気象病を攻略せよー五苓散を起点とする頭痛・めまいの漢方戦略― せたがや内科・神経内科クリニック院長 久手堅司先生
一部のみ列挙
気象病とは
気象条件の変化(気圧、気温差、湿度)によってさまざまな体調不良が出ること
症状は頭痛、めまい、倦怠感、疲労感、首肩こり、低血圧、眠気、古傷が痛む、神経痛、動悸、息苦しさ、メンタル面の不調など 一般的な診察では検査に異常が出ず、原因不明とされることが多い
気象病の症状BEST5 1頭痛2全身倦怠感・倦怠感・だるい3首肩こり4めまい5起床困難
症状について
頭痛(筋緊張型頭痛+片頭痛) 最も多い症状で80%前後の方に出現
気象変化では、片頭痛がメインと考えられることが多いが、実際は筋緊張型頭痛のほうが多い
その他 首肩こり、めまい、吐き気、起床困難 低血圧、傷の痛み、うつ症状 不安症状
気管支喘息 鼻炎 動悸など種々な症状を訴えることが多い
データー
性差 女性70‐80% 男性20-30%(最近は男性の割合が増えている)
年齢 20‐50代 (10代も目立つようになってきた)
職業 デスクワークの人に多い
体質 影響あり
コロナ禍の影響により患者数が増加
季節病との違い
気象病 短時間での変化で起こる 命にかかわる症状がおきることはない
季節病 特定の季節でおこる 春はスギ花粉症 5月病 夏は夏バテや熱中症 秋は気管支喘息や関節痛の悪化
冬はインフルエンザ 狭心症 心筋梗塞など
気象病チェックリスト
1天候が変わる時に体調が悪い
2雨が降る前や天候が変わる前に、何となく予測が出来る
3頭痛もちである
4耳鳴りやめまいが起こりやすい
5肩こり、首こりがある。首の外傷歴がある
6猫背、そり腰がある。姿勢が悪い
7乗り物酔いをしやすい
8PC作業やスマートフォンの使用時間が長い。平均4時間/日以上
9ストレッチや柔軟体操をすることが少ない
10歯のくいしばりや、歯ぎしり、歯の治療が多い。顎関節症と言われたことがある
11エアコンが効いている環境にいることが多い。夏冬ともに
12日常的にストレスを感じている。特に精神的なストレス
13更年期障害ではないかと思うことがある。男女ともに
上記1か2に該当する場合は気象病の可能性が高い 3-13は3つ以上あると予備軍
気象病を疑う場合の具体例
気候(気圧、気温、湿度)の変化で具合が悪くなる
1雨が降る前に頭痛やめまいがする
2季節の変わり目に体調を崩す
3寒暖差が大きいとぐったりつかれてしまう
4高速エレベーターに乗ると具合が悪くなる
5高地へ移動すると具合が悪くなる
気圧・寒暖差・温度別のメカニズム
気圧
気圧の変化で鼓膜の内側が膨らむ(気圧の影響を最も受けやすいのは耳)
↓
内耳がセンサーとなり気圧の変化を察知
(気象病の患者では内耳感覚が敏感になっている)
↓
めまい 耳鳴りなどが起こる
↓
自律神経にも影響がでる
気圧低下による慢性痛悪化のメカニズム
低気圧→ 交感神経↑ → 副腎髄質→血管収縮→ 痛覚線維活動↑
→ 虚血 局所環境の悪化
↓
↓ ←
→ 痛覚線維活動↑ →痛み
寒暖差疲労
外気温に変化に対して自律神経の働きによって体温を調節している。寒暖差(主に7度以上)があると体温調整に使用するエネルギー消費が大きくなるため、自律神経にも負担がかかる
気温低下は交感神経を賦活すると同時に皮膚の冷感感受性線維の興奮も引き起こす
→疲労感・頭痛・首肩こり・めまいなどの不調が出やすくなる(寒暖差疲労)
→皮膚冷感受性線維の感作が重要な役割を担っている
低温→ 交感神経↑ → 副腎髄質→血管収縮→ 冷感受性線維活動↑
→ 虚血 局所環境の悪化
↓
↓ ←
→ 冷感受性線維活動↑ →痛み
気圧とは少し異なる出方をする(症状)
→全身倦怠感 だるい 疲労感などが8割と多く、冷えののぼせ、首肩こり、緊張型頭痛 めまい 動悸
うつ症状など
急に暖かくなると、のぼせやホットフラッシュ、片頭痛など
時期は暖かくなる3-4月寒くなる10-12月が多いが、ここ数年は1月2月でも出やすい
湿度が低い時 皮膚の乾燥 呼吸がしにくい 声がだしにくい 喉が締め付けられる 咳、目が痛い
湿度が高い時 汗が出て生きづらくなるため、不快感、熱がこもる、熱中症の原因となる
気象病の特徴
いつ起こりやすい
年間で不調を訴える方が多い時期 5月前半~7月後半 (梅雨前~梅雨が終了するまで)
秋の台風シーズン
気圧の変化で不調を訴える場合が多い
なりやすい人
性別 女性70‐80% >男性20-30%
年齢 ピークは10代から50代 小学生低学年から80代まで
PC作業 スマートフォンの使用時間が長い人
運動不足な人
規則正しい生活習慣のない人
低血圧の方
低血圧の方は気圧低下時により低血圧となることが多い →起床困難となっている場合が多くみられる
症状
不調のピーク 雨が降っているとき<雨が降る前
不調の程度 上り坂 < 下り坂
頭痛にめまい (回転性+非回転性 ともに)を併発する方が多く、気象変化時に不調を訴えることが多い
→めまいに関係している耳の影響があると考えられる
乗り物酔いとも関連?
飛行機に乗り、上昇、下降時に同じ症状を訴える方が多い
耳が詰まる感じ、体の浮腫みも訴えの多い症状
長野県にいくと頭痛が出現するという方も
乗り物酔いをする方にも気象病の症状が出現しやすい
気圧の影響は全身におこるが最も影響が出やすい場所は耳
自律神経との関係
自律神経は気象変化にも対応
→気圧差や寒暖差、湿度の変化などが起こったときに、自律神経が働いて心身のバランスを保っている
個人差が大きい 気象変化が大きくても全く不調を感じない人もいる
逆に一度気象変化で不調を感じ始めると徐々に許容範囲が狭まっていく。不調の種類も増えていく場合が多い
治療方針
気象病に対する治療に関しては試行錯誤の状態
西洋医学の薬では頭痛とめまいに同時に効果のある薬は少ない
漢方の水毒という状態が症状把握には合致
投薬治療 五苓散など処方 不調に合わせた薬を検討
セルフケア指導 生活習慣の工夫 ストレッチや呼吸法の指導
骨格の歪みを改善 パーソナルトレーニングやヨガ、ピラテスなど背骨の動きをよくする運動療法や整体
鍼灸などを提案
五苓散
気象変化に伴う症状で1番使用頻度の多い薬剤
約70%の方が症状が五苓散で改善(当クリニック)
水毒の徴候に気象病の症状が合致していることがポイント
肩こりを伴う症例では筋弛緩薬を併用すると効果がでやすいので、できれば単独投与
過去無効例の患者さんでも1日3回の服薬指導で改善した例もあり
2週を越えて3-4週から効果が出はじめる症例も多い
*水毒的な症候
浮腫(水腫)が多い 車酔い 嘔吐 下痢しやすい
めまい 耳鳴り 頭痛が多い
冷え症が多い 症状が季節と天候で増悪する
五苓散 単独で納得の結果が出ない場合
漢方薬の併用
→緊張型頭痛には 葛根湯
→片頭痛には 呉茱萸湯
→めまいには 半夏白朮天麻湯 苓桂朮甘湯
→低血圧や起立調節障害には 苓桂朮甘湯 麻黄附子細辛湯
→全身倦怠感やだるさには 補中益気湯
→不眠を訴える場合には 抑肝散
→生理周期の不調をうったえる場合は 当帰芍薬散
→胃腸の不調には 六君子湯
西洋薬の併用
→緊張型頭痛には ミオナール テルネリン
→片頭痛には デパケン ミグシス プロプラノール トリプタノール(三環系抗うつ薬)など
CGRP関連抗体薬を使用している症例もあるが、その場合は五苓散が補足的な立場となる
当院では五苓散が有効な場合が多く、CGRP関連抗体薬をそもそも導入していないことが多い
→めまいには メリスロン セファドール 内耳循環改善剤 など
低血圧や起立性調節生涯には リズミック メトリジン 交感神経重樹訳




2026-06-03 05:32:26
| コメント(0)