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WEB講演会 9月29日

WEB講演会 9月29日

安全性を考慮した不眠症治療について 大阪急性期総合医療センター 大阪精神医療センター部長 松田康裕先生
一部のみ列挙
不眠症と身体疾患の関係
      不眠や睡眠不足
         ↓
交感神経活性亢進  夜間コルチゾール上昇                      オレキシン上昇  摂食時間上昇 エネルギー消費の低下 
           夜間GH分泌上昇              レプチン低下
                           グレリン上昇

            ↓                         ↓             ↓
   
インスリン抵抗性↑                   食欲↑          
   
耐糖能↓                       接触量↑
 
生活習慣病                    ← 肥満                    ←
代謝異常・心血管疾患
心筋梗塞 脳梗塞

       ↓
   生命予後の悪化

不眠症と認知症の関係
51のコホート研究をメタ解析すると
睡眠障害は認知症や認知機能の低下と有意にっ関連
長い臥床時間は認知症もしくは認知機能低下と有意に関連

不眠症の主な原因 5Pについて
1身体的     さまざまな身体疾患やその症状(痛み、かゆみ、咳、頻尿、発熱)が原因でおこる不眠
2薬理学的   アルコールやカフェインなどの嗜好品に含まれる成分や治療のために服用している薬
          (降圧剤、アレルギー薬、ステロイド薬など)が原因でおこる不眠

3精神医学的 不安障害や躁うつ病、大うつ病、統合失調症などが原因でおこる不眠
4心理学的  ストレスや重篤な疾患、人生の大変化などが原因でおこ不眠
5生理学的  ジェット時差(時差ぼけ)、交代勤務、短期の入院などが原因でおこる不眠
*アルコールによる不眠
前半ではアルコール作用により短期的には睡眠は促進されるが、
後半ではアルコール離脱により睡眠の量(中途覚醒の増加)と・質(深睡眠減少・浅睡眠の増加 )が低下する                               
長期になると入眠促進にたいしても耐性が生じ全般の睡眠障害とアルコール依存症出現

不眠症治療 非薬物療法
睡眠衛生指導
日リズムの維持・強化  毎日同じ時間に起床し、太陽の光を取り入れる
                 就寝2-3時間前にぬるめの温度で入浴する
                 昼寝するなら午後3時までに20-30分程度

生活習慣を見直す     1週間単位で生活リズムを見直し、睡眠不足を注意する
                 夕方以降の激しい運動や興奮する行為をさける
                 就寝1-2時間はスマホやPCをさける

嗜好品に注意        就寝前4時間のカフェイン摂取、就寝前1時間の喫煙はさける
                 夜中に目が覚めた時喫煙しない 寝酒はしない

就寝環境を快適にする   明るさ、音、温度、湿度、換気調節をする 寝室を眠ること以外で使用しない
睡眠のにこだわり過ぎない 睡眠時間、不眠になる原因について追及しすぎない
                 就寝時間を生理的な睡眠可能時間に合わせる
                 夜中に目が覚めても時刻を確認しない

不眠症の是正ポイント
*就寝時にこだわりすぎず、眠くなってから床に就く
朝起きる時間を一定にするほうが大事
*睡眠禁止ゾーン(19時から22時)に寝てはいけない
*眠りが浅い時は、むしろ寝床を離れて、眠くなってから床に戻る
(睡眠認知行動療法:刺激制限法)
昼寝は効果的だが30分以内に
起床後に光を浴びる(体内時計をリセット)

健康づくりのための健康ガイド2023より
対象者         推奨事項
高齢者   長い床上時間が健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に必要な睡眠時間を
       提案する
       食生活や運動等の生活習慣や寝室環境等を見直して、睡眠休養感を高める
       長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中は長時間の昼寝はさけ、活動的に過ごす

成人     適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する
       食生活や運動等の生活習慣や寝室環境等を見直して、睡眠休養感を高める
       睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合には、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが
       病気が潜んでいる可能性にも留意する

子供     小学生は9-12時間、中高生は8-10時間を参考に睡眠時間を確保する
       朝は太陽の光をあびて、朝食をしっかりとり、日中は運動して、夜更かしの習慣化を避ける

不眠症治療 薬物療法
  睡眠システム    ⇔    覚醒システム
抑制性神経系            覚醒神経系
 (GABA)             (ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニンなど)
          調節システム      
          (メラトニン)

鎮静系睡眠薬
GABAA受容体
              鎮静  睡眠 抗不安 筋弛緩 抗けいれん 前向性健忘  依存  耐性
α1            〇   △            〇       〇       〇
α2                 〇   〇    〇   
α3                 〇   〇    〇 
α5                          〇                  〇

 
副作用リスク      翌日の眠気         ふらつき            健忘  依存  耐性
              注意集中力の低下     転倒             せん妄 離脱

ゾルピデム(マイスリー)  α1>>α2、α3、α5
ゾピクロン  (アモバン)  α1α5>α2、α3
エスゾピクロン(ルネスタ)  α2、α3>α1、α5

*鎮静系睡眠薬は服用6-8か月以降は身体依存(離脱症状、軽微な不眠増悪化を含む)が生じている可能性をかんがえる
代表的な離脱症状
出現頻度多い         少ない       力価が強くて半減期が短いBZで多い
不眠  頭痛          意識混濁     エチゾラム(デパス)アルプラゾパム(ソラナックス)
不安   発汗         幻覚        ロラゼパム(ワイパックス)
イライラ 傾眠         錯乱        フロゼパム(レキソタン) などが怖い?
焦燥   吐き気        せん妄
筋肉痛  抑うつ気分     てんかん発作
      運動能力の低下

転倒
高齢者のおけるBZ系薬剤による転倒リスクは有意に高い 1.6倍 メタ解析
転倒にかかわる要因は多くの因子がある
筋、骨格筋の変化 サルコペニア 循環器疾患 薬剤 視力聴力の低下など 

覚醒系抑制経路
オレキシン受容体拮抗薬は覚醒系を維持している神経伝達物質オレキシン受容体をブロックして、その働き
を阻害して覚醒状態から睡眠状態へ移行する
BZとは違い乱用・身体依存・筋弛緩作用・中断後の反跳現象・離脱症状は起こりにくい

topics
夜間頻尿を伴う不眠症へのオレキシン受容体拮抗薬の有効性
32名でデエビゴ5㎎を4週間投与 不眠症と夜間頻尿エピソードを有意に改善した
60名でグービビック50㎎を投与4週間投与プラセボとクロスオーバー試験 不眠症と夜間頻尿エピソードを有意に改善

推定機序 オレキシン受容体は視床下部中枢・橋排尿中枢 膀胱にも存在する
       排尿そのもの抑制も行った

 

2025-09-30 06:18:10

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