CKD早期治療介入におけるSGLT2阻害剤の意義 埼玉医科大学医学部腎臓内科教授 井上勉先生
一部のみ列挙
心腎連関
共通のリスク因子
加齢 高血圧 糖尿病 脂質異常症 喫煙 肥満
心拍出量の低下 腎灌流量の低下
静脈圧の上昇 腎うっ血
心臓 ⇔ 慢性炎症 ⇔ 腎臓
RASS亢進
内皮機能障害 動脈硬化
酸化ストレス
血行動態の変化
交感神経系の亢進
貧血 鉄動態の異常
MBD関連因子 Ca P FGF23など
Na貯留 体液過剰
尿毒症関連危険因子 AGEs ADMA インドキシル硫酸 エンドセリンなどの蓄積
CKD診療の目的は
末期腎不全への移行を防ぐ
心血管イベントの発症を防ぐ
(全)死亡を防ぐ
そのために
糸球体濾過量を低下させない
(あるなら)蛋白量を減少させる
蛋白尿を介さず慢性腎臓病が悪化する症例では何がおきているのだろう(病態を考える)
その病態にRA系阻害剤は効かないらしい(ガイドラインに明記された)
SGLT2阻害は効くのだろうか?
症例・病態ごとにリスク・ベネフィットを考えて適応を決めることが求められる
糸球体病変 ⇒検尿異常が出やすい 若年 輸入細動脈拡張 糸球体内圧↑ 輸出細動脈収縮
↓ 慢性糸球体腎炎
↓ 古典的な糖尿病性腎症 DN 輸入細動脈拡張 糸球体内圧↑↑ 輸出細動脈収縮
↓ 糖尿病関連腎臓病 ang2 ANP インスリン
↓ DKD 最近はやりのDKD 輸入細動脈収縮 糸球体内圧→ 輸出細動脈収縮
↓ 高血圧性腎硬化症 高齢 Ang2
血管 尿細管 間質病変 ⇒検尿異常がでにくい 糸球体内圧は変化なし
少しさがる 蛋白尿のないCKD症例は糖尿病の有無にかかわらず、ACE阻害剤/ARBエビデンスはない
エビデンスに基づくCKDガイドライン2023 CKD診療ガイドライン2024
蛋白尿と無関係にCKDを進行させるリスク因子は?有力候補のひとつが低酸素・虚血
MRIにて低酸素・虚血が関与していることが確認された
利尿薬が腎保護的に作用するかは議論がある
糸球体過剰濾過の是正のみならARBの二の舞
開始時のイニシアティブが認められる
糸球体過剰濾過の程度は原疾患に強く依存する
SGLT2阻害が疾患横断的に効果がある理由にならない?
SGLT2阻害独自の機序は低酸素状態の解除なのではないか?
あらゆる腎疾患に効果があるのでは、あらゆる腎疾患に共通する病態を改善しているから?
Daibetes Obes Metab 2018
アルブミン尿を43.9% eGFRを5.1ml/min/1.73m2低下
蛋白尿の選択制(IgG/アルブミンクリアランス比)変化なし
KIM-1排泄を22.6%減少(NGAL、LFABPに変化なし)
Il-6排泄を23.5%減少(MCP-1に変化なし)
アルブミン尿の変化はeGFRおよびKIM-1と正の相関
アルブミン尿減少効果の機序として
糸球体内圧低下による効果
近位尿細管でのNa-glucose再吸収期による酸素消費量低下
低酸素ストレス軽減による尿細管細胞保護
RENAL PHYSIOLOGY 2015
コントロール群と糖尿病群における総腎酸素消費量および腎皮質・腎髄質の組織酸素分圧
ベースライン時 ↑ ↓
SGLT2阻害剤後の ↓ ↑
糖尿病性ラットにおいて、SGLT2阻害剤は皮質のpO2の改善、糸球体過剰濾過を是正、近位尿細管での酸素消費の是正化 これらの知見はSGLT2阻害剤の腎保護効果の機序理解に重要な示唆を与えるものと考える
ただし、髄質のpO2低下など、さらなる検討課題も残される
Frontiers in Endocrinology 2024
血糖管理を行う2型糖尿病治療薬が腎臓の酸素状態を改善していることを明らかにした
大阪公立大学大学院医学研究科腎臓病態内科学の森 克仁准教授と埼玉医科大学医学部腎臓内科の井上 勉教授らの共同研究グループは、SGLT2阻害薬の作用機序を調べるために腎臓の酸素量に着目。2型糖尿病患者14人へSGLT2阻害薬を5日間投与し、投与から1日目と5日目の腎臓の酸素量を、BOLD MRI(Blood oxygenation level-dependent MRI)を用いて調べました。その結果、投与前に比べて酸素量が向上したことから、SGLT2阻害薬は腎臓の酸素状態を改善し、腎臓を保護する可能性が示されました。
常容量で低酸素状態が改善させることが証明された
治療の基本
原因疾患への対応+CKDとしての治療
肥満 高塩食 喫煙 血圧 尿酸値 脂質異常 蛋白尿
SGLT2阻害剤 低酸素状態の是正?
病態におうじてRAS阻害剤 MRB GLP1
糖尿病 糸球体腎炎 膠原病 悪性腫瘍など・・・




2025-10-07 06:52:55
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