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Web講演会 7月30日

Web講演会 7月30日

ミトコンドリアの品質管理の向上を目指した糖尿病治療戦略 
久留米大学医学部内科学講座内分泌代謝内科部門主任教授 野村政壽先生

代謝恒常性の破綻
代謝           炎症
      
糖尿病
       老化
加齢による耐糖能低下のメカニズム
個体 
 ↓           運動量の低下  エネルギー過剰の食事内容
細胞・臓器      加齢に伴う体組成変化  骨格筋減少、脂肪組織の増加
 ↓           インスリン分泌の低下 インスリン感受性の低下
細胞         ミトコンドリア機能低下

ミトコンドリアダイナミクスとオートファジー
ミトコンドリアは生体の栄養状態(同化/異化)を感知し、常に融合・分裂のバランスを変化させ、動的にその構造を変化させている。このミトコンドリアダイナミクスは、エネルギー代謝(ATP産生)や慢性炎症に関与している。すなわちミトコンドリアダイナミクスは肝細胞においてエネルギーセンサーとして機能し、FGF21発現を介して、脂肪組織、骨格筋でのインスリン感受性を上げるなど全身の代謝調節を行っている。また、ミトコンドリアダイナミクスはオートファジーを介して自然免疫を制御し、その障害により慢性炎症が生じることを明らかにした。ミトコンドリアダイナミクスは代謝と炎症をつなぐ分子メカニズムである。
ミトコンドリア
ATP産生     ROS産生
↓            ↓
分化・増殖      DNA損傷・機能低下  (ミトコンドリアDNAは傷つきやすい)
↓            ↓
肥満 糖尿病     老化
   
 Trade-Offの関係
核ゲノムDNA          ミトコンドリアDNA
DNA
           ↓   DNA損傷  
DNA修復       ↓
          老化
核ゲノム品質管理       ミトコンドリア品質管

ミトコンドリア機能
1ATP産生
2Ca ホメオスターシス
3脂肪酸β酸化
4Innate Immunity(自然免疫)
5プログラムされた細胞死
6ミトコンドリアダイナミクス

ミトコンドリアの品質管理
生命活動に必要なエネルギーをつくる、活性酸素を消去する抗酸化酵素SODをつくる、寿命を迎えた細胞や損傷した細胞を取り除き細胞環境を正常に整えるなど、ミトコンドリアは私たちの健康維持に欠かせない重要な働きを担っているが、ミトコンドリアは決して不死身でない。細胞活動に必要なエネルギーをつくり出す過程では必ず活性酸素が発生し、同時につくり出す抗酸化酵素SODによってそのダメージを軽減することはできるが、完全に防ぐことは困難で、活性酸素の攻撃を直接受け続けるミトコンドリアは、時間の経過とともに衰え、質も下がり、働きの悪い「不良ミトコンドリア」に変化する。不良ミトコンドリアが細胞内で増加し、蓄積すると、細胞の働きに欠かせないエネルギー産生力がどんどん下がり、細胞機能が低下。また、不良ミトコンドリアの蓄積は、過剰な活性酸素の発生源にもなる。細胞には機能障害を起こした不良ミトコンドリアだけを選択的に分解・除去するミトコンドリアの品質管理システム「マイトファジー」が備わっている。 このシステムが正常に機能する細胞内は、必然的に質の高いミトコンドリアで満たされる。
ミトコンドリア分裂 →ERストレス 疲れたミトコンドリアがオートファジーされる
DRP1がミトコンドリアの分裂を促す DRP1ノックアウトマウスで分裂させないと 細胞死が増加 線維化が増加する

ミトコンドリア品質管理からみた糖尿病治療
ATPは炎症を惹起し、ケトン体は炎症を鎮静化する
βOHBは用量依存性にNLRP3インフラマソームを阻害
同化                  異化
インスリン               グルカゴン
肥満                  ケトン体 
    ATP↑                ↓ 
        →+ 
慢性炎症   (―)←
ミトコンドリアの品質管理を向上するためには異化と同化を繰り返す必要が・・・・
異化の時間を確保する必要がある
空腹時の代謝
グルカゴン/インスリン ↑↑
肝臓        FFA↑
糖新生        Acetyl CoA→ ケトン体 →脳
↓  
脳 糖供給        
マイトファジーによりアミノ酸を肝臓に供給 →TCAサイクルに 
空腹時のマイトファジーの役割は?
1空腹時の糖産生の供給
2ミトコンドリアの品質管理

食事療法/生活習慣を改善して同化と異化のバランスを保つ必要が
ツイミーグ錠500mgが2021年6月23日製造販売承認取得
メトホルミンとイメグリミンの構造式似ている
イメグリミンの多彩な抗糖尿病作用
              インスリン感受性↑ インスリンシグナル増強 糖取り込み促進(筋肉)
酸化ストレス↓   イメグリミン   肝 糖新生↓
  ミトコンドリア機能↑     膵β細胞機能↑  グルコース刺激インスリン分泌促進
                               β細胞アポトーシス抑制
 イメグリミン 作用
肝臓におけるミトコンドリア複合体1競合阻害作用ならびに複合体3蛋白質量・活性化回復作用 
mPTP開口しない(アポトーシス(―)
呼吸鎖複合体1のある程度の部分(競合)阻害 →合体3蛋白質量・活性の回復   活性酸素濃度低下 ↑
  ROS産生の低下                     
膵臓β細胞 NAMPTサルベージ経路↑NAD+↑→Caイオン動員→インスリン分泌↑

イメグルミンの作用機序
NAMPT(NAD+合成系酵素)遺伝子、ミトコンドリア呼吸鎖複合体1への作用を介して
膵β細胞におけるグルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、肝臓、骨格筋での糖代謝を改善する膵外
作用(糖新生抑制、糖取り込み改善)という2つのメカニズムで血糖降下を示す

国内臨床試験
第2相試験 用量反応検討試験 
イメグルミン1000mg(1日2回)群 1500mg(1日2回)群 
HbA1C  24週      0.51%減少   0.57%減少
副作用            特になし     胃腸障害15%
第三相試験 TIMES試験
単独試験 1000mg(1日2回)  24週で0.72%HbA1C低下 徐々にゆっくり下がってくる印象(dual作用?)
特にめだった副作用無し
長期併用試験  HbA1C
52週  単独 -0.46    SU -0.56%  αGI -0.85% グリニド -0.70 ビグアナイド -0.67%
     チアゾリジン -0.88% DPP4阻害剤-0.92% SGLT2阻害剤 -0.57% GLPRA -0.12%
ビグアナイド併用で消化器症状少し増えた SU剤で低血糖少し増えた
インスリン併用 -0.63% HbA1C 若干低血糖増えた

イメグリミンの課題と展望
基礎課題 抗糖尿病作用の全容解明 
     膵作用・膵外作用の分子機構
        ミトコンドリア作用の分子機構解明(品質管理)
臨床課題  安全性・有効性の確認  長期使用 高齢者 高度腎機能障害
      心血管・腎疾患への影響
   →日本人2型糖尿病治療におけるポジショニング

 

2021-07-31 05:30:00

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