アリケイス適正使用の実際―適応判断と薬剤性肺障害への対応― 信州大学医学部内科学第一教室准教授 牛木淳人先生
前半部分のみ列挙
肺MAC症の基本 肺MAC症の診断 肺MAC症の治療
急増する肺NTM症 2019年 罹患率 14.7/10万人 有病率 29.0人/10万人 60-70歳 80歳以上多い
*非結核性抗酸菌症: nontuberculous mycobacterial infection, NTM)とは、結核菌とらい菌をのぞく抗酸菌(非結核性抗酸菌)による感染症のことである。非定型抗酸菌症とも呼ばれる
本邦の肺NTM症の原因菌別頻度 2652名
M.avium 54.0%
M.intracelluare 25.6%
MAC 9.2% 原因菌はMACが88.8%
*肺MAC症とは、Mycobacterium avium complex (通称MAC:マック)という菌による肺の慢性感染症です。主にMycobacterium aviumとMycobacterium intracellulareという2つの菌からなります。
MACは非結核性抗酸菌というグループに属しています。抗酸菌のうち、結核菌、らい菌を除いたものが非結核性抗酸菌に分類され、150種以上の菌種が含まれていますが、肺に感染症をきたす肺非結核性抗酸菌症はMACがおよそ9割を占めています。MACは、土壌や水回りなどの環境中に存在しており、結核菌とは異なり、人から人へ感染することはありません。
AMKに対してM.aviumの方が耐性化が高い
M.aviumとM.intracelluare の生命予後の違い
10年生存率 約80% 約60% M.intracelluare のほうが生命予後が悪い
肺NTM症の診断基準
以下のA Bの基準を満たすもの
A 臨床的基準 以下の2項目を満たす
1胸部CT HRCTが望ましい
結節性陰影 小結節性陰影や分枝状陰影の散布均等性陰影 空洞性陰影 気管支または細気管支拡張陰影のいずれかの所見
複数可を示す
2他の疾患を除外できる
B. 細菌学的基準 菌種の区別なく以下のいずれか1項目を満たす
1 2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性
2 1回以上の気管支洗浄液および肺胞洗浄液での培養陽性
3 病理組織検査 (経気管支肺生検または肺生検検体) で抗酸菌症に合致する所見を認め 組織または喀痰検体で1回の培養陽性
4 まれな菌種や環境からの高頻度に分離される菌は検体問わず2回培養陽性と菌種同定を原則都市とし専門家の見解を要
する
暫定的診断基準
1肺MAC症の初回診断時に限り 臨床的基準を満たし 1回の喀痰検体で培養陽性かつ抗GPL-core IgA抗体陽性
2臨床的基準を満たし 胃液検体で培養陽性の場合 喀痰検体で1回以上の培養陽性
付記
暫定的診断基準はわが国の基準であり国際ガイドラインでは認められていない
通常本疾患では検体採取には十分な時間的余裕があり 抗GPL-core IgA抗体 胃液を利用した診断は喀痰を得ることが難しい状況に限定すべきである
暫定的診断基準を満たした後も検体採取を継続し 国際ガイドラインの診断基準を満たすよう努める なお本暫定基準の妥当性については引き続き評価を行う
肺NTM症の胸部画像所見 自験例
線維空洞型 FC型
結節 気管支拡張型 NB型
空洞を形成するNB型が予後は悪い 空洞病変では菌量が多い
肺MAC症の治療
治療目標
喀痰培養陰性化
↓ ↓
進行の抑制 生存期間の改善
↓ ↓
入院 喀血などの⇔ 健康関連QOLの改善
イベント抑制
治療開始時期
肺MAC症の確定診断
↓
治療開始を検討するにあたり考慮する事項
年齢 自覚症状 喀痰塗抹 胸部画像所見 合併症など
↓
確定診断後治療を開始すべき症例 確定診断後慎重な経過観察でもよい症例
1自覚症状が強い症例(特に血痰、喀血) 副作用が懸念される高齢者
2喀痰塗抹陽性例 自覚症状がない、乏しい症例
3空洞を有する症例 喀痰塗抹陰性例
4陰影が広範な症例 陰影が軽度の症例
5陰影が悪化傾向である症例 合併症の予後が不良の症例
6免疫不全症例
3-6か月に1回程度の胸部X線フォロー
肺MAC症の全死亡予測因子 BACES Score
このスコアは5つの患者の特徴(BMI、年齢、空洞、赤血球沈降速度、性別)に基づいて算出され、
スコアが高いほど予後が悪いことを示す。
BMI 18.5未満で1点 年齢65歳以上で1点 画像で空洞性病変ありで1点 赤沈亢進 高値 で1点 男性で1点
4-5点 2-3点 0-1点
予後(10年生存率) 約20% 約60% 約95%
BACES Scoreの赤沈をCRP0.3で代用 BACCS Score
赤沈をCRPで代用しても有用な可能性がある
肺MAC症の治療
病 型
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治療レジメン
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空洞のない結節・気管支拡張型(重症は除く)
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A法かB法のいずれかを用いる
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A法:連日投与
CAM 800mg or AZM 250mg
EB 10~15mg/kg(750mgまで)
*RFP 10mg/kg(600mgまで)
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B法:週3日投与
CAM 1000mg or AZM 500mg
EB 20~25mg/kg(1000mgまで)
*RFP (600mg)
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線維空洞型
空洞のある結節・気管支拡張型
重度の結節・気管支拡張型
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A法+治療初期(3~6ヵ月)に以下を併用する
SM 15mg/kg以下(1000mgまで)週2~3回筋注
あるいは
AMK 15mg/kg連日 or 15~25mg/kg週3回点滴、TDMで調節
(50歳以上の場合8~10mg/kg週2~3回、最大500mgまで、TDMで調節)
必要に応じて外科治療の併用を検討
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難治例(多剤併用療法を6ヵ月以上実施しても細菌学的効果が不十分な患者)
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A法に以下のいずれかを併用する
ALIS 590mg/日吸入
あるいは
SM15mg/kg以下(1000mgまで)週2~3回筋注
あるいは
AMK 15mg/kg連日 or 15~25mg/kg週3回点滴、TDMで調節
(50歳以上の場合8~10mg/kg週2~3回、最大500mgまで、TDMで調節)
必要に応じて外科治療の併用を検討
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マクロライドは必ず他の治療薬と併用します
マクロライド耐性化の抑止とマクロライド耐性への対応
マクロライド(クラリスロマイシンあるいはアジスロマイシン)は肺MAC症治療のキードラックですが、単剤投与やエタンブトールを併用しないレジメンでの治療を避けるようにとされています
マクロライド耐性に関する記載
マクロライド耐性化の抑止
キードラッグであるマクロライド(CAMあるいはAZM)の耐性化を抑止することが重要であり、マクロライド単剤治療、マクロライドとキノロンやRFPなどEBを含まないレジメンでの治療を避ける。
マクロライド耐性の場合
EB、RFPあるいはRBTにアミノグリコシド(AMK点滴、SM筋注、難治例であればALIS)を併用する。CFZやシタフロキサシン(STFX)の使用も考慮されるが保険適用はない。



2026-06-04 02:22:52
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