDPP-4が促進するという。今回の成績は,DPP-4阻害薬が,抗炎症作用を高め,ウイルス侵入後のサイトカインストームを防止し,重症例での予後改善に効果を発揮した,と捉えられよう。
この成績から,重症化が懸念されるCOVID-19罹患例に対して,糖尿病の有無にかかわらず,DPP-4阻害薬が投与されることになるのではなかろうか。

2021-01-17 17:05:00

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万博記念公園散歩 1月17日

早咲きの梅を見に万博記念公園へまだ一部咲ですが梅をみると春が待ち遠しくなります
万博は歩くのには適しています。緑、川、花をめで、1時間30分ほどで散歩終了


2021-01-17 14:48:50

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Diabetes web symposium for pharmacists 2021 1月16日

経口GLP-1受容体作動薬のイノーベーション ノボノルディスクファーマ 開発本部長 杉井寛先生

治験経験を踏まえて考える経口GLP-1受容体作動薬の有用性 

東京大学医学部付属病院循環器内科助教 清末有宏先生  の両講演の 一部のみ記述

ペプチドを基本骨格とする経口薬における胃での吸収の課題

胃での分解 :酸性のPH 蛋白質分解酵素

消化管上皮細胞での低い透過性:大きな分子量・分子特性(親水性)

GLP-1受容体作動薬のみを経口投与してもバイアベイラビリテイは非常に低い(<0.01%)

SNAC(サルカプロザートナトリウム)はセマグルチドの消化管上皮における吸収促進作用を有する脂肪酸誘導体である

経口セマグルチド吸収のメカニズム

1胃での主要な蛋白質分解酵素であるペプシンは低PHの胃内でペプシノーゲンから自己触媒的に切断され活性化される

SNACは錠剤下の局所的なPHを高めることで、ペプシンの活性化を抑制し、セマグルチドを保護する

3さらにSNACはセマグルチドのモノマー形成を促進することで(オリゴマー→モノマー:分子量小さくする)、胃粘膜細胞 
 への吸収を促進する

SNACは細胞膜に取り込まれ、脂質膜を流動化することで、セマグルチドの吸収を促進する

5胃粘膜細胞で吸収されたセマグルチドは血管内皮に輸送され全身へ循環する

まとめ

世界初、唯一の経口GLP-1受容体作動薬であるリベルサス錠は今後の新たな治療オプションを提供できる

リザルベス(3mg7mg14mg錠がある)
               服用時には下記の影響を受けるため、投与方法の遵守重要である

               水:コップ約半分の水(120ml以下)とともに

               食事 1日のうち最初の食事または飲水の前に、空腹の状態で

               絶食時間:服用後30分は飲食および他の薬剤の経口摂取は避ける

                      分割・粉砕及びかみ砕いてはいけない

SOUL(全体9624例:日本人400例)リベルサス 心血管疾患及び/又は慢性腎臓病を有する糖尿病患者 2019年―2024

FLOW(全体3160例、日本人255例)お膳ピック皮下注射1.0mg 慢性腎臓病を有する2型糖尿病 2019年―2024

進行中

経口血糖降下薬におけるHBA1C1%低下の壁が・・・

GLP-1注射薬のみ1%以上の低下効果が

分子量と経口投与時のバイオアベイラビリティの関係

分子量大きくなるとバイオアベイラビリティは0に近ずく  セマグルチド分子量4000はほぼ0に近い

上述したSNACによりバイオアベイラビリティは向上した

GLP-1受容体作動薬の作用機序 肝臓 グルコース産生抑制

                      膵臓 インスリン分泌促進 グルカゴン分泌抑制

                      消化管 胃内容物排出促進

PIONEER試験

日本人を含む試験 PIONEER3試験を メトホルミン±suへの追加投与

シタグリプチンとの比較  26週までの変化(HbA1C

セマグルチド3mg   -0.6%  7mg   -1.0%  14mg   -1.3%

シタグリプチン100mg  -0.8

PIONEER2試験   メトホルミンへの追加投与 26週までの変化(HbA1C

エンパグリフロジン 25mg -0.9%   セマグルチド14mg   -1.3%

PIONEER10

日本人2型糖尿病を対象とした経口糖尿病薬併用、デュラグルチドとの比較試験

458例 20才以上 7%から10.5%まで 

4群で                      HbA1C変化量  目標達成率(7%未満)    体重   26週時

セマグルチド3mg                52週      -1.1%   46.1%          -0.2kg

        3mg4週  7mg      52週       -1.7%    75.0%         -1.0kg

        3mg4週 7mg4週 14mg 52週       -2.0%    82.0%         -2.2kg

デュラグルチド      0.75mg        52週      -1.5%    70.3%          0.3kg

平均BMI 25-26.3 HBA1C8.2-8.4%程度の患者

有害事象有意差なし

便秘、悪心、下痢 やや多い傾向 12-20

PIONEER

心血管アウトカム試験

2型糖尿病 3183例 50才以上で心血管疾患またはCKDを合併している

               または60才以上で心血管リスクファクターを有している

MACEの影響  経口セマグルチド14mgでプラセボより少ない傾向が

経口セマグルチドの開始投与量

3mg  11回開始 開始用量

7mg  4週間以上投与した後、11回投与  維持量

14mg 117mg4週間以上投与しても効果不十分な場合いは11回投与 治療の強化

この薬は65才以上の高齢者 腎機能障害肝機能障害の患者での使用できる

午後の夕方・・小さな小さな憩いのスペースでこの殺伐としたコロナ禍で病んだ心を癒す(小説を読みながら)・・
草花たちは寒さもコロナにも負けずたくましく育ち、癒しをくれます

2021-01-17 06:34:03

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WEB講演会 1月15日

健康寿命社会の実現のための高血圧診療とは? 久留米大学医療センター 循環器内科教授 甲斐久史先生
後半のみ
ちょっと高いから早期介入
高血圧進展だけでなく脳血管病発症抑制
EPOCH JAPAN  国内10コホートメタ解析(男女7万人)
140/90以上 すべての年齢層で脳心血管病死亡が増加
軽症高血圧(140-159/90-99)からの過剰死亡が最も多い
若年~前期高齢では120/80以上で脳血管死亡が増加
JSHは正常高値血圧を設定 130-139 and/or 80-89

若年者から前期高齢者における血圧管理が重要
種々の予後規定因子と予測生存率の相関関係
Framingham研究
高血圧(血圧高値)が若年・前期高齢期(35-68才)における将来の生存率に対する最も強い影響因子
高齢期の認知症発症
久山町研究 中年期の高血圧(140/90以上)により高齢期の認知症発症が増加

ARB/ACE阻害薬はCOVID-19のリスクなのか?
A:COVID-19感染性に影響しない
  COVID-19重症化・死亡に影響しない
 投与中→中止せず継続
 新規投与→従来の適応に応じて開始

*アンギオテンシン変換酵素2
ACE2  COVID-19に対する2面性
   悪玉説   ←        →  善玉説
               ↓
            ACE阻害薬/ARB
               ?
ACE2とは Ang2とAng1を分解・Ang1-7を産生→Mas受容体を活性化
                                ↓
                             Ang2減少 AT1受容体抑制
                             過剰に活性化したRASを抑制する調節システム
ACE2による肺保護作用
COVID-19感染によりACE2↓→Ang2分解↓         ARBがAT1活性化抑制し肺障害から守る
              ACE → Ang2産生   →Ang2↑→AT1R活性化↑→肺障害
                       善玉説
悪玉説 ARB・ACE阻害剤がACE2↑(TMERESS2)?→ウイルス取り込み増加 →増殖↑細胞障害・肺障害
RAS阻害剤は肺ACE2発現を増やすのか?
動物実験
ウイルス感染性やその影響を考慮した検討はない
肺におけるACE発現への影響
タバコ吸入モデル
 肺ACE2発現低下 ARB投与で下で低下を予防
珪肺症モデル
肺ACE2発現低下 ARB投与で下で低下を予防
肺ACE2発現を増加させる報告はない
心血管系腎臓からの類推

高血圧・心腎疾患モデル
RAS阻害薬は病的ACE2低下を予防/回復 
動物実験からは
報告をまとめると・・・
RAS阻害薬がACE2発現を正常レベルと比較して大きく増加させるとはいえないのではないか?

臓器保護作用の可能性の強調→数字の一人歩き
COVID-19感染性については総合的検討が必要
細胞膜表面ACE2発現レベル(受容体数)に加えて
ウイルス曝露量
受容体のウイルス親和性
S蛋白修飾プロテアーゼ(TMPRESS2、cathepsinなど)

ウイルス/ACE2結合後細胞内移行
デンマークの全住民 COVID-19 4480例 後ろ向きコホート研究
多変量解析 RAS阻害剤は関連しない
ACE阻害薬やARBはCOVID-19感染や重症化に影響するのか?
   現時点での答えは?
これまでの臨床データーからは
 ACE阻害剤やARBがCOVID-19感染性増大や重症化に関与するという仮説は証明されていない
 影響しないという仮説が増加している

COVID-19重症化と血管老化
COVID-19重症化のメカニズム      COVID-19重症化の危険因子
ウイルス曝露量                 高年齢                 血管老化
免疫応答異常                  肥満
サイトカインストーム              糖尿病(/脂質異常症/高血圧)
全身血管炎(内皮炎)              心疾患(冠動脈疾患・心不全)

  全身性動静脈/微小血管血栓症         COPD/慢性間質性肺炎
  重症肺炎/ARDS               高感度CRP/IL-6高値            病態
  
多臓器不全                 血栓マーカー高値(Dダイマー)
  
全身血管血栓性塞栓症            心筋マーカー高値(トロポニン)
若くて健全な血管を維持する重要性
 日常から包括的管理
 生活習慣の是正(減塩・野菜などKを含む食事・1日30分程度の運動・肥満があれば減量 節酒 禁煙)

 薬物療法               加齢 糖尿病  肥満   高血圧・脂質異常   
                         ↓        ↓
COVID-19    ↓            
免疫応答異常 血管老化(血管内皮障害 血管炎症)                
         ↓  ?                   ↓
ARDS      ←                    心血管疾患/CKD
全身性血栓                       
 COVID-19感受性亢進状態
心筋障害
多臓器不全

かかりつけ医の日常診療による包括的管理による若くて健全な血管の維持が健康寿命の鍵となる
(若年期から軽症からのもう一押しの降圧が重要)

 

2021-01-16 05:49:10

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コロナワクチン緊急対談  1月14日

コロナワクチン緊急対談 安川康介先生(ワシントン病院センター)×守屋章成先生(名古屋検疫所 権益衛生課医師)
おそらく日本に入ってくる3ワクチンは,米英認可3ワクチン・PfizerワクチンとModernaワクチンは「mRNAワクチン」
AstraZenecaワクチンは「ウイルスベクタワクチン」.
mRNAワクチンはヒトでの実用化が史上初,ウイルスベクターワクチンはヒト実用化が史上2例目という,どちらも最先端の製法と言えます.

*mRNAワクチンとは抗原をコードしたメッセンジャーRNAを投与し、ヒト体細胞に入れ、ヒト細胞が産生した抗原から抗体が産生される
*mRNAワクチンとは ヒトの細胞は,mRNAがあればタンパクを作ることができる.これを利用したのがmRNAワクチンです.ヒトの免疫が病原体に応答して記憶するときには,その病原体特有のタンパクを記憶します.ということは,ヒトの免疫が応答しやすい病原体タンパクを選んで,それをヒトの体に入れれば,免疫が付きます.しかし病原体タンパクを人工合成するのは簡単ではありません.一方で,遺伝子工学の進歩により,RNAを人工合成することは非常に容易になりました.病原体タンパクを作るようなmRNAを人工的に合成して,ヒトの体に入れれば,ヒトの細胞がmRNAに基づいて病原体タンパクをどんどん作ってくれます.作られた病原体タンパクは,単なるタンパクであって病原体そのものではありませんので,ヒトに感染症を起こすことは決してありません.しかしその病原体タンパクにヒトの免疫が反応することで,病原体に対する免疫を付けることができます.これがmRNAワクチンの原理です.「病原体のタンパクをヒト自身に作らせる」というのが,古典的なワクチンとは全く異なる新しい技術なんですね.なお参考までに古典的なワクチンに比喩するなら,病原体タンパクだけが体内で増えるという点,接種する物質もmRNAという「自己増殖機能を持たない分子」である点で,不活化ワクチンに似ていると言えるでしょう.言い換えれば,生ワクチンとは決定的に違います.
 
ウイルスベクターワクチンとは*抗原遺伝子を組み込んだヒトに無害なウイルス(ベクター)を投与、ベクターが産生した抗原から抗体を産生する
*ウイルスベクターワクチンとはウイルスベクターワクチン viral vector vaccine は,日本の行政文書では「組換えウイルスワクチン」と呼ばれることもあります.それに対して,病原体タンパクを作る遺伝子を,他の無関係なウイルスの遺伝子の中に組み込んで(無関係ウイルスの遺伝子を組み換えて),組み換え遺伝子を持つ無関係ウイルスをヒトの体内に入れるのが,ウイルスベクターワクチンです.無関係ウイルスは遺伝子を運ぶだけの役割であり,「ベクター vector」と呼ばれます。例えば日本脳炎やデング熱を媒介するやツツガムシ病やSFTSを媒介するマダニはベクターです.どんなウイルスも,生物の細胞の中に入ると自分が持つ遺伝子を細胞の中に出して,生物の細胞が持つアミノ酸や塩基をフル活用し,自分と同じ遺伝子とタンパクを複製する性質を持っています.ベクターウイルスもヒトの体内で細胞内に入り,自分が持つ遺伝子によってタンパクを作るわけですが,病原体の遺伝子がそこに組み込まれているためにヒト細胞は病原体タンパクをせっせと作ることになります.つまり,ベクターウイルスがヒト細胞に入って組み換え遺伝子を細胞内に出した時点で,mRNAワクチンと同じことが起きるのです.遺伝子をベクターウイルスに運んでもらうのがウイルスベクターワクチン、ベクターウイルスは“生きた”ウイルスとしてヒト体内に入るため,元のウイルス自体に病原性があっては困ります.当然のこととして,ヒトには一切病気を起こさないウイルスだけがベクターウイルスとして選ばれます.ヒト用ワクチンとしては,エボラウイルスに対して実用化された「rVSV-ZEBOV vaccine」が最初です・なお古典的なワクチンに比喩するのは,ちょっと難しいです.“生きた”ウイルスを接種するという点では生ワクチンのようにも思えますが,今回のAstraZenecaワクチンでは自己複製機能つまり増殖機能を欠失させた「チンパンジー・アデノウイルス」を使っているため,厳密には“生きた”ウイルスとは言えません.組み換え遺伝子をヒト細胞へ運ぶベクターとしての役割のみに注目すれば,mRNAワクチンと同じく不活化ワクチン的な要素が強いと言えるかもしれません.
私の率直な感想を述べると,「病原体発見からわずか11ヶ月で(※)有望そうな3つもワクチンが登場するとは,予想を遙かに超えていた」です.(※病原体発見は2020年1月で,どのワクチンも2020年11月までの結果を集計しています)
ワクチン開発は,古典的な製法による過去の実績では,数年から10年以上かかるのが一般的でした.
新興病原体に対する新規ワクチンは,病原体が登場するたびに開発は開始されるものの,
最近50年以内に登場したおよそ40種の新興病原体のうち実際にヒトで実用化されたワクチンは,前述のエボラワクチンのみです.
(※新型インフルエンザワクチンは,元々技術が確立されている季節性インフルエンザワクチンを応用する形なので,新興病原体への完全な新規ワクチンとはやや事情が異なります)エボラワクチンは治験でのヒト投与から効果確認まででも5年かかりました.それが,新型コロナではゼロからのスタート
からたったの1年で先進国2ヶ国が承認するところまでこぎつけました.しかもヒト実用化が初めてのmRNAワクチンが2つも含まれています.長期的な効果や未発見の副反応など課題は山積みですが,mRNAワクチンであれウイルスベクターワクチンであれ今回で実績が定まれば,再び新興病原体が登場しても遺伝子工学によって速やかにワクチンを新規開発することができます.新型コロナだけでなく未知の新興病原体への対策にも希望を切り拓いたという点で,ワクチン史に残る出来事だと言えるでしょう
安川康介先生(ワシントン病院センター)のファイザー社のmRNAワクチンを打たれた感想
12/16に1回目 三角筋に筋肉注射 打った場所の腫れと痛みが1日続いた 2回目は発熱・悪寒と翌日全身倦怠感が1日続いた 他の人の反応も様々で1日目痛み、2日目発熱、頭痛がある人も 
約4割の看護師が打つのをやめていた

治験概要―参加者
開発元  ファイザー            モデルナ            アストラゼネカ
      mRNA             mRNA             ウイルスベクター
年齢   16-89才 ≧55才42.3%    18-95才≧65才24.7%      18才以上 ≧70才3.8%
背景   基礎疾患20.9%        重症化リスク22.5%       基礎疾患=10%
      HIV、HepB、C          女性47.4%           女性=40%
      女性48.9%           白人79.5%          白人=85%
      白人 82.9%         COVID既往2,2%        医療従事者=80%
除外基準妊婦                妊婦             
      COVID既往            HIV HepB、C
      免疫抑制剤療法
      免疫抑制状態
人数   per Protocol解析            per Protocol解析            実薬2回摂取
     実薬 18198人           実薬 14134人       5807人
     プラセボ 18325人         プラセボ 14073人    プラセボ2回摂取 5829
摂種スケジュール
     2回接種                 2回接種             2回接種
     21日(3週)間隔            28日(4週)間隔       計画 4週間隔 実際4-12週以上
     筋肉注射(三角筋)                 筋肉注射             筋肉注射

保存   極低温-70度             冷蔵2-8度             冷蔵2-8度
      冷蔵5日以内             室温8時間以内        凍結禁止

効果 有症COVID7日後~          有症COVID14日後~        有症COVID14日後~
    実 8vs 162人              実11 vs 185人         低量→標準 90%
    相対リスク減少95%           相対リスク減少 94.1%      標準→標準 62.1%

            重症COVID 実1vs9人            実0人vs30人
    相対リスク減少 88.9%        相対リスク減少100%

有害事象 発熱、倦怠感、頭痛、悪寒、筋肉痛関節痛等              無症COVID14日後~ 27.3%
      実20.7vs5.1%             実88.6%vs18.8%      重篤有害事象 実84 vs プ91

重篤―         実21%vsプ24                           実234vsプ202
その他の有害事象死亡  実2 vs プ4     死亡 実2vsプ3
治験でわかったこと
16 or 18歳以上の成人において、
 mRNA ワクチンは2回接種の7or14日以降に有症COVID-19を約95%予防する
*平均追跡期間はファイザー=45日間 モデルナ社=85日
ウイルスベクタワクチンは2回目接種14日後以降の有症COVID-19を約60%(標準―標準)or90%(低量―標準)予防する*しかし無症COVID-19は予防しなかった
いずれのワクチンも重症COVID-19を有意に予防する
発熱、疼痛等の一般的なワクチン由来反応は比較的多く出現するが、重篤なものは観察されなかった
接種本人は接種直後にはCOVID-19から高確率で守られる

治験でまだわからないこと
16or18歳未満の小児での効果は不明
妊婦、免疫抑制下での効果は不明
高齢者に限定した真の効果は不明
mRNAワクチンが無症COVID-19を予防するかは不明
いずれのワクチンも他人への感染性を減少させるか
=接種者を起点にしたクラスターを予防するか
=集団免疫が得られるかは不明
接種後数か月以降の長期でも予防するかは不明
プラセボ群に長期間実薬を接種しないことの倫理性が問われるため、長期間観察が不可能になる恐れがある

緊急認可後の報告
アナフィラキシーショック 米国2020/12/14~23の10日間で1893360本接種し21件の報告
=11.1件/100万接種   (インフルエンザの約10倍?)
21件中71%は接種後15分以内に発生

接種後3日目に血小板減少性紫斑病 *接種との関連は不明:検証中
様々なシナリオ
楽観的 ワクチンにより感染爆発国が、やがては世界的に、コントロールに向かう
ハードル 充分な人口にいきわたるまでに数年はかかる可能性
      高所得国とそれ以外で普及に大きな時間差が生じる可能性
      感染者数が少ない国、地域ではワクチンの効果が実感できない可能性
悲観的 数か月~1年で予防効果が減弱、消失する可能性
      変異ウイルス株に対する予防効果が減弱・消失する可能性
      重篤な有害事象、COVID重症化(抗体依存性免疫増強:ADE)が今後報告される可能性
      有害事象により広範なワクチン忌避が生じる可能性
      国際渡航その他の場面で接種を事実上強要される可能性
      接種による油断で感染予防策を無視する市民が増える可能性
日本でのワクチン接種
米英ワクチン入手
正式契約済み モデルナ社 計5000万ドーズ アストラゼネカ 計1億2000万ドーズ
協議合意済み ファイザー計1億2000万ドーズ
予防接種法を改正済み 令和2年法律75号
臨時接種として国の費用負担による実施
実施主体は各自治体
他の定期接種に課されている「うける努力義務」を免除

アメリカ 
1高齢者施設・医療従事者 次に75歳以上 警察官などの公的機関 次に65-74歳 64歳未満基礎疾患持つ人
医療関係者が迫られる判断
自分は接種を受けるべきか?
自分が責任を持つ/関係する集団に対して接種を推奨すべきか否か? 自院など
接種を迷う個人からの相談にどう回答すべきか?
上記を判断するための医学的根拠をもちえるか

まとめ     
Pfizer と Moderna のは,のCOVID発症に対する予防効果(VE)が約95%あるAstraZeneca のウイルスベクターワクチンは,18歳以上の成人のCOVID発症に対する予防効果(VE)が約70-90%ある3ワクチンとも,接種を大いにためらうような重篤な有害事象は今のところ明らかではない他者への感染予防効果,すなわち集団免疫が獲得できるかは,未だ不明である 少なくとも,接種を受けた本人のメリットは明らかである               COVID発症による社会への影響が大きい職種と,COVID発症で重症化や生命の危険がある人々は,特に優先的に接種すべきである重篤有害事象抗体依存性免疫増強ADEが将来的に報告される可能性には十分注意を払わねばならない現状の日本においては,ワクチンが流行を制御すると実感することは難しいかもしれないワクチンの普及には,ロジスティクスや社会からの信頼など,克服すべき課題が多数あるワクチンにまつわる負の側面にも目を向け,その軽減や解決にも努めるべきであるワクチン普及が進んでも,社会全体での感染予防策の継続徹底は必須である

2021-01-15 08:54:33

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WEB講演会 1月13日

糖尿病における動脈硬化促進因子とその管理―朝食のすすめー
順天堂大学大学院医学研究科 代謝内分泌内科学 准教授 三田智也先生

肥満2型糖尿病患者へのカロリー制限、運動量増加による心血管イベント発症の抑制効果(Look Ahead試験)
肥満2型糖尿病患者 5145名
生活介入群 2570名 7%体重減少目標           対象群 2575名
カロリー制限(1200-1800kcal、総エネルギー     食事、運動、糖尿病教育などのサポートは行った
のうち脂肪は30%以内)

運動療法(175分/週 中程度の運動)
平均年齢 59.4才                     58.9才
女性 59.4%                       59.7%
HbA1C 7.2%                      7.3%
BP 128/70                        129/70
LDL 112                         112
HDL 43.4                         43.5
TG 155                         154

            平均9.4年の観察期間
生活介入群 6%体重減少 HbA1C 7.26→7.33%
対象群 3.5%体重減少 7.32→7.44
心血管イベントの発症抑制(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳梗塞、狭心症による入院)にはつながらなかった

カロリー制限、運動量増加では2型糖尿病患者の心血管イベントは抑制できないのか?
食事のパターンを考慮することが重要では?
心血管イベントリスクが高い7447人(既往なし、2型糖尿病50%弱)において地中海食ベース(野菜、豆類、果物、シリアル、オリーブオイル、魚介類など)の食事パターンは低脂肪食に比較して心血管イベントの発症を約30%抑制した(NEJM2013)
→食事運動以外の生活習慣も重要では?
生活習慣と心血管イベントの関連性に関する調査
外来通院中の心血管イベント既往のない736名の2型糖尿病患者を対象に質問紙・アンケートなどを用いて生活習慣の調査を行い、生活習慣と心血管イベントや悪性腫瘍の発症などの関連性を8年間追跡調査する
0年 2年 5年にbaPWVを追加検査

目的 5年間におけるbaPWVの経時変化と生活習慣の関連性に関して探索的に検討する
質問紙による調査項目
MEQ 朝方―夜型
PSQI 睡眠の質
BDI―2 うつ状態
BDHQ 食事内容
IAPQ 身体活動量
日本語版が作成されている簡便・信頼性・妥当性のある質問検査表である

生活習慣
生活リズム 睡眠の質 睡眠時間 うつ状態 食事カロリー 身体活動量 アルコール摂取量 喫煙の有無
朝食の有無 夕食の時間 日中の眠気 シフトワーカーなど

結果 baPWVの経時変化で有意な差があったのは朝食の回数
夜型・年齢が若い・睡眠の質が悪い・夕食が遅い・アルコール量が多い、夕食の外食および中食が多い
血管硬化の持続の傾向があった

朝食が       4回/週未満     4-7回/週        毎日
baPWVの経時変化 1640→1770     1600→1632     1532→1653
朝食の欠食がどのように動脈硬化に悪影響を与えているのか?
朝食の欠食が多い人では、他の悪い習慣が集積している
朝食を欠食すること自体が直接悪影響を与える

朝食を欠食する状況 20才以上成人の調査
   20-29才 30-39  40-49  50-59  60-69  70才以上
男性 30.6%   23.3  25.8   19.4   7.6    3.4
女性 23.6%   15.1  15.3   11.4   8.1    3.7
一般集団において朝食の回数が減少すると心血管イベント発症が増加する(メタ解析 16研究より)
日本人一般集団において朝食の回数が減少すると脳卒中の発症が増加する(メタ解析 6研究より)
2型糖尿病患者が朝食を抜くと昼食以降のグルコース応答性のインスリン分泌が低下し、食後高血糖が増悪する
朝食抜き
グルコース 昼食後 夕食後有意に高くなる
インスリン分泌の反応 昼食後 夕食後有意に低くなる
GLP-1に反応も 昼食後 夕食後有意に低くなる
FFA 朝有意に高くなり 昼夜も下がりきらない

グルカゴン 昼食後 夕食後有意に高くなる
生物リズムを制御する体内時計システム
光 環境因子  明暗サイクル・摂食タイミング
   ↓ 入力系
  体内時計 → 出力系 睡眠覚醒 メラトニン・コルチゾール分泌
           体温 内分泌代謝系
            精神機能系の活動
*体内時計は脳視床下部。視交叉上核に存在し約1日24時間を周期とした生体内リズムを制御する
2型糖尿病患者が朝食を抜くと、食後の時計遺伝子の発現が低下し、血糖、インスリン濃度、GLP-1濃度に悪影響を及ぼす可能性がある
Bmal1(脂肪分化の亢進に関る インスリン分泌に関る)↓
Per2 肝糖産生に関る ↓
Rora インスリン分泌に関る ↓

AMPKの活性低下 個体レベルにおいて明期に低く、暗期に高いサーカディアンリズムを示す 骨格筋のグルK-ス取り込み
に関る

肥満2型糖尿病患者では高カロリーの夕食に比較して高カロリーの朝食は食後血糖を改善する
1群朝食 705Kcal 昼食 603kcal 夕食 205Kcal
2群    205Kcal   603    705Kcal
1群で各食後で2より有意に食後のグルコース濃度低い

インスリン治療中の2型糖尿病患者における6回食と3会食の体重減少・代謝に与える影響の比較
  朝食     昼食     夕食

6回 300Kcal 150  375  150   375
3回 700      600      200

6回食より3回食(朝食をしっかりとる)の方が体重低下、HbA1Cの改善、食欲抑制をもたらす
(3か月 5kg vs 0kg)

1日の目標血糖
180mg以上の割合が 40%→33%(6回)vs 37%→20%
70-180       58%→63%       59%→75%

6回食より3回食の方が時計遺伝子を活性化する
BMAL1 インスリン分泌に関る
CRY1・PER2 肝糖産生に関る

朝食抜きのデメリット
1セカンドミール効果:最初の食事後の血糖増加が次の食事のインスリン分泌を増加させる
           インスリンの初期分泌はβ細胞の記憶により調整されている
2体内時計(特に末梢)は乱れる
3遊離脂肪酸の高値持続により、骨格筋のグルコース取り込み低下、肝臓のインスリン抵抗性を引き起こす
4グレリンの分泌抑制低下により、食欲亢進し、体重増加
5絶食により視床下部―下垂体―副腎系の活性化が起こり、コルチゾールの分泌亢進し、耐糖能悪化

まとめ
2型糖尿病患者において朝食の欠食は、他の生活習慣や他の動脈硬化リスク因子を調整しても血管硬化を促進させる因子

 

2021-01-14 05:35:11

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Web講演会 1月12日

なぜ、これからの高血圧診療でMRブロッカーがより重要になるのか?
琉球大学病院 血液浄化療法部 診療教授・部長 古波蔵健太郎先生

本日のKey Words  塩 ・肥満
肥満者の割合の年次推移(男女別) BMI≧25の比率
      男   女
正和55年  20.6%  18.4%
平成29年  30.7%  19.7%

Lancet2009年 METS+BMI 平均26.8
メタボリック症候群の患者は減塩による降圧が期待できる・塩分とりすぎで血圧が上がりやすい
1肥満、メタボリック症候群で塩が溜まりやすいのはなぜか
2肥満、メタボリック症候群にみられる高血圧は治療が難しい?
3肥満、メタボリック症候群にみられるCKDの治療はは難しい?

インスリンは尿細管各セグメントでNa再吸収を亢進させる
近位尿細管 NHE3 ヘンレループ NKCC2 遠位尿細管 NCC 集合管 Pendrin
メタボリックシンドロームのリスク因子と血漿中レニン・アルドステロンの関連
因子数が増えると血漿中レニン・アルドステロン濃度も上昇する
脂肪細胞由来のアデイポカインがアルドステロン分泌を刺激する
脂肪細胞
→アデイポカイン(アルドステリン刺激因子)→副腎のアルドステロン産生↑ →腎臓MR活性亢進→塩分感受性高血圧
                                   →腎障害

腎皮質集合管細胞におけるMR活性化を介したMR関連高血の機序
アルドステロン依存性
尿細管                      皮質集合管細胞       血管
                                                      3Na →
                    アルドステロン    NaKATPチャネル
           Na → ↓                       ↑               ← 2K
ENaC 活性化 ←MR →活性化                   高血圧
         ↓         水・Na貯留
Kチャネル← 活性化          電解質異常
    Kチャネル
肥満、メタボリック症候群
→高インスリン血症:近位尿細管 NHE3 ヘンレループ NKCC2遠位尿細管 NCC集合管 Pendrin Na再吸収を
→アルドステロン→MR活性化
→炎症 酸化ストレス 塩→RAC1転写因子活性化→MR活性化

結果 Na再吸収亢進→食塩感受性高血圧
沖縄の治療中高血圧患者の現況 令和1年
BMI25以上 53%     BMI25未満47%  130以上 62% 140以上36%に
治療抵抗性高血圧
定義 利尿剤を含む3剤以上の降圧薬で>130/80 and/or 4剤以上の降圧剤を使用中
要因
生活習慣の問題:食塩過剰摂取 肥満 飲酒
2次性高血圧 原発性アルドステロン症 20%
睡眠時無呼吸症候群
腎血管性高血圧
褐色細胞腫
腎性高血圧

その他 服薬アドヒアランス、降圧剤の不適切な使用 白衣現象、ストレスなど
 
原発性アルドステロン症
両側副腎過形成IHAに肥満、メタボ型脂質代謝異常が関連している可能性がある

BMI 1.078
BMI25以上 1.665
TC 1.003
TG 1.005
LDL 1.006

コントロール不十分な本態性高血圧に対するMRブロッカーの追加投与による降圧効果
BMI 30.6              29.4      スピノロラクトンでの検討
SBP 166 ↓23.2           169↓21.9
DBP 94 ↓12.5             95 ↓9.5
2剤以上の降圧薬        平均2.9剤の降圧薬 患者1411例の検討
患者340例の検討

エサキセレノンのプロファイル
経口、非ステロイド型 選択的ミネラル受容体ブロッカー
生物学的利用率が高く,血中曝露の個体間差が少ない」,「酸化,グルクロン酸抱合,加水分解など複数の代謝経路により血中から消失するため薬物相互作用を受けにくい」,「主に肝臓で代謝され,未変化体の尿中排泄はわずかなため高齢者や中等度の腎機能障害患者の血中曝露は非高齢者や正常腎機能患者と同様である」といった薬物動態的特徴を有し,ヒトでの半減期は約19時間

国内第三相試験,
        収縮期血圧    拡張期血圧
2.5mg    13.7低下       6.8低下
5mg      16.9低下      8.4低下
*エプレレノン50mg
  12.1低下 6.1低下

腎硬化症による透析導入が増えてきて糖尿病性腎症につぐ原因の2位に
両者とも肥満が関連している
DMでどんな患者が腎不全リスクが高いのか? Lancet 2018
スエーデン 新規DM 8980→1自己免疫2インスリン欠乏3インスリン抵抗性 4軽度、肥満に関連5軽度加齢に関連
CKD発症・末期腎不全はインスリン抵抗性群で有意に多い
沖縄は糖尿病による透析導入全国ワースト1位(肥満度も高い)
肥満→インスリン抵抗性→糸球体高血圧→アルブミン尿↑(腎移植ドナー54例で検討)
肥満度が高いと糸球体血圧が高い 正相関
糸球体血圧が高いとインスリン抵抗性が高い 正相関
アルブミン尿が多いと糸球体血圧が高い 正相関
アルブミン尿が多いとインスリン抵抗性が高い 正相関

病態によって高血圧による腎障害の起こりやすさが異なる
ある病態では血圧による腎障害の感受性が亢進している CKD 血圧140以上で急激に腎障害が進む
良性腎硬化症 200以上になると腎障害が急激に?
血圧上昇時の糸球体血圧の違い
自己調節機能正常
血圧上昇→輸入細動脈  糸球体  輸出細動脈   輸入細動脈を収縮させて糸球体高血圧を防ぐ
           Tubulus
自己調節機能破綻
血圧上昇→輸入細動脈  糸球体 輸出細動脈 輸入細動脈を収縮× →糸球体高血圧→糸球体硬化
            Tubulus Tubulusより蛋白尿
アフリカ系米国人高血圧性腎硬化症を対象としたAASK研究
アルブミン尿と複合エンドポイントの影響 UP/CR>0.22vsUP/CR<0.22において有意にアルブミン尿が多い方が↑
腎硬化症において肥満が結節依存性腎障害の感受性亢進に関連
腎生検例 日本の多施設共同研究(AMED研究)
→肥満者ではわずかな血圧の上昇でも腎障害が進行しやすい
BMI25以上では尿蛋白と血圧上昇が正相関した
BMI25未満では相関しない

単離輸入細動脈微小灌流法での検討
アルドステロンは急性に直接的に輸出入細動脈を収縮させる
アルドステロンの急性輸出入細動脈を収縮作用は
スピノロラクトンでは抑制されない

細胞内に入らなくてもみられる(非ゲノム作用)
CKDにおけるMRブロッカーの蛋白減少作用は?
メタ解析
RAS阻害剤へのスピノロラクトン追加による尿蛋白減少作用は多くの研究から証明されている

2型糖尿病に対するスピノロラクトンの作用
尿中アルブミン・収縮期血圧・拡張期血圧・eGFRが3か月で低下より糸球体高血圧改善を介した作用が?
MRブロッカーは糸球体高血圧を是正するのか?
アルドステロンはマクラデンサ細胞に存在するMRを介してTGFを減弱する
アルドステロンはTGFを減弱させ輸入細動脈は開いたままMRブロッカー:エプレレノン投与でTGFが回復(入口しまる)
Connecting TGF(体全体の体液バランスに合わせて調整するシステム ENaCが輸入細動脈を広げる
ENaC阻害剤は輸入細動脈を広げない≒ MR阻害剤はここを抑制する
TGFとENaCをMRブロッカーが抑制して糸球体高血圧を是正する(仮定)

エサキセレノンの国内第三相試験,
アルブミン尿を有する2型糖尿病を合併した高血圧
血圧を下げ、尿中アルブミンを改善した
まとめ
塩と肥満がMRを活性化し
食塩感受性高血圧+自己調節機序破綻を介して糸球体高血圧をきたす可能性がある(仮説)

    肥満 → Rac1 ←塩
       MR活性化

高インスリン血症 ↓
         ↓ MRブロッカー
食塩感受性高血圧 ENaC↑ ←
↓ →     自己調節機序の破綻
      → 糸球体高血圧
 
まとめ
日本で増加傾向にある肥満・メタボリック症候群に合併した患者は
1高インスリン血症とMR作用亢進により尿細管レベルでNa再吸収が亢進することで塩がたまりやすい
2塩がたまりやすいので血圧を下げるのが難しい可能性がある
3食塩感受性高血圧+輸入細動脈の不適切な拡張
→糸球体高血圧を呈しやすい→腎障害進展のハイリスク患者

  治療抵抗性?            イナーシャ?
             ↓
  これからの高血圧診療にはMRブロッカーが欠かせない

 

2021-01-13 08:44:05

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1月12日 新型コロナここがすごい

コロナのせいにしてみよう。シャムズの話』の著者・國松淳和先生のコラムを・・・1月12日朝
*シャムズ(CIAMS):COVID-19/Coronavirus-induced altered mental status の頭文字をとった造語で、「新型コロナウイルスが誘発する精神状態の変化」を意味する。

「コロナ、お前すげーわ」現場医師が見た5つの ”新型コロナ、ここがすごい” 
國松淳和 日本内科学会総合内科専門医, 日本リウマチ学会リウマチ専門医
1年前にまず感じた印象と今とで、新型コロナへの考え方も変わってきたのも確かです。今回の記事では私・國松が「コロナ、お前すげーわ」という点について、エビデンス分析というより診療現場感満載にまとめてみました。「コロナ、お前すげーわ」
その1 『潜伏期間がほどよく長い』 潜伏期間というのは、ウイルスが体に侵入してから症状が出るまでの期間とお考えください。SARSコロナウイルス2(以下、新型コロナ)感染症では、潜伏期間は 1 〜14 日間とされていますが、5日前後くらいが多いようです。これは現場での感覚と合致しています。「前日1日外出してて冷えたので、そこでうつりました」と主張される患者さんがたまにおられますが、多分違いますね。ところで皆さん、3日前の晩ご飯は何でしたか? と突然聞かれて即答できる人はおりますか? いないですね。私など昨日のお昼ですら何を食べたか即座に言えません。新型コロナ感染症(Covid-19と呼びます)では、発症するざっくり3〜7日前にはすでにウイルスの侵入が完成していることになっていまして、逆に言えば、7日間はまだ元気にしていたということになります。新型コロナ感染症が、「リスク行動 →即日・翌日とかにすぐ発症」のような感染症であれば、けっこう意外と皆さん気をつけるんですよ。わかりやすいから。この感覚は臨床医だけのものでしたらすみません。でも何となく分かりますよね?
その2『最初はまさしく”ただのかぜ”にしかみえない』その2はその1と関連します。ハイ出ました、”コロナはただのかぜ”。このコロナ禍では「コロナはただのかぜか問題」が度々論争になりましたが、今回はそれではありません。多くの新型コロナの病型(症状のパターン)において、初期症状はまさしくただのかぜ”にしかみえないことが多いんです。いや、これ本当です(あくまで初期です)。すでにかかった方で、「いやそんなことない!コロナやばかった!」とおっしゃる人もいるかもしれませんが、それはそれでOKです。ただ、世の中にはネットなどで声をあげない人もいるんです。それは「割とあっさり治った人」たちだと私は思います。あっさり治って終わったのに、ネット上でものを言う必要ってありますかね。・・・脱線しました。戻ります。初期が”ただのかぜ”にしかみえないということの恐ろしさ、わかりますでしょうか。まず医療者に関してです。初期が”ただのかぜ”にしかみえなかったらどうなるでしょう。油断します。なんせ今までずっと見続けてきたかぜそのものですから。次に患者さんです。症状が軽く感じたり「ああ、かぜだな」と思えば、まず様子をみると思いますが(ここまではいいです)、まさに軽いがゆえに、休息したり出勤・登校を控えることなく本来すべきことをしてしまいます。お仕事を持たない人でも、たとえば親の介護で施設に行って親に面会しておむつを置きにいくとかなども、症状が軽ければできてしまいます。そういえばこの1年、あれほど多かった「高齢者施設に入所中の高齢者の肺炎」が減りました。ああ、そういうことだったんですね(※筆者の感想です)。
その3『全員が重症化するわけではない』その3はこれ、すぐに理解できますか? 「全員が重症化するわけではない」なら、そりゃいいじゃないと思われるかもしれません。そうではないのです。逆に考えてください。もし仮に「新型コロナ感染→ほぼ全員が重症化・9割が死亡」とかいうウイルスだったらどうします? 完全に東京事変です。知事や厚生労働大臣になったつもりで考えてください。とんでもなく厳格な隔離と封鎖をして、ウイルス拡大を鎮圧するはずです。新型コロナではそうではないです。2020年12月16日時点での統計によれば、死亡率は60代で1.4%, 70代で4.8%, 80代以上で12.0%です。私たち医療者からすると十分恐ろしい死亡率ですが、例えば30代以下の死亡数が極めて低いことからすると、日頃元気に過ごしている世代ほど「特にとんでもなく恐ろしいウイルス」とは考えないかもしれません。しかもウイルスが蔓延した今、周りの身近な人が新型コロナにかかってもあっさり復帰している様子などを見てしまうとよりそう思うかもしれません。もっと言うと、いくら中高年でも全員が「感染=重症化」というわけでもないというところが、私などは「コロナすごいなお前」と思ってしまいます。多くの人は大丈夫にさせておいて、ロシアンルーレット的に重症化させ、そして重症化した人を確実に集中治療室に追いやり、結果として重く医療を圧迫してくるきわめて狡猾なウイルスなのです。
その4『高齢になればなるほど死亡率が高い』あれ。これはその3と同じではと思われましたよね。その4は少し意図が違います。先ほど若年者は死亡率が低いと申し上げました。新型コロナの恐ろしいところは、こういう若い元気な人を運び屋にするところです。もし子供や若い人を重点的にアタックするウイルスなのであれば、それなりに気をつけるので、若い人も行動を抑制しますし、中高齢の方も子供や若者に近づかないように気をつけることができます。しかし新型コロナは、子供や若い人を運び屋に仕立て上げることができるウイルスなのです。子供はかわいいですもんね。じじばばは容易に近づきます。
その5 『多くの人の、”命”ではなく”距離や会話”を奪うウイルス』はい、最後は皆さんの制限された行動に関することです。すでにわかり切っていて、言うまでもないことかもしれません。たとえばこういうコロナ禍のように社会が不安定になったとき、皆さんならどうしますか? たとえば震災などの大災害でもいいでしょう。なんか、励まし合いません?いや、そういう優等生みたいな話じゃなくて、コミュニケーションを多く取ろうとすると思うんですよ。あるいは、人は誰でも嫌なことや辛いことがあれば、人と会って顔を見て安心して、ゆっくりお話したいからお食事やお酒を飲みながら過ごしたりしますね。新型コロナの野郎(失礼)の対策に関しては、これを控えろというわけです。でもそれにはわけがあって、「飛沫(ひまつ)」を介して感染しやすいことがわかっているからです。マスクをしながら食べたり飲んだりは、できませんよね。できる人おられますか? 食べたり飲んだりするときは、マスクを必ず外しているのです。誰でも。だから、そういう場に行くことを避けろ行ってもあまりしゃべるな大人数はやめろという奇妙なお願いをせざるを得なくなっているのです。 以上、「コロナ、お前すげーわ」的な事柄をまとめてみました。コロナ、お前は本当にすごいです。参りました。ここまでとは正直思いませんでした。私は(最初の頃)ずっと思い違いをしていました。一般の皆さん、ならびに新型コロナウイルスの皆さん、すみませんでした。1年前、少しでも大丈夫そうなことを言ってすみませんでした。でも、専門家(私は内科臨床医という専門家)というのは、心中では断言口調では考えていないものです。医療現場がとても不確かなことは、コロナ前のずっと前から少なくとも臨床医は知り抜いていましたから、状況に応じて考えを変えるということはずっといつもしてきたつもりです。1月11日現在、新型コロナの脅威は医療現場のとにかくあらゆるリソースを逼迫しています。もう私たちがもつかどうかは正直わかりませんが、もうコロナの野郎とは呼ばずに、類まれな狡猾さで私たちを本気にさせた病原体としてリスペクトするくらいの気持ちでやっていこうと思います。

 

2021-01-12 09:06:20

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小さな庭で園芸療法 1月11日

殺風景な家の片隅の小さな庭で園芸を開始することに・・
まずは左コーナー^にミニ花壇を作成するため・・朝9時にコーナンへ 
家にあった苔玉も配置して左隅のガーデニング終了・・これからこの庭でミニガーデニングを作成し
で免疫力・精神緑UPへ 「全ての人は自然や生き物との結びつきを求める」というバイオフィリア(生命愛)

 →→ 

2021-01-11 14:00:47

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園芸療法 1月10日

園芸療法の最新知見と医療福祉分野での実践
兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科准教授 豊田正博先生 月間保団連雑誌より(一部抜粋)
コロナ禍で外出自粛、店舗営業規制など多くの人に慢性的なストレスをもたらし続けている
園芸療法が注目されていたので・・紹介

園芸療法とは人が心地よいと感じる緑の景観、食物・園芸活動がストレスを軽減するという特徴を活用して、継続的に自然や植物とかかわる生活を通し、精神機能・身体機能・社会性の回復や維持を目指す療法である
ペルシャ(現イラン)では紀元前500年頃には庭園に噴水や池を取り入れて五感で楽しむ庭につくった・・当時から人が植物をめでていたことが分かる
米国では第一次、第二次世界大戦における負傷兵の心身の回復に作業療法の一種目である園芸が有効であった
園芸療法の根底の考え方にはKellert・wilsonが提唱した「全ての人は自然や生き物との結びつきを求める」というバイオフィリア(生命愛)仮説があり、その根拠となる研究がバイオフィリア仮説文集に集約されている。

緑の景観に関する効用
1ストレス回復:緑を見てる人は脳がリラックスするα波が多く発生する。
        健常者にストレスフルなビデオを見せた後、樹木や散在する自然景観のビデオを見せると血圧や心拍数が3
        分で低下し、その状態は9分続いた
2ビタミンD生成 日光を浴びることは1日に必要なビタミンD摂取量をえる時間(7月で約3分、12月で約22分との報告)
         こうした時間が自然にとれる
3高齢者の睡眠の質改善:屋外で過ごす時間が増えると睡眠の質が向上した報告が
4痛みの軽減:胆嚢手術後 窓から木々が見える病室にいた人は、そうでない人より(レンガなど)退院までの日数が短かっ 
       た。複数の感覚が関与する気晴らしは、激しい痛みの軽減に効果的である
5注意機能の回復:自発的注意からの回復に役立つ要素に「解放」「広がり」「魅了」「適合性」がありこれらの要素をすべ  
         て満たす景観が有効であるとの報告が
6対応困難行動や転倒リスクの軽減:認知施設でガーデン設置前後でガーデンを用いた群は転倒回数と転倒重症度が
         30%低く、抗精神病薬が投与も減少した報告が
7コメデカルの心理と行動: 勤務時長時間自然を見た看護師はストレスが低く、機敏性が高かった 報告が
食物による効用
1視覚刺激による効果:精神 活動時に脳に現れるβ波が視覚野のある後頭部で少ないが、ソメイヨシノ(ピンク色)をみると
 β波の発生が後頭部、前頭部、頭頂部で多く、高揚感が高まる
2嗅覚障害による効果 :ラべンダーの香りは副交感神経を刺激し、体温、血圧を低下させ、脳波でα波が増加してリラクゼ
           ーション効果が高まる
           台湾ヒノキの油は収縮期血圧の低下と脳活動の鎮静化をもたらす
           65才以上のアルツハイマー型認知症に対して
           午前中、ローズマリー・レモン、夜間にラベンダーとスイートオレンジの芳香をかがせると
           認知機能検査のTDAS得点が改善した
食物からの感染の予防:花や鉢植え食物との接触は、免疫応答性のある患者の領域で制限する必要はない
           手袋を外した後の手指衛生を実施する
ガーデニングの効果
1認知症リスク軽減 :
2生理的ストレス軽減:
高齢者施設で屋外ガーデニングがコルチゾル濃度が低下した
3注意機能改善と自信の回復
4前頭前野領域の賦活:種まきや水やりは同じ動作を繰り返す(通常同じ動作を繰り返すと前頭葉の血流低下する)
           血流がていかしない。目と手の協調動作が正確でないと適切な作業にならない
           前頭極内則(外的刺激への注意へに関与)前頭極外則(内的思考に関与)の働きが必要になる

5ガーデニングは低、中強度の運動が多い
6QOL向上と介護負担度軽減
創造活動がもたらす効果
花のお弁当箱作りを行った結果(介護老人保健施設のアルツハイマー型認知症で)
活動後ストレスマーカーの一つである唾液中クロモグラニアン濃度が低下したことを報告している

 

2021-01-11 12:01:37

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