内科(呼吸器・循環器・消化器・糖尿病外来・各種健診(入社・定期))
〒541-0047 大阪府大阪市中央区淡路町4-7-2
TEL 06-6203-7636
トップページ»  ブログ記事一覧»  WEB講演会 10月9日

WEB講演会 10月9日

WEB講演会 10月9日

治療満足度を高める喘息治療~患者目線で考える治療戦略~ みなみ堀江クリニカル 理事長 南和宏先生
一部のみ列挙
喘息診療
 病態と治療
 Treatable traits 
 重症喘息
 患者さんの満足度・アドヒアランス向上のために

気管支喘息とは
 気道の慢性炎症を本態とし、変動性を持った気道狭窄による喘鳴・呼吸困難・胸苦しさや咳などの
 臨床症状で特徴づけられる疾患
   喘息症状
   気道過敏性
   気道の慢性炎症
    ↓
   リモデリング

 気道の慢性炎症
    発作が出ていないとき                発作のとき
 炎症が続いている
  気管支粘膜              →        気道粘膜がむくむ
  弾性繊維束          
アレルゲン 冷気          痰が増える
  気管支軟骨         
 感染 たばこ など         筋肉が縮む
  平滑筋性線維束                        気道狭窄
                                  
喘鳴 呼吸困難 咳
喘息診療のロードマップ
コントロール良好
  治療の継続
  副作用のモニタリング       コントロール不良
  ステップダウン              治療の強化・変更
                         専門医への紹介
                ↑ モニタリング
                       コントロール状態(ACT)
                       気道炎症のバイオマーカー
                       ピークフロー(PEF)
                       吸入手技 アドヒアランス
                       薬物の副作用
治療開始         
 治療フロー
 →中等量ICS/LABAより開始
 臨床的寛解を目指す 
                     検査・評価
                     Treatable traits の抽出
   喘息の臨床診断
                ↑
            喘息を疑う

喘息治療のフローチャート(成人)
        喘息と診断
      中用量ICS/LABA
          ↓
 コントロール良好           コントロール不十分/不良    
治療継続   ステップダウン    Treatable traits の抽出
                    ↓           ↓          ↓        
                
タイプ2炎症     咳・痰・気流制限    鼻炎       GERD
                (好酸球、FeNO、IgE)   ↓          ↓       
 ↓
                   ↓        ICS/LABA/LAMA  LTRA追加     PPI
                高用量ICS/LABA
                ICS/LABA/LAMA
               
              
不安/抑うつ    気道感染     肥満   OSA    喫煙 アドヒアランス
              カウンセリング   抗菌薬など   減量  CPAP      禁煙  吸入指導
              抗うつ薬

Treatable traits とは
 従来のStepwise的(順をおった)な治療法でなく、患者個々人の治療の治療可能な「Traits 形質・特徴」
 を抽出し、治療選択の最適化を目指すという概念

病態に基づいた治療
 喘息治療を行う上で、吸入薬、内服薬、生物学的製剤など様々な薬剤が使用できるようになった
 喘息診療では、患者毎の病態を把握したうえで、治療可能な「Traits 形質・特徴」を抽出し、治療の最適化
 を目指すことが重要

Treatable traitsに基づいた治療戦略  喘息予防管理ガイドライン2024より
 治療ステップ3                          治療ステップ4
ICS(中~高用量)      コントロール不良        ICS+LABA+LAMA
    +              ⇒     気流制限 喀痰 ウイルス感染
  LABA                              生物学的製剤
                          2型炎症 
                           好酸球 FENO IgE

喘息の長期管理の進め方   喘息予防管理ガイドライン2024より
治療によって良好なコントロールを得られない
      ↓  Yes                       
 
 喘息の診断は正しいのか?   No  →  他疾患の診断・治療
      ↓                気管支内結核 腫瘍 COPD 薬剤性気管支拡張症 うっ血性心不全
 
 服薬アドヒアランスが良好か  No  →  再指導
  吸入手技は正しいか  ?
      ↓yes
  
暴露因子や合併症は正しく    No  →  禁煙 増悪させ得る薬剤の変更/中止 合併症管理の徹底
  管理されているか               副鼻腔炎 ABPA EGPA GERD 睡眠時無呼吸症候群 肥満
     ↓yes 

治療のステップアップによる改善 No  → 専門医への紹介 (治療ステップ4)
         ↓yes                    生物学的製剤
コントロールが達成・維持されたら3-6か月にステップダウン
*ABPA(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症)
ABPAは、アスペルギルスという真菌に対する過敏な免疫反応によって起こる病気です。主に喘息や嚢胞性線維症の患者さんにみられます。アスペルギルス抗原に対するIgEやIgG抗体反応、細胞性免疫応答が活発になり、気道閉塞を引き起こします。治療せずに放置すると、気管支拡張症や肺線維症に進行する可能性があります
EGPA(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)とは
気管支喘息などの閉塞性気道障害や、鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎のある患者さんで、白血球の一種である好酸球が異常に増加して、様々な臓器の中にある小さい血管に 炎症 ( 血管炎 )を起こし、血液の流れが悪くなって臓器の障害を生じる病気です。早期に血管に起こった炎症を抑えることで多くの症状は改善しますが、 末梢神経 の障害によるしびれは長く残ることがあります。また、治療を減らしていったり治療を中止したりした時に再発することもありますので、定期的に通院しながら適切な治療を行うことが必要です
重症喘息のフローチャート 喘息予防管理ガイドライン2024より
  経口ステロイド(OCS)の屯用を年2回以上必要とする
          And/or
       日常的な喘息コントロール不良
           ↓
     服薬アドヒアランス/吸入手技の確認、合併症の管理
           ↓
  タイプ2炎症あり       タイプ2炎症なし
  生物学的製剤         マクロライド少量長期投与  ⇔ デゼベルマブ
                                オマリスズマブでも可

Type2炎症と喘息の表現型の特徴
  典型的特徴
    喘息
  Th2-High                   Th2-Low
 IL-4、IL-13、IL-5                 血中好酸球低値
 血中好酸球増多                  喀痰中好酸球増多
 組織中好酸球増多の亢進              肥満関連
 血清IgEの上昇                  コルチコステロイドに対する反応不良
 FeNOの上昇

 AR、CRSsNP/CRSwNPなどの上気道疾患の合併
 EoEおよびADなど、その他のType2炎症性疾患の合併
 コルチコステロイドに反応

IL-4/IL-13による喘息症状のメカニズム
   IL-4/IL-13
神経免疫相互作用      平滑筋収縮      リモデリング      粘液増多
感覚神経への直接刺激    平滑筋収縮亢進      線維芽細胞増生  杯細胞過形成
              平滑筋過敏性亢進 基底膜肥厚        MUCSAC発現亢進
              気道過敏性亢進               繊毛細胞アポトーシス
                           気道内腔狭窄
   ↓               ↓                      ↓
   咳              息切れ                    痰

喘息治療における満足度・アドヒアランスの向上
医師患者のコミュニケーション
 患者の訴えを的確に把握し、治療可能なtraits を抽出、適切な薬剤選択を行う(Treatable traits )
日常生活への影響
  夜間症状、仕事での支障に悩みを抱えてるケースが多く、薬剤選択のみならず、生活習慣面でのアドバイスも行う
精神的・心理的負担
 正しく治療を行えば、多くのケースで症状コントロールが可能。症状が改善することで、自己効力感につながるよう
 治療の最適化を行う

 

2025-10-10 06:07:33

  |  コメント(0)

 

コメント

お名前
URL
コメント