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Webレクチャー 1月15日

Webレクチャー 1月15日

急性腎障害の基本対応 岐阜大学医学部付属病院医師育成推進センター/腎臓内科 伊藤貴康先生
一部のみ列挙
急性腎障害の定義
48時間以内にsCr≧0.3mg/dl上昇
sCrが7日前以内の値より≧1.5倍の増加
尿量<0.5ml/kg/時間の減少が6時間以上持続   
3つのうちのいずれか1つでも満たせばAKI
急性腎不全(ARF)
かつては日単位で急速に腎機能が低下する病態を急性腎不全と呼んでいた
すでに腎機能脳が悪くなった結果を示す病名
診断された時点で、腎不全がすでに完成しており。治療介入しても十分効果が得られる見込みが低い
腎機能の悪化を「変化」として早期に捉えと考えた

AKI
診断したら重症度基準で病期分類する
軽症でも腎予後あるいは生命予後に影響
必ずしも完全に回復する病態ではない

「わずかで」あっても急激な腎機能低下で診断する必要がる
AKI重症度分類
Stage
血清Cr値が元の1.5-1.9倍(または≧0.3mg/dl)または尿量が6-12時間に亘って0.5ml/kg/時間以下
Stage
血清Cr値が元の2.0-2.9倍に増加 または尿量が12時間以上に亘って0.5ml/kg/時間以下
Stage
血清Cr値が元の3倍以上(または≧4mg/dl)
または透析療法の開始
(または18歳以下の場合はeGFR<35ml/分/1.73m2
または12時間に亘って無尿の場合
ICU入室患者のAKIと生命予後
60日間  No AKI   90%以上
     Risk     85%    Cr1.5-2倍
     Injury     75%  Cr2-3倍
     Failure     60%  Cr 3倍以上

急性腎障害
Crが上昇傾向 あるいは 尿量が減っているは要注意
eGFRの換算式は急性腎障害では用いることができない
時間当たりの尿量はリアルタイムに病態を反映する

AKIのハイリスク群
高齢者
糖尿病
肝障害(肝硬変・肝不全)
うっ血性心不全
慢性腎臓病(CKD)

AKIの予防
1適切な血行動態の維持
2不必要な腎毒性物質への暴露の回避

血圧が正常な時
輸入細動脈―糸球体―輸出細動脈 GFRは一定
低血圧になると
プロスタグランジン↑   アンギオテンシン2↑ 
輸入細動脈 拡張      輸出細動脈収縮
     自己調節能によりGFRを維持する
低血圧でRAS阻害剤を使うと 輸出細動脈の代償機構× GFR低下
NSAIDsが輸入細動脈が拡張できず  GFR低下

AKIを起こす代表的な薬剤
腎前性AKI               NSAIDs RAS阻害剤 利尿剤 ヨード造影剤 CsA
腎性AKI  尿細管毒性         アミノグリコシド アンホテリシンB ヨード造影剤
                    プラチナ製剤
      アレルギー性間質性腎炎   ペニシリン系(特にメチシリン) そのた抗生剤
                    利尿薬 アロプリノール PPI H2ブロッカー

      腎炎・ネフローゼ      NSAIDs インターフェロン リチウム ペニシラミンなど
腎後性AKI               アシクロビール メトトレキサート インデイナビル
特に
輸入細動脈はダメージを受けやすく
1高齢者
2重症感染症

前者は器質的に動脈硬化 後者は輸入細動脈が狭くなっている
そこにNSAIDsやRAS系阻害剤など腎毒性物質に暴露されるとAKIに至る可能性大
AKIでのDo No Harm
1常にすること
 RAS系阻害剤、NSAIDsの中止
 腎後性AKI除外のための腹部超音波検査 (膀胱や腎盂の拡張mなど)
 正常な血圧維持(患者によって異なる)
 適切な輸液
 薬剤投与量の見直し

2よくすること
 利尿薬の中止
患者を診るポイント
1輸液をせず、ループ利尿剤をいれていない?
2NSAIDsやARB、ACEIを飲んでいない?
3下腹部ははれていない?
4尿量は十分出てる?
5患者が訴えることは少ない
腎性の場合検査時間かかる MPO-ANCA PR3-ANCA 抗基底膜抗体 抗核抗体など検査
HUS/TTPの考慮も

AKIの典型的なパターン
頻度の高いケース
CKD患者+NSAIDs使用
CKD患者+用量調節無しの抗菌剤、抗がん剤
骨粗しょう症のある高齢者+ビタミンD製剤+カルシウム製剤投与
慢性腰痛のある高齢者+徐痛目的の定期NSAIDs使用

たまに遭遇するケース
血管内カテーテル治療、大血管手術後の網状皮疹、Blue Toe Sydorome 好酸球増多 →コレステロール塞栓症
心房細動患者の突然の側腹部痛+LDH→腎動脈塞栓症
高齢者男性の抗コリン薬 、抗うつ薬→尿閉(BPH)による腎後性腎不全

 

2025-01-16 10:02:53

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