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「にんげんだもの」などの作品で知られる書家で詩人の相田みつをさんが、ことしで生誕100年を迎えられました。独特の書体で自分自身や人の命などをテーマにした作品が好きでよく見ていました
そこで11のお気に入りの言葉を・・・
1うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる うばい合えば憎しみ わけ合えば安らぎ
2くるしいことだってあるさ 人間だもの まようときだってあるさ 凡夫だもの
あやまちだってあるよ おれだも つまづいたり ころんだり したおかげで
物事を深く考えるようになりました
あやまちや失敗をくり返したおかげで
少しずつだが 人のやることを 暖かい眼で 見られるようになりました
3.ぐちをこぼしたっていいがな 弱音を吐いたっていいがな 人間だもの
たまには涙をみせたっていいがな 生きているんだもの
4だれにだってあるんだよ ひとにはいえないくるしみが だれにだってあるんだよ
ひとにはいえないかなしみが ただだまっているだけなんだよ いえばぐちになるから
5.他人のものさし 自分のものさし それぞれ寸法がちがうんだな
6.あのときの あの苦しみも あのときの あの悲しみも
みんな肥料になったんだなあ じぶんが自分になるための
7負ける人のおかげで 勝てるんだよな
8何をやっても思うようにならない時 上にのびられない時に 根は育つんだから
9アノネ 親は子供を みているつもりだけれど 子供はその親をみているんだな
親よりも きれいな よごれない 眼でね
10しあわせはいつも じぶんのこころがきめる なやみは つきねんだなあ 生きているんだもの
11あんなにしてやったのに 「のに」がつくと ぐちが出る
2024-10-13 09:18:10
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禁忌改訂されたアセトアミノフェン~中枢感作を鎮めよう~ 大阪行岡医療大学医療学部特別教授 三木健司先生
一部のみ列挙
アセトアミノフェンの性質
侵害受容性疼痛に対してはNSAIDsとともに第一選択
抗炎症作用をもたない(解熱鎮痛剤)
胃腸障害、腎機能障害、心血管系イベントが低い点で、高齢者にも安全に使用できる
1回1000mg1日最大4000mgまで使用可能
1500mg/日以上では肝障害の有無を血液検査でチェックする必要がある
大量飲酒者では肝障害のリスクが大きい
急性腰痛におけるアセトアミノフェンとロキソプロフェンのランダム化オープンラベル非劣性試験
発症から4週間以内の急性腰痛患者
アセトアミノフェン600mg/回 ×1日4回 64名 脱落 29 最終 35名
ロキソプロフェン 60mg×3回/日 64名 脱落 28 最終 35名 で評価
2週目と4週目のNRSスコアーで評価
結果のまとめのみ
NRS(現在の痛みの程度)では非劣性(同様の効果)
うつ指数はアセトアミノフェン群で改善していた
有害事象 アセトアミノフェン 2.9% 胃腸障害のみ
ロキソプロフェン 14.3% 胃腸障害 9.6%下痢2.9% 下肢浮腫2.9%
膝・頸痛においても同様の試験
痛み(NRS)にX線所見と関連なし
痛みや痛みの治癒に不安感が関係する
全ての試験をまとめると
アセトアミノフェン2400mg/日はロキソプロフェン180mg/日と同様の効果
急性腰痛ならうつの指数改善
長期の安全性を考慮した疼痛治療
アセトアミノフェンの禁忌はなぜ改訂されたのか?
NSAIDsとアセトアミノフェンの機序は異なる
鎮痛剤を必要とする人の増加、腎障害、CKD患者さんの増加
アセトアミノフェンと下行疼痛抑制系への作用
アセトアミノフェンは肝臓で代謝された後、脳に移行しAM404へ代謝
下降疼痛抑制系のセロトニン作動性にたいするアセトアミノフェンの機序は以前より報告
ノルアドレナリン作動性下降疼痛抑制系は青班核ニューロンを賦活化させることが示唆された
*NSAIDsはアラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、プロスタグランジン類の合成を抑制します。プロスタグランジンの中でも、特にプロスタグランジンE2(PGE2)は起炎物質・発痛増強物質です。NSAIDsは主にPGE2の合成抑制によって鎮痛・解熱・抗炎症作用を発揮
NSAIDsと腎機能障害
日本腎臓学会は
日本人のeGFR低下速度は0.36ml/min/1.73m2であり
40-69歳ではeGFR50以下 70-79歳では40以下の腎機能の場合
消炎鎮痛剤は腎機能低下速度を有意に速まるとされており、NSAIDsの投与はより慎重にするべきである
薬剤性腎障害の機序
用量依存性 アミノ配糖体系抗菌薬 NSAIDs セフェム系抗生物質 抗ヘルペスウイルス薬
免疫機構を介して生じる 金製剤 プロペネシド D-ペニシラミン等
薬剤過敏性 ペニシリン系抗生剤 セフェム系抗生物質 NSAIDs 感冒薬
65歳以上では約半数がCKD状態(eGFRが60未満)
アセトアミノフェンの肝障害
アセトアミノフェンはほとんどが肝臓で代謝され、尿中にはいせつされるが、一部はCYP2E1により代謝され、NAPQIを
生成。NAPQIはグルタチオン抱合をうけて速やかに無毒化されるが、過剰摂取によりNAPQIが過剰産生されると
グルタチオンが枯渇して、NAPQIが肝細胞壊死を引き起こす
本剤の肝障害の機序は明確で過剰投与では確実に生じるが・・
臨床用量(1000mg/回における血中濃度と中毒域は乖離している
過剰投与にならない様、アセトアミノフェンを含む他製剤(市販薬含む)の併用に注意し、過剰投与時の解毒(肝障害 の軽減等)にはアセチルシステインの投与を考慮する
アルコール大量常飲者・絶食・低栄養状態・摂食障害等によるグルタチオン欠乏、脱水症状のある患者では注意
2024-10-12 07:25:56
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かかりつけ医が知っておくと役立つうつ病の実践的知識―コロナ後抑うつにどう対応しますか?―
もりおか心のクリニック院長 上田均先生
かかりつけ医が診療すべきうつ病はそう多くない
1身体症状が前景のうつ
うつ病患者が最初に受診した診療科
内科64.7% 婦人科 9.5% 脳外科 8.4%精神科 5.6% 心療内科 3.8%・・・
うつ状態に伴って認められる身体症状の頻度
倦怠感・易疲労感89.3%
睡眠障害 82.7%
頭痛 52.2%
胃部不快感 33.2%
動悸 28%
便通異常・膨満感 23.5%
肩、背部痛 21.3%
微熱 13.9%
食欲不振 13.9%
うつ患者は身体症状を訴える
身体症状
睡眠障害 26% 倦怠感・易疲労感58% 首肩のこり22% 頭重・頭痛23%
精神症状
意欲・興味の消失 4% 仕事能率の低下 3% 抑うつ気分 3% 不安・取りこし苦労 2%
うつ病にみられる多彩な身体症状
頭痛・頭重 後頭部通 性欲減退
めまい 耳鳴・耳閉塞感 頻尿
口喝 肩こり
易疲労感 全身倦怠感 胸苦 動悸
食欲不振 発汗過多
体重減少 味覚異常
便秘 下痢 睡眠障害
2身体疾患治療中のうつ
うつ病における慢性身体疾患の合併リスク(海外データー)
うつ病のみ2326名 不安障害のみ1719名 うつ病と不安障害の合併849名
関節炎 1.94倍 1.71倍 2.04倍
喘息 1.78倍 1.4倍 2.16倍
COPD 1.76倍 1.62倍 2.05倍
糖尿病 1.59倍 1.21倍 1.64倍
心疾患 1.56倍 1.74倍 2.16倍
高血圧 1.49倍 1.48倍 1.66倍
骨粗しょう症 1.78倍 1..6倍 2.47倍
3高齢者うつ
気分障害(うつ病、双極性障害など)の患者数
男 女 (千人)
20歳未満 3 5
20才代 30 49
30才代 67 96
40才代 85 100
50才代 76 80
60才代 52 99
70才代 45 93
80才代 13 56
高齢者うつ病の特徴
頻度が高いがみのがされがち
いつも疲れてばかりいる こどもが独立して張り合いがなくなった 配偶者がなくなって孤独に感じる
好きなことへの興味がなくなった
身体疾患 配偶者の死、経済問題が誘因になりやすい
身体症状を訴えることが多い(不定愁訴、自律神経失調症、更年期障害)
不安焦燥を伴う場合は自殺につながりやすい
我が国の自殺者の大きな割合をしめる
認知症とうつ病の鑑別
1認知症様症状が急に起こってくる(月、週)
2-3か月前からものをどこにおいたかわからなくなった
2自分の認知機能低下を苦にする
物忘れしますか→します
3迷ったらうつ病として治療する
うつ病は治療によつて治る
身体症状の背景にあるうつ症状をいかに見抜くか?
Q1 この1カ月間、気分が沈んだり、ゆううつな気分になったりすることがよくありましたか?
Q2 この1カ月間、どうしても物事に対して興味がわかない、あるいは心から楽しめない感じがよくありましたか?
うつ病患者は臨床的リカバリーから社会的リカバリーへ
臨床的リカバリー
感情 抑うつ気分 不安 興味喜びの消失 罪悪感 イライラ感 精神運動焦燥/制止
身体 気力の減退 不眠/過眠 食欲/体重の変化 疲労感/易疲労感 身体の痛み 性的興味の減退
認知 決断困難 注意力の低下 記憶力の低下 集中力の減退 思考力の低下 無価値観
社会的リカバリー
仕事 社会生活 勉強 家族・家庭 →社会生活機能の回復
Measurement―based Care 関連指導箋
患者さんの健康に関する質問票 うつの症状
この2週間、次のような問題にどのくらい頻繁に 悩まされていますか? (該当するものに ✔ をつけてください)全くない数日半分以上 ほとんど 毎日
1.物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない0 1 2 3
2.気分が落ち込む、憂うつになる、または絶望的な気持ちになる0 1 2 3
3.寝付きが悪い、途中で目がさめる、または逆に眠り過ぎる0 1 2 3
4.疲れた感じがする、または気力がない0 1 2 3
5.あまり食欲がない、または食べ過ぎる0 1 2 3
6.自分はダメな人間だ、人生の敗北者だと気に病む、 または自分自身あるいは家族に申し訳がないと感じる0 1 2 3
7.新聞を読む、またはテレビを見ることなどに集中することが 難しい0 1 2 3
8.他人が気づくぐらいに動きや話し方が遅くなる、あるいは これと反対に、そわそわしたり、落ちつかず、普段よりも動き回る ことがある 0 1 2 3
9.死んだほうがましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと 思ったことがある0 1 2 3
うつ病による認知機能への影響を確認 PDQ-D-5で・・・
抗うつ薬は何を選ぶ? トリンテリックスはプライマリーでも使える薬か?
ボルセオキセチン
セロトニン受容体調節 セロトニン・ノルアドレナリン ドパミン アセチルコリン
ヒスタミン遊離促進
抗うつ作用・向認知機能作用?
セロトニン再取り込み阻害 セロトニン濃度上昇
抗うつ作用・抗不安作用
コロナ後抑うつ トリンテリックスはコロナ後抑うつにも使える薬か?
うつ病の有病率はコロナ後各国で倍以上に増えた
心理的・社会的変化の概要
第一の感染症(生物学的感染症) ウイルスにより引き起こされる疾病
第二の感染症(心理的感染症)感染に対する不安や恐怖
第三の感染症(社会的感染症) 不安や恐怖から生じる「差別や偏見」
コロナ後抑うつは脳の炎症で起こる?
成因 コロナ罹患 コロナ後のストレス(長引く身体症状、孤立、絶望感)で体内に炎症サイトカイン
(IL-1β、IL-6、TNF-α)が放出される
⇒サイトカインは血液を通じて脳に到達し脳内に炎症を引き起こす
⇒脳内のミクログリアが活性化され、さらに炎症サイトカインを放出する
⇒炎症性サイトカインが脳内に影響を与え、モノアミンのバランスを崩す
⇒うつ状態を発症する
治療 SSRI SNRI S-RIM(認知機能好影響、中止しやすい)
ワクチンで予防/軽症化の可能性
トリンテリックスを使いこなす
離脱症状が少ない 認知機能障害を改善させる 性腺機能障害が少ない
SSRI+α
投与初期は吐き気に注意(心配ならナウゼリン、プリンペラン)
10⇒20mgに増量するタイミング:10mg(SSRI+α)で開始、忍容性に問題がなければ20mg(SSRI+α)
に増量
SSRIやSNRIの切り替えは中止すると離脱症状があるので半減してSSRI+αを併用して漸減していく
2024-10-11 07:58:04
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糖尿病の克服を目指した運動研究の新潮流 日本医科大学 内分泌代謝・腎臓内科学分野 教授 岩部真人先生
一部のみ列挙
運動野有用性は、多くの大規模臨床研究で証明されているが
世界的に運動不足
世界の成人の4人に1人以上が運動不足
日本の成人の3人に1人以上が運動不足
我が国の糖尿病患者において運動療法を実施しているのは約半数であった
全世界の死亡に対する危険因子の第3位は運動不足
新規運動指標エクササイズゲージの構築(運動を見える化する)
運動量を客観的かつ定量的に評価できる技術が不十分である
週に150分以上の中等度の運動の推奨 等の明確な根拠と具体性に乏しい
スローガン的な指導がやむおえず往々にしてなされているのが現状
活動量計(アップルウオッチなど)<新規テキスタイル型ウェアラブルデバイスの開発(成功している)
+人工知能 ≦マスクでの酸素消費量測定
身体活動量計測システムを開発した
活動量計の様々な問題
1 12機種間で、最大約500kcal/日の測定誤差が存在する
測定方法・原理の違いもあり、各社独自の算出法を採用しており、活動量計では基準が統一されていない
2肥満者は座位時間が2.5時間長い(約350kcalの差)Science 2005年
立位でも座位でも測定値は同じ 自転車の運動は測定されない
身体活動量を測定する技術・測定機器の開発が不可欠である
最新次世代モーションキャプチャーシステムe-skin MEVAを基盤としたライフロギングシステムの開発に成功
電子回路布Printed Circuit Fabric(PCF)―Xenoma社のコア技術―
X-Wire 東大発の高耐久・高安定 洗濯可能
伸縮性配線形成技術 日常の着心地
X-Connect 複数のセンサー配線をつなぐ 高精度
多点・高耐久
はんだ代替回路接続技術
東京大学工学部 染谷隆夫先生 横田知之先生との共同研究
e-skin MEVAはカメラ不要のモーションキャプチャーシステムであり、全ての身体活動を捉えることが可能となった
日常の身体活動を測定する(同志社大学 石井好二郎先生との共同研究)
e-skin MEVAから得られるすべての身体活動情報→酸素消費量との関係
日常生活下での身体活動量を正確に測定できる世界初のテキスタイル型ウエアラブルデバイスを開発する
高精度の酸素消費量を推定可能であることを確認(大阪大学 中村亨先生との共同研究)
マスク型O2消費量と正の相関がある
現在市販されている身体活動量計と比較して開発に成功したウエアラブルデバイスは推定制度が極めて高い
誤差 多くの機種 0.61―2.71と高い ウエアラブルデバイスは0.14
また診断にも
ウエアラブルデバイスでパーキンソン病の診断が可能?
歩行中の両足間の距離の変動の大きさと非対称性が臨床スコアーと相関
テキスタイル型筋電図センサの設計
ジャンプ時の筋電図測定が(詳しい) 大腿直筋 前脛骨筋 ハムストリング 下腿三頭筋
余暇と仕事上の身体活動では健康に与える影響が異なる Eur heart J 2021
余暇 仕事
主要心血管イベント 全死亡とも有意に低下した 全死亡と主要血管イベントとも有意に増加した
中強度 高強度 超高強度 低強度 中強度 高強度 超高強度
速歩 自転車 走る デスクワーク 荷物などのおろし ハードな作業
↓ ↓
継続的な持久運動 繰り返されるレジスタンス運動
最適な運動強度 単調で低持久性の運動
非常に柔軟な構成 長期間の血圧上昇
十分な回復 不十分な回復
ポジテイブな社会的/心理的要因 自律神経系への障害
自律神経系の改善 環境負荷
ポジテイブな自然経験
運動量に比例して血中濃度が増加するなどの性質を持つ臨床応用に適した「運動バイオマーカー」が存在しない
運動により運動器(筋肉、骨)から分泌され全身の代謝調節を行う分子を「ロコモカイン」と命名してその候補分子の同定に成功した
運動はCaイオンとAMPK/SIRT1の両経路を活性化し、PGC-1αの発現増加と活性化を引き起こす
運動
↓ 骨格筋
Caイオン↑ AMP↑ AMP↑
↓ ↓
CaMKK →AMPK →NAD/NADH↑
↓ ↑ ↓
CaMK LKB SIRT1
↓ ↓
核 PCG-1α ← PGC-1α
PCG-1α発現 ↑ PCG-1α活性↑
↓
ミトコンドリア機能↑ 酸化ストレス↓ 糖・脂肪燃焼↑
運動持久力↑ インスリン感受性↑ エネルギー消費↑
野生型マウスでは、運動によりインスリン抵抗性が改善したが、CaMKKα-CaMKKβダブル欠損マウスでは改善しなかった
新規ロコモカインであるEXPM1を同定した
野生型マウスの骨格筋では、運動によりEXPM1の発現量は増加したが、、CaMKKα-CaMKKβダブル欠損マウスではぞうかしなかった
肥満2型糖尿病モデルマウスでは、骨格筋におけるEXPM1の発現量が低下していた
野生型マウスの骨格筋では、運動によりインスリン抵抗性は改善したがEXPM1欠損マウスでは改善しなかった
EXPM1は白色脂肪細胞のベージュ化に関与している
野生型マウスでは、運動により、白色脂肪組織において、ミトコンドリア関連遺伝子の発現が上昇したが
EPM1欠損マウスでは上昇しなかった
*UCP1 mRNA ミトコンドリア関連遺伝子
野生型マウスでは、運動により、酸素消費量が増加したが、EPM1欠損マウスでは上昇しなかった
野生型マウスでは、運動により、体温が上昇したが、EPM1欠損マウスでは上昇しなかった
まとめ
ロコモカインEXPM1は運動による白色脂肪組織へのベージュ化に関与し、全身のエネルギー代謝を制御している
運動
↓骨格筋
筋小胞体からのカルシウム放出
↓ ↓
筋収縮 CaMKK
↓ 白色脂肪組織
EXPM1 →分泌 → ベージュ化 グルコース FFA
脂肪組織 熱産生 ↓ 熱産生↑
↓ 脂質→FFA→ミトコンドリア
↓ UCP1
エネルギー消費↑ ⇒糖代謝改善
脂質代謝改善
体重抑制
運動によって身体が温まる作用機序の解明
EXPM1は中枢・末梢神経系を介して白色脂肪組織をベージュ化している
EXPM1の候補受容体 EXPMRsの同定に成功
筋肉―神経―代謝連関による新たな運動メカニズムを解明
EXPMRsをターゲットにした運動模倣薬の開発を・・・
運動バイオマーカーとしての実用化を目指したEXPM1の測定系の確率の成功した
METs=数値化されている運動に関連する唯一の指標
運動や身体活動の強度の単位
6METs=軽いジョギング
人においても運動量に比例して、血中のEXPM1濃度が上昇している
2024-10-10 02:49:39
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2024年ノーベル生理学・医学賞:マイクロRNAとその役割を発見した2氏に
日経サイエンスより(編集部 出村政彬,遠藤智之)
今年のノーベル生理学・医学賞は「マイクロRNAとその転写後遺伝子制御の仕組みの発見」の功績により,米マサチューセッツ大学のアンブロス(Victor Ambros)教授とハーバード大学のラブカン(Gary Ruvkun)教授に授与される。
ヒトの遺伝子の数は約2万個ある。しかし,それらの情報だけでは受精卵が正しく成長して赤ん坊になることはできない。いつ,体内のどの場所で,どの遺伝子を使えばいいかが分からないからだ。同じ2万個の遺伝子を持つ細胞が,あるものは筋肉へ,あるものは神経へと全く異なる細胞に姿を変えるためには,遺伝子の働きを制御する仕組みが必要になる。その仕組みに関わるのがマイクロRNAだ。
マイクロRNAは数十個程度の長さの塩基配列で,普通の遺伝子に比べるとずいぶん短い。マイクロRNAはタンパク質に翻訳されることはないが,他の遺伝子のmRNAと部分的に結合して,その遺伝子が働くタイミングや量を決めている(※)。
RNAの生物学を長年手がけてきた慶應義塾大学の塩見春彦教授は,マイクロRNA発見の重要性を「生物学の根本部分に寄与する発見だ」と評価する。
線虫で見つかったマイクロRNA
マイクロRNAの存在は1993年,アンブロスとラブカンが手がけた,線虫という小さな線形動物の研究によって明らかになった。アンブロスとラブカンはもともと,動物の発生に関心を持つ発生学者だ。線虫は全長1mm程度の生物で,全身の細胞数が1000個ほどしかないために発生の過程を調べるのにぴったりの生物だった。アンブロスは成長の過程がおかしな線虫の変異体に着目し,その原因遺伝子を突き止めようとした。ところが,何度線虫のゲノムの上で原因遺伝子がありそうな場所を探しても,そこにはタンパク質を作る遺伝子が存在しない。
悩んだ末,アンブロスはその原因遺伝子がタンパク質を作らず,他の遺伝子のmRNAにくっつくマイクロRNAを生み出していることを突き止めた(この遺伝子はlin-4と名付けられた)。さらに,ラブカンがこのマイクロRNAが実際に線虫の発生にかかわっていることを証明した。アンブロスとラブカンは別々の研究チームでありながら,同じボストンで線虫を研究する仲間どうし。当時から互いに連絡を取り合いながら,共に研究を進めた。そんな2人の論文は1993年12月3日,全く同じ日のCell誌にそれぞれ掲載された。
後から見つかった普遍性
とはいえ「最初は2人の研究成果に着目する人は少なかった」と塩見教授は当時を振り返る。マイクロRNAは線虫だけの特異な仕組みだと思われていたからだ。しかし2000年になって,ラブカンはその予想を裏切る成果をNature誌に発表した。やはり線虫から見つかったlet-7というマイクロRNAと同じ配列が,ヒトやマウス,ハエ,ゼブラフィッシュなど,幅広い生物種で見つかったのだ。この短いRNAが幅広い動物種に普遍的に存在する仕組みだとわかり,マイクロRNA研究の「ターニングポイントになった」と塩見教授は話す。
2000年前後は,他にもマイクロRNA研究に大きな影響を与える出来事が次々に起こった時期だ。1999年には,バルカム(David Baulcombe)が植物で短いRNA「siRNA」が遺伝子制御に働く仕組みを解明。同じ年には,RNA干渉と呼ぶ遺伝子発現の抑制現象が発見された。また,2003年には国際ヒトゲノム計画が完了。ヒトのゲノム配列が判明したことで,これまでタンパク質を作る遺伝子が存在せず,「ジャンク(がらくた)」と思われた領域からも,マイクロRNAの配列が次々に見つかった。
マイクロRNA研究の現在
今や,ヒトだけで1000〜2000種のマイクロRNAが見つかっている。受精卵が赤ん坊になる発達の過程だけでなく,生涯を通じて体内の代謝にマイクロRNAが関わることが明らかになっている。近年では,様々な病気の背後にマイクロRNAの不具合が関係していることも明らかになってきた。「様々な疾患と関わりがあるのは,マイクロRNAが極めて重要な発生分化制御因子だということの現れだ」と塩見教授は指摘する。
ただ,マイクロRNAの仕組みは非常に複雑だ。ひとつのマイクロRNAが場合によっては数百の遺伝子を制御しており,ひとつの遺伝子が複数のマイクロRNAの制御を受けている。アンブロスとラブカンが90年代に手がけたように,1個のマイクロRNAが持つ機能をすっきりと説明できた例は,マイクロRNA全体からすれば極めてまれなケースだったといえる。しかし,「これからマイクロRNAの研究は再び飛躍する可能性がある」と東京大学教授でRNAの制御機構を研究する泊幸秀教授は見る。人工知能や機械学習を用いて遺伝子の発現パターンなどのデータを解析すれば,マイクロRNAと他の遺伝子の複雑な関係性を網羅的に調べられる可能性があるためだ。マイクロRNA発見から30年。最初は小さな線虫から見つかったこの生物学は,これからさらに大きな成長を遂げそうだ。※ 遺伝子制御の仕組みを詳しく説明すると,転写因子と呼ばれるタンパク質とマイクロRNAの双方が関わる。転写因子がスイッチのように遺伝子のON/OFFを制御し,マイクロRNAは転写後のmRNAに結合することでブレーキをかけて調整するイメージだ。
*血液中マイクロRNAによる膵がん診断法の開発に向けた研究 血中マイクロRNAの網羅的な解析により膵がん発症の有無を高精度に識別できる 2024年08月28日
河相宗矩 医学研究科医員、福田晃久 同准教授、妹尾浩 同教授らのグループは、ムーンショット型研究開発事業のもと、近畿大学、京都府立医科大学など14の施設で、アークレイ株式会社との共同研究により、血中マイクロRNAの網羅的な解析により膵がん発症の有無を高精度に識別できることを明らかにしました。膵がんは早期の場合に無症状であることが多く、発見が難しいことから、予後不良のがんの代表とされています。今回、膵がん患者と非がん対照者の血液中マイクロRNAを次世代シーケンサーにより網羅的に解析したデータを用いて、AI機械学習により膵がんを識別するための判別モデルを構築したところ、独立した検証群において、膵がん患者を非がん対照者と高精度に識別できることが示されました。早期の無症状の膵がん患者も非がん対照者と識別できており、膵がんの早期発見につながる技術となる可能性が示されました。
本研究成果は、2024年8月28日に、国際学術誌「British Journal of Cancer」にオンライン掲載されました。
CA19-9、血液中miRNAモデル、血液中miRNAとCA19-9を組み合わせたモデルによる膵がん(全ステージ)の判別能:CA19-9のAUCが0.88であるのに対し、miRNAモデルではAUC 0.94、miRNAとCA19-9を組み合わせたモデルではAUC 0.99とより高精度に膵がん患者を非がん対照者と識別できた。
研究者のコメント
「膵がんは早期発見・診断が困難であり、Stage0、Stage1でみつかるのは僅か10%未満です。膵がんはStage0、Stage1で手術することができれば、長期の予後が期待されますが、膵がんを早期に発見・診断できる既存のバイオマーカーは、現在ありません。今回、14施設の多施設で、アークレイ株式会社との共同研究により、血液中マイクロRNAを網羅的に測定して、AI機械学習による膵がん判別モデルを作成し、独立した検証群で検証した結果、膵がん患者を非がん対照者と高精度に識別できることが示されました。早期の膵がん患者も非がん対照者と識別することができており、膵がんを早期に発見できる侵襲性の低い新たな検査法となる可能性が示されました。本研究は、過去最大数の早期膵がん患者における血液中miRNAのデータ解析であり、特に、無症候性の早期膵がん患者でも非がん対照者と識別できることを初めて示した点は重要な点になります。今後は、本研究により得られた技術の社会実装に向けて、アークレイ株式会社と共同でさらに研究開発を進めていく予定です。
2024-10-09 08:46:33
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成人期のADHD症状と併存症状 福井大学医学部 精神医学 教授 小坂浩隆先生
一部のみ列挙
ADHDの有病率 小児で30人のクラスであればAD/HDの児童は1-2人存在 5.29% 男女比 2:1
成人で1.65% 男女比 1.6対1に(2.58%~6.76%という統計も)
大人のADHDは小児期(―)で成人期はあるのか? 答え No
社会適応能力と周囲のサポートから考える
コップの水に例えると・・・
周囲のサポート知的レベルがあればコップの水は満杯 エネルギー満タン
周囲からの要求やストレスでコップの水は減る エネルギーダウン
健常者でも個人の能力にはギザギザに山や谷がある 周囲からの要求やストレスで水がへっても苦手な山の部分は覆いかぶされる
しかし神経発達障害者では苦手な分野の山がむき出しとなる
ただ小児期に周囲のサポートや知的レベルがあったため手な山の部分は覆いかぶされ、症状は出なかった
しかし大人になり更なる周囲からの要求やストレスで水が減ると苦手な山の部分が出現し、症状がでてくる
2021年Global Healthの論文では
持続性ADHD 症候性ADHD
18-24歳 5.05% 8.99%
25-29歳 4.00% 8.27%
30-34歳 3.29% 7.70%
35-39歳 2.70% 7.18%
40-44歳 2.22% 6.68%
45-49歳 1.87% 6.22%
50-54歳 1.47% 5.79%
ADHDはいろいろな疾患と併存する 特に双極性障害との鑑別・・
ADHD 重なり 双極性障害
慢性的な症状 不注意 明確なエピソード性
常に小児期発症 実行機能障害 小児期発症は稀
うつ病は目立たない 衝動性 顕著なうつ状態
精神症状なし sensation seeking 躁病相の精神病
自殺願望なし 落ち着きのなさ 自殺傾向
誇大妄想なし 物質使用障害と併存 誇大妄想
性欲亢進なし 性欲亢進
睡眠不足時は疲労感 睡眠欲求の減少
*sensation seeking
変化に富み、斬新で複雑で、強烈な経験や感情を求め、そのような経験のために、身体的、社会的、法的
経済的なリスクをとる用意があることで定義される人格特性
ADHDと双極性障害の症状の特徴(代表的な)
ADHD 双極性障害(躁病エピソード)
不注意 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする
外的刺激によってすぐ気が散る 切迫感
多動性衝動性
手足をそわそわと動かす、机をとんとん叩く、椅子の 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、
上でもじもじする 重要でないまたは関係のない外的刺激によって
じっとしていられずエンジンで動かされるように行動する 他に転じるが報告されている、または観察される
しゃべりすぎる 目標志向性の活動(社会的、職場または学校内、
質問が終わる前に出し抜いて答え始める 性的のいずれか)の増加、または精神運動焦燥
会話やゲームなどで他人を妨害して、邪魔をする (すなわち無意味な非目標指向性の活動)
割り込む
スウエーデンの研究 18-64歳の5551807名の調査
成人ADHD者の61129名 併発症の罹病期間記比を算出(年齢/性で補正)
不安障害 うつ病 双極性障害 2型糖尿病 高血圧
女性大人のADHD(+) 30% 49% 19% 3.58% 7.3%
(-) 2.5% 5% 0.97% 1.38% 4.3%
男性大人のADHD (+) 40% 35% 8.9% 4.8% 8.3%
(-) 4% 3.5% 0.5% 1.96% 4.6%
9.7倍 9.0倍 20倍 2.4倍 1.9倍
脳の動き・・・
通常時 ストレス時 扁桃体を中心としたボトムアップ
前頭前野によるトップダウン ⇔ 扁桃体の過活動により、刺激に対して怒りや逃避のような
前頭前皮質が 原始的な反応が優位
感情、行動、思考を制御 ADHDはこの状態になりやすい
前頭前皮質と青班核、扁桃体の機能と関係
前頭前皮質の機能 ノルアドレナリンの放出 ノルアドレナリンの放出が
↑ ノルアドレナリンの放出が不十分な状況 が適切な状況 過剰な状況
↑ シグナル伝達:減弱 シグナル伝達:増強 シグナル伝達 減弱
↑ 前頭前皮質のネット機能が低下し、 扁桃体の活性 過剰
↑ トップダウン調節が弱まる可能性がある 扁桃体の活性:正常
→ 青班核の活動性 低い ノルアドレナリン濃度
症状でいうと 覚醒、注意深い 認知機能障害
日中の過剰な眠気 創造的 問題的決定 (過剰な刺激)
認知機能障害 注意の選択性の問題
注意持続性の障害 パニック 恐怖
注意不足 幻覚、精神病状態
覚醒不足 低い ノルアドレナリン・ドパミン濃度 高い 過覚醒
併存症 不安症 物質依存症 双極症
ADHDの薬物治療
メチルフェニデート アトモキセチン グアンファジン
中枢刺激薬 非中枢刺激薬 非中枢刺激薬
比較的速効性 2-6週間後に効果 徐々に効果
朝に1回投与 1日1回or 2回投与 1日1回投与
夜や翌朝に効果なし 継続内服して効果 継続内服して効果
入眠障害のリスク 効果が1日安定 効果が1日安定
依存性に留意 依存性の懸念はすくない
チック、Tourette Syn 依存性の懸念はすくない
に禁忌
ADHD適正流通 登録不要 登録不要
管理システム 日数制限なし 日数制限なし
処方制限(30日) 小児 0.5mg 小児 1-6mg
小児18mg-54mg 1.8mg/kg(120mg) 成人 2-6mg
成人 18mg―72mg 成人 40mg-120mg
成人期ADHDの自己記入式症状チェックリストASRS-V1
パートAの結果は、ご自身でADHD症状の有無を確認するのに役立ちます。
パートBの結果は、医師 にとって 役 立つ情 報となりますので、もし医療 機関を受診される可能性がある場合、チェックをして ください。(パートBは、ご自身の確認用ではありません)
このチェックリストは、医師に相談する際に症状を的確に伝えるためのものであり、 診断結果を表すものではありません。
パートA
全く ない めったに ない 時々
1. 物 事 を 行 な うにあたって 、難 所 は 乗り越 え たのに、詰 めが 甘くて 仕 上 げ る の が 困 難 だ っ た こ と が 、ど の くら い の 頻 度 で あ り ま す か 。 頻繁
2.計画性を要する作業を行なう際に、作業を順序だてるのが 困難だったことがどのくらいの頻度でありますか
3. 約 束 や 、し な け れ ば なら な い 用 事 を忘 れ たことが、どのくらい の頻度でありますか。
4. じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、 遅らせたりすることが、どのくらいの頻度でありますか。
5. 長時間座っていなければならない時に、手足をそわそわと 動 かしたり、もぞもぞしたりすることが、どのくらいの頻 度 でありますか。
6. まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的に な ったり、何か せずにいられなくなることが、どのくらいの 頻度でありますか。
パートB 全く ない めったに ない 時々 頻繁 非常に 頻繁
7. つ まら な い 、あ るいは 難しい 仕事 をする際に、不注 意 な間 違い をすることが、どのくらいの頻度でありますか。
8 . つ まらない、あるいは 単 調な作 業をする際に、注 意を集中し 続けることが、困難なことが、どのくらいの頻度でありますか。
9.直接話しかけられているにもかかわらず、話に注意を払うことが困難なことはどのくらいの頻度でありますか
10. 家や職場に物を置き忘れたり、物をどこに置いたかわからなく なって探すのに苦労したことが、どのくらいの頻度でありますか
11.外からの刺激や雑音で気が散ってしまうことが、どのくらい の頻度でありますか。
12.会議などの着席していなければならない状況で、席を離れてしまうことが、どのくらいの頻度でありますか
13. 落 ち 着 か な い 、あ るい はソワソワした 感じが、どのくらいの 頻度でありますか。
14. 時間に余 裕 が あって も、一息ついたり、ゆったりとくつろぐ ことが困難なことが、どのくらいの頻度でありますか。 非常に 頻繁
15. 社交的な場面でしゃべりすぎてしまうことが、どのくらいの 頻度でありますか。
16.会話を交わしている相手が話し終える前に会話をさえぎってしまったことがどのくらいの頻度でありますか
17. 順番待ちしなければならない場合に、順番を待つことが困難 なことが、どのくらいの頻度でありますか。 18. 忙しくしている人の邪魔をしてしまうことが、どのくらいの 頻度でありますか。
パートAの色がついている部分に4つ以上のチェックがついている場合、 ADHDの症状を持っている可能性が考えられます。 PartAB 9個以上/18個も
Cureus 2021 JHWS2016 39000人
9641人ADHD未診断だがASRSで陽性であったADHD症状に伴う負担を定量化する
A+Bパターン 171人
うつ病 10倍
全般性不安障害 20倍
双極性障害 15倍以上
不眠症 5倍以上
アレルギー疾患 2倍
喘息 3倍
まとめ
成人期になって初めて気づかれるADHDを持つ方がおられます
社会適応不全は著しく、自尊心が著しく低下する
周辺症状や2次障害のために、別の精神疾患に見えたり
変わった人と評価されたりします
ADHD傾向があるかもと疑うことからはじめてみてください
ADHD診断がないADHD傾向の方も日常生活で苦悩しています
医療者がADHDを持ち方、その家族の訴えに傾聴して、支援するだけでも状況は好転していきます
グアンファジン(インチュニブ)はカテコラミン濃度状態にかかわらず、前頭前皮質グルタミン酸系電気信号を保つことが推測されます
グアンファジン(インチュニブ)は併存する精神疾患があっても使用しやすい薬剤と考えられます
2024-10-08 08:25:11
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レプリコンワクチンの効果と安全性について 2024年9月26日
セカンドオピニオン情報サイト 監修医師 佐藤俊彦より 一部列挙
次世代型mRNAワクチンと呼ばれる、レプリコンワクチン(製品名:コスタイベ筋注用)が承認され、2024年秋から始まる新型コロナウイルスの定期接種で使用される見込みとなっています。臨床試験において、レプリコンワクチンの有効性や安全性は確認されていますが、実際の医療現場で使用してデータ収集をおこなわないと、分からない点もあるでしょう。今回はレプリコンワクチンについて、効果を発揮する仕組みや期待されている点を解説します。
レプリコンワクチンの原理
mRNAワクチンでは、ウイルスの表面にあるスパイクタンパクを作る遺伝情報(mRNA)を接種します。
接種されたmRNAが体内の細胞に取り組まれると、その遺伝情報からスパイクタンパクを生成。生成したスパイクタンパクに対する抗体が作られると、免疫を獲得できる。
レプリコンワクチンは「次世代型mRNAワクチン」と呼ばれ、遺伝情報にmRNAを増やす機能(レプリカーゼ)も組み込まれている。そのため、接種すると体内でmRNAそのものが増殖し、増えたmRNAからスパイクタンパクが作られることで、長期にわたって免疫を維持できる。
従来型コロナワクチンとの違い ファイザー製・モデルナ製との違い
新型コロナウイルスに対する免疫を獲得する仕組みは、レプリコンワクチンとファイザー製・モデルナ製ワクチンも同じです。レプリコンワクチンには、mRNAをコピーして増やす働きも組み込まれている点が、ファイザー製・モデルナ製ワクチンと異なります。従来型では、時間が経つと、接種したmRNAの量が少なくなるため抗体量も減り、効果は数ヶ月程度とされていました。レプリコンワクチンは、体内でmRNAをコピーして増やせるため、効果が持続することがわかっている。
レプリコンワクチンに期待されていること
従来型コロナワクチンと比べて、レプリコンワクチンに期待されているメリット
副反応が少ない
従来型ワクチンと比べて、レプリコンワクチンでは副反応が軽くなると考えられています。従来型の1回接種量は30μg〜60μgですが、レプリコンワクチンの1回接種量は5μgで、従来型の6分の1以下と少ないことが理由に挙げられています。
従来型より効果的な免疫反応
従来型ワクチンは、抗体量が数ヶ月〜半年ほどで低下しますが、レプリコンワクチンは、従来型より効果が長く維持されることがわかっています。動物実験において、レプリコンワクチン接種後1年間にわたり、十分な量の抗体が維持されたと報告されています。レプリコンワクチンの国内第3相試験では、ファイザー製よりも、抗体量が多く、効果の持続性に優れているという結果が示されました。
従来型ワクチンより保存条件が緩和
レプリコンワクチンは、従来型ワクチンよりも保存条件が緩やかです。ファイザー製の保存温度は、マイナス90度〜マイナス60度と定められていますが、レプリコンワクチンは、マイナス25度〜マイナス15度です。解凍後は、モデルナ製では遮光保存が必要ですが、レプリコンワクチンは遮光する必要はなく、冷蔵庫(2度~8度)で1ヶ月間保存できます。
レプリコンワクチンの安全性について
現時点で分かっていること
レプリコンワクチンの製造販売元である、Meiji Seika ファルマ株式会社が公表したデータで、安全性に関する項目は以下のことがわかっています。
国内第3相試験において、大半の副反応は軽度~中等度であり、ワクチン接種後数日以内に症状が消失する
主な副反応の発現割合や、症状の持続する期間は、ファイザー製と大差がない
臨床試験では、重大な副反応の心筋炎や心膜炎の報告はなかった
安全性で懸念されること①:mRNAの自己増殖
レプリコンワクチンの安全性で懸念されることの1つ目は、mRNAの自己増殖です。接種量が少量で済むことはわかっていますが、接種したmRNAがコピーして増える力や、スパイクタンパクを生成する量がどの程度で停止するのか、現時点でわかっていません。従来型ワクチンより、大量のスパイクタンパクが生成されてしまう可能性があり、これまで以上に重篤な副反応や有害事象が起こることが考えられます。
安全性で懸念されること②:LNPによる副反応
懸念されることの2つ目は、LNPによる副反応です。LNPは、脂質ナノ粒子と呼ばれ、mRNAを体内の細胞まで運ぶために包む殻として使用されています。従来型ワクチンでも使われている技術です。
LNPは、血液脳関門や血液胎盤関門を通り抜ける性質があり、全身に広がることがわかっています。LNPそのものに、強い炎症を起こす作用があるため、これまでと同様に全身のあちこちに副反応が起こる可能性がある
安全性で懸念されること③:ワクチン由来スパイクタンパクの副反応
懸念されることの3つ目は、ワクチン由来スパイクタンパクの副反応です。スパイクタンパクには、炎症反応や血栓症を引き起こす作用があります。そのため、スパイクタンパクを生成した細胞は、免疫細胞による攻撃を受けて、自己免疫疾患や臓器障害が生じることが海外の論文にて示されています。
スパイクタンパクによるさまざまな障害は、ウイルス由来でもワクチン由来でも、どちらでも引き起こされると報告されています。mRNAをコピーして増加するレプリコンワクチンでは、作られたスパイクタンパクによる影響がどのくらい現れるのか、現時点でわかっていません。今後もスパイクタンパクによる副反応の経過を観察する必要があるでしょう。
安全性で懸念されること④:免疫機能に対する副反応
懸念されることの4つ目は、免疫機能に対する副反応です。従来型ワクチンにおいて、接種をくり返しおこなうと、免疫反応を抑えるIgG4が作られることが海外の論文で報告されています。
IgG4の量が増えると、異物や病原体を排除するIgG3の働きが妨げられてしまうのです。それにより、本来の免疫反応がおこなわれなくなり、新型コロナウイルスに感染したときに長期化したり、自己免疫による心筋炎を発症したりする可能性がある
安全性で懸念されること⑤:フレームシフト変異
懸念されることの6つ目は、フレームシフト変異です。新型コロナワクチンで使用されているmRNAは、遺伝情報を1-メチルシュードウリジンで修飾しています。修飾したmRNAでは、まれにフレームシフトと呼ばれる変異が起きて、本来作られるタンパク質以外に、異なる性質をもつタンパク質も作られてしまうことが海外で報告されました。
変異によって作られたタンパク質が、身体にどのような影響をもたらすか、現時点ではわかっていません。実際の使用を通じて、さらなる情報収集が必要でしょう。
レプリコンワクチンの治験が日本でおこなわれた背景
日本国内で、ワクチン開発をおこない、実用化することは、感染症の有事に備えるために重要な意味があります。レプリコンワクチンの治験が日本でおこなわれた背景について、5つのポイントに分けて解説します。
国内での承認取得
ワクチンや医薬品を日本国内で製造販売する際は、厚生労働省の承認が必要です。承認を受けるために、日本人でおこなった臨床治験データを提出しなければなりません。海外で開発や承認されたワクチンや医薬品においても、日本人でおこなった臨床データが必要となります。ただし、重大な感染症の急速なまん延によって、必要に迫られたときのみ「特例承認」や「緊急承認」がおこなわれることがあります。特例承認は、すでに海外で承認されているワクチンなどを、一部の調査や手続きを省略して、迅速に承認する制度です。
緊急承認は、通常の承認時におこなわれる臨床治験が終了していなくても、安全性が確認され、有効性が推定できれば承認する制度になります。緊急承認の対象となるものは、すべてのワクチンや医薬品で、海外で流通していないものも含まれます。
日本人のデータ収集
ワクチンの有効性や安全性は、接種を受けた人の生活環境が深く影響することがあります。さらに、遺伝子の構成は人種差が大きく、ワクチンの効果や副反応の現れ方に違いがみられることが多いです。日本で治験をおこなうことで、日本人固有のデータを得られるメリットがあります。
国産ワクチンの開発
新型コロナウイルス感染症のパンデミック時に、日本はワクチン開発が世界に遅れをとったことを契機に、政府が国産ワクチンの開発に力を入れています。研究開発や製造の拠点を整備したり、開発における資金調達を強化したりするなど、さまざまな対策をおこなっています。レプリコンワクチンも「ワクチン開発生産体制強化戦略」の一環で、研究開発を支援している。
新しい医療技術の検証
レプリコンワクチンは、mRNAが自己増殖するように設計した点で、これまでのワクチンと異なる新しい医療技術が取り入れられています。日本で治験をおこなうと、日本の医療環境に基づいて、新しい医療技術の有効性や安全性の検証ができるメリットがあります。レプリコンワクチンのような新しい医療技術が実用化されると、ほかの感染症などに対する治療に応用できる可能性があり、国産ワクチンの研究開発がより活発になるのです。
迅速な供給体制の構築
新型コロナウイルス感染症のパンデミック時に、ワクチン分配が公平性に欠けていたことも影響し、国民の健康の維持や安全保障のために、国内でワクチンを開発・製造することを政府は目標としてきました。
日本で、レプリコンワクチンの治験をおこない承認されると、国内でワクチンを製造販売できるようになります。それによって、緊急時においても、ワクチンを迅速に生産・供給することが可能になるのです。
まとめ
日本で国産ワクチンを開発・生産することは、重大な感染症のパンデミックに対する備えとなり、重要な意味を持っています。レプリコンワクチンは、次世代型mRNAワクチンとして、世界で初めて承認されました。
mRNAが自己増殖するように設計されている点が、レプリコンワクチンの特徴です。従来型コロナワクチンと比べて、1回接種量が少なく済み、ウイルスに対する抗体価や持続性が優れていることがわかっています。
レプリコンワクチンの臨床試験では、有効性と安全性が確認されています。しかし、mRNAワクチンは、産生されたスパイクタンパクによる副反応や、免疫機能に対する影響などが海外の論文にて報告があり、懸念材料となっているのです。
レプリコンワクチンは日本以外に承認された国はなく、懸念材料を払しょくするほどのデータがまだありません。実際の医療現場で使用し、情報収集することで、判明することもあるでしょう。レプリコンワクチンの接種を受ける場合は、正しい情報を集めることに努めて、冷静に判断するようにしてください
レプリコンワクチンを打つと入店お断り、は正しいのか?ひまわり医院院長の伊藤大介ブログより
SNSなどを中心にレプリコンワクチンが非常に避難の的になっており、中には「レプリコンワクチンを打った方は入店お断り」という店まで現れる自体となっています。日本看護倫理学会がレプリコンワクチンへの懸念として「シェディングの問題」を引き合いに出したことから拍車がかかりました。
シェディングとは一言でいうと「ワクチン接種によりワクチンの成分が他に伝播して病気になる」という理論。2021年での仮説段階の論文(論文の質はインパクトファクターがつかないくらい低いとされています)が発端です。同論文では「ワクチン接種によって体内で生成されたスパイクタンパク質が、誤って折り畳まれ、プリオンと呼ばれる異常なタンパク質に変化する可能性」が示唆されています。そして、「プリオンが体内のあらゆる場所に運ばれ、呼吸や皮膚接触などにで他の人にうつるのではないか」としています。
本論文でも「これは可能性でありさらなる研究が必要である」と結論づけていますが、この理論が実証されたものはありません。したがって、同理論はmRNAワクチンからの理論であり、仮に同理論が正しいとしても、ほとんどの人がmRNAワクチンを打っているわけですから、「レプリコンワクチン接種者だけ入店お断り」というのはあまり理論的な裏付けに乏しいと感じます。またそこだけ入店拒否しても満員電車に乗ってみなさん仕事に行くわけですし、2~3年前からベトナムで8,000名、日本で400名以上は治験で接種されています(しかも二重盲検でどちらを打っているかわからない)ので、これからレプリコンワクチン接種者をお断りすることによる予防効果はないと思われます。
さらに他の論文(今度はきちんと論文の質が担保された論文です)でワクチン接種者と未接種者がそれぞれコロナ感染したとき、どれくらいウイルスが排出されたか(=シェディングされたか)を見た論文ではむしろワクチン接種により、発症から5日以降にウイルスを排出する確率が低下した(=シェディングされなかった)としています。おそらく免疫がきちんと誘導され、体内のウイルス量自体が減ったためと考えられますね。むしろワクチン接種によってコロナ自体のシェディングは起こりにくくなるわけです。みんな色々な想いがあり、ワクチンの種類を選んで接種します。レプリコンワクチンを接種された方への「お断り」が広がらないことを切に願います。
もちろん当院ではわざわざ「レプリコンワクチンを打っていますか?」と聞いて、打っていた場合診療を拒否するなどということはしません。
当院では「ファイザー社製ワクチン」を採用しています
ここまでレプリコンワクチンについて解説していきましたが、当院ではファイザー社製ワクチンを採用しています。レプリコンワクチンを採用していない最も大きな理由は「1バイアル16人分で非常に取り回しが扱いにくい」点です。新型コロナワクチンはどれも非常に原価が高いワクチンであり、16人分となると相当の金額になります。それを余らせてしまうと、そのままクリニック側の損失になるので非常にリスクが高いのです。(16人集めて接種するのも大変ですしね)また、治験でかなりデータを集めているとは言え、ファイザーやモデルナのワクチンと比べると接種している母数も全く異なります。そのためデータの蓄積に関しては従来打たれているワクチンに軍配があがるでしょう。このような理由でレプリコンワクチンを採用するクリニックは現実問題多くはないと考えられます。したがって、どのクリニックでもレプリコンワクチンが接種できるわけではありません。レプリコンワクチンを接種希望される方はクリニックのホームページを確認したり、電話で問い合わせることをおすすめいたします。
2024-10-05 03:30:58
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第15回大手前地域病診連携CKD・腎性貧血講演会を聴きに北浜フォーラムへ行ってきました
昨年と同じいつもお世話になっている中森先生のお話
慢性腎臓病診療のひんけつかりうむりん 大手前病院腎臓内科部長 中森綾先生
前年同様、淡々とお話されますが日々純粋にひとつひとつの現象に悩み真摯に臨床に取り組まれているのがよくわかる楽しい講演会、切り口が他の講演会とは違いとても面白く興味深いお話でした・・・
一部のみ列挙
昨年同様の疑問
一ランダム化比較試験(RCT)も一見しっかりした研究でも、「前提条件」しだいで「ありえない結論」が出せてしまうと・・飛行機からの脱出、パラシュートの有効性をRCTで検証!?/BMJ
航空機(飛行機またはヘリコプター)から飛び降りる際、パラシュートを使用しても死亡または重大な外傷は減少しない。米国・ハーバード大学医学大学院のRobert W. Yeh氏らが、無作為化試験「PARACHUTE試験」の結果を報告した。パラシュート使用群と空のバックパック使用群に無作為化
研究グループは、2017年9月~2018年8月、自家用機または民間航空機の18歳以上の乗客92例について試験参加の有無に関するスクリーニングを行い、そのうち登録に同意した23例を、パラシュートを用いて航空機から飛び降りる介入群と、空のバックパックを用いて飛び降りる対照群に、非盲検下で無作為に割り付けた。
主要評価項目は、着地時の死亡または重大な外傷(外傷重症度スコア[Injury Severity Score]15点以上)の複合エンドポイントであった。
本試験の真の意味は?
対照群と比較し、介入群で死亡や重大な外傷の有意な減少は認められなかった(パラシュート群0% vs.対照群0%)。この結果は、複数のサブグループで一貫していた。スクリーニングを受けたが登録に同意しなかった個人(非被験者)と比較して、試験への登録に同意した被験者は、有意に高度が低く(被験者:平均0.6m vs.非被験者:平均9,146m、p<0.001)、速度が遅い(同平均0km/h vs.平均800km/h、p<0.001)航空機に乗っていた。これらの結果を踏まえて著者は、「本試験は、地上で静止している小さな航空機にのみ被験者を登録することが可能であり、本試験の結果を高高度からの飛び降りについて外挿することは慎重でなければならない」と述べている。
ランダム化比較試験参加者は日常臨床で診療している患者よりリスクが低い
介入・治療により効果が得られる患者が選択的にランダム化比較試験の対象から除外されると治療効果は示されないと・・・
これらを踏まえ実臨床でどういう症例にHIF-PHD阻害薬を出すべきか今も悩みながら臨床されているとのこと
HIF-PHD阻害薬の直接的・潜在的問題点
HIF活性化に伴う遺伝子発現
悪性腫瘍 増殖・転移
血栓塞栓症
肺高血圧
糖尿病性網膜症 など
多発性嚢胞腎 嚢胞形成など
HIF-PH阻害剤 間接的・潜在的可能性(懸念) 1
αケトグルタル酸 アナログ ⇒ 抗加齢効果?
≒
ミトコンドリア内TCAサイクル基質 健康寿命延長効果? ✕
⇒活性酸素(ROS)上昇? 抗骨粗しょう症効果?
2-オキソグルタル酸依存性ジオキシゲナ ーゼの共基質 抗悪性腫瘍効果?
⇒エピジェネテック変化に関連? 圧負荷による心筋障害保護効果?
PHD HIF-PH阻害剤で阻害 ⇒ 血栓塞栓症のリスク??
≒
セリン スレオニンキナーゼAktを水酸化
⇒血小板 単球活性化に関与
HIF-PH阻害剤の(潜在的)利点
貧血治療にはESA同等に有効
非侵襲的(内服薬)
通院頻度が減る
生理的なエリスロポエチン濃度で貧血改善効果がある(高用量ESAは予後不良と関連)
鉄代謝の適正化
貧血を有するCKD患者に、鉄剤投与は推奨されるか?
貧血を有するCKD患者に対して鉄欠乏状態があれば、鉄剤投与を推奨する
ESA治療における目標値は?
保存期CKD患者の腎性貧血に対するESA投与時にはHb13g/dl以上を目指さないことを推奨する
根拠となるエビデンスは不足しているが、目標Hbの下限値は10g/dlを目安とし、個々の症例のQOLや背景因子、病態に応じて判断することを提案する
ESAとHIF-PH阻害薬の併用は想定されておらず、行うべきではない
今回も面白い論文 2つ紹介していただきました
バービーに関する論文とガラスカエルの論文を教えていただきました
Glassfrogs conceal blood in their liver to maintain transparency | Scienceのみ紹介
生き物が自らの姿を捕食者の目から隠すカモフラージュにはいろいろな方法があります。中南米のジャングルに生息する「ガラスガエル」は、筋肉や皮膚の透明度が高く、透明に近づくことで隠れるのですが、そのために体内を循環している赤血球を肝臓に隠すという方法を採っていることが研究でわかりました。
デューク大学の生物学者カルロス・タボアダ氏らの研究チームが調べたのは、中南米のジャングルに生息するフライシュマンアマガエルモドキ(ガラスガエル)です。
カエルの多くは夜行性で、昼は体色の色素に似た葉に乗ったり葉の下に潜ったりして身を隠します。しかし、日光が降り注ぐと、葉を通過した光によってカエルのシルエットが浮かび上がり、捕食者はカエルを見つけることができます。ガラスガエルは筋肉や腹側の皮膚の透明度を上げることで、シルエットが浮かばないようにして、生き残りを図っています。
タボアダ氏は、普通の生き物なら体内を循環する赤血球により、透明な組織すらも不透明に見えることがあるのに、なぜここまで透明になることができるのか、詳しく調査を行いました。
調査では、11匹のガラスガエルについて就寝中・覚醒中・仲間を呼んでいるところ・運動後など、さまざまな状況で撮影を実施。その結果、睡眠中のガラスガエルは起きている間に比べて透明度が34%~61%高くなっていることがわかりました。さらに、透明度が高くなるのは、循環する赤血球の量が最大で89%減少したことが原因で、減った赤血球は肝臓内に集中していることもわかりました。
論文の共同筆者であるゾンケ・ヨンセン氏は「ガラスガエルがやっているのは、人間がすべての血液を体から取り出し、体内のランチバッグに入れているようなものです。ガラスガエルはどうやってこれを実現しているのでしょうか?クールなことに、我々は知らないのです」と述べていた
どうしてこのようなことができるか機序がわかれば透析で貧血になり下肢虚血に陥りやすい患者も虚血がおこらないのでは?
高カリウム血症診療 Nephrol Dial transplant 2021
血清K値 寄与に食事でのカリウム摂取量は<2%
慢性腎臓病患者
(維持透析患者・保存期慢性腎臓病患者eGFR<60)
食事でのカリウム摂取や果物・野菜摂取量とカリウム濃度・高カリウム血症(>5mEq/L)に関連無し
(アルカリに代謝性アシドーシスにいい?)
むしろ 糖尿病・低アルドステロン・レニンアンギオテンシンアルドステロン系拮抗薬
インスリン作用不足・代謝性アシドーシスと関連
CKD患者の血清K値を管理することは推奨されるか?
総死亡・CVDリスクを低下させる可能性があるため、CKD患者の血清Kを4以上5.5未満に管理することを推奨する
高カリウム血症
レニンアンギオテンシンアルドステロン系拮抗薬などK上昇させる薬剤を減量・中止
代謝性アシドーシス補正
食事指導・排便管理
K吸着薬の処方
低K血症
ループ利尿剤・サイアザイド系利尿剤・カリウム吸着薬の減量・一時中止
*現状のエビデンスからCKD患者への画一的な野菜・果物の制限は勧められず、患者の忍容性に応じて
個別化医療も検討されてよいと考えられる
高カリウムに影響を及ぼす可能性がある事
便秘 食物が腸管に長くとどまる →カリウム吸収量が増える可能性
急激な運動 細胞内から細胞外へカリウム移動
代謝性アシドーシス
インスリン抵抗性
高血糖
筋の異化 筋肉量の増加 →食事による吸収されたカリウムによる高カリウム血症を緩衝する可能性
経口摂取中の様々なカリウム
動物 神経・筋細胞の電気刺激惹起→細胞内に多い→細胞内に多く含む動物性食品(肉、魚類)
95-10%が消化・吸収
代謝されて酸→代謝性アシドーシス→細胞内から細胞外へK移動→高K血症
植物 蛋白質合成・酵素活性化・光合成などに必要成分(参考 肥料:窒素・リン酸・カリウム)
線維に富む→便秘軽減・朝刊細菌叢の改善可能性
アルカリ負荷→アシドーシス改善の可能性
抗酸化作用ビタミン含有
細胞壁を有する→カリウムの消化・吸収効率が悪い(50-60%)加工食品(ジュース等)は効率高い
カリウム含有食品添加物 保存料・酸化防止剤・増粘安定剤・乳化剤 香料 代替塩など
95-100%が消化・吸収
リンと比較し摂取制限によるカリウム血症予防効果はエビデンスに乏しく
各種ガイドラインでも言及無し
経口摂取中の様々なリン
動物 蛋白質に結合→蛋白質豊富な食品(乳製品・肉、魚類)に多く含まれる
40-60%吸収
リン/蛋白質比は種類により大きく異なる(卵白1.4mg/g 卵黄 22.8mg/g)
植物 大豆・豆類・穀類・ナッツに多く含まれる
フィチン酸として含有→人は消化酵素を有さない→<50%吸収
リン含有食品添加物
保存料 着色料 栄養強化剤 乳化剤 緩衝剤
蛋白質と結合せず塩の状態→小腸で容易に吸収 90%
コカ・コーラ 62mg/約350ml
リプトン紅茶 98-189mg/約350ml
トロピカーナ(果物ジュース)53-140mg/約350ml
*透析中の慢性腎臓病患者における高リン酸血症
テナバノル塩酸塩 NHE3を阻害してリン酸吸収低下
2024-10-04 09:35:32
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