在宅/施設ケアにおける肺炎予防 沖縄県立中部病院地域診療科部長 高山義浩先生
一部のみ列挙
高齢者の風邪 暮らしで看る 3つのポイント
発熱をコントロールする
高齢者は体温調節機能が低下している → アセトアミノフェンは躊躇せすに使用
さむがるときは温め、暑がるときは涼しく 飲みなれた総合感冒薬も使用してよい
粘膜を乾燥から守る
のどの痛みや鼻づまりで苦しんでいれば → 加湿器の使用 濡れタオルを干してみる
部屋の加湿や上気道の保湿で緩和する 暖かいん飲み物で喉を保温するのもよい
喀痰ごと細菌を排除する
喀痰は肺炎の病原菌を追い出す仕組み → 咳止めを使いすぎないようにする
痰をだすよう、過度に咳をするのも大切 風邪をひいているときこその口腔ケア
風邪の5つの症状を緩和するセルフメデケーション
熱 アセトアミノフェン→ 例 バッファリンルナ タイシノールA ノーシンAc カロナールなど
さむけ 葛根湯 桂枝湯 栄養ドリンク
のどの痛み アセトアミノフェン 桔梗湯 のど飴
鼻水・鼻詰まり 小青竜湯 鼻炎スプレー 抗ヒスタミン(前立腺肥大→尿閉 高齢者せん妄 に注意)
咳 麦門冬湯 はちみつ
誤嚥性肺炎 暮らしで防ぐ 4つのポイント
1刺激のある食事
温度や辛味で刺激をつける ぬるいお粥はリスク 食べる喜びが一番の予防
2食事姿勢と環境
食後1時間までは座位45度 できるだけ顎を引く 咳ができないなら会話
3定期的口腔ケア
食後は口腔内残渣を減らす 定期的に口腔ケアを続ける
4経管栄養の逆流防止
栄養剤投与時は上半身30度以上 投与速度と量を調整する
入院を要する市中肺炎の病原体(成人)
病原体の検出頻度
肺炎球菌 16.2% インフルエンザ桿菌 6.9% 黄色ブドウ球菌 4.9%
マイコプラズマ 2.8% 肺炎桿菌 2.8% 緑膿菌 2.5%
モラクセラ 1.8% クラミドフイラ 1.0% レジオネラ 0.8% 大腸菌 0.8%
↓
臨床上の重要ポイント
入院を要する市中肺炎においても肺炎球菌は最多であり、成人肺炎対策ではまず意識すべき病原体である
すべての肺炎ワクチンで防げるわけではないが、頻度の高い肺炎球菌を標的とすることは成人肺炎対策における重要な一手となる
肺炎球菌感染症 非侵襲性と侵襲性
非侵襲性 侵襲性
肺炎球菌感染症 中耳炎 髄膜炎 肺炎球菌感染症
副鼻腔炎 致死率 小児約8% 成人約22%
肺炎 血液中の肺炎球菌
致死率5-7% 菌血症 致死率 20% 高齢者では約60%
肺血症
肺炎球菌ワクチンの免疫作用機序
PPSV 肺炎球菌莢膜多糖体ワクチン PCV 肺炎球菌結合型ワクチン
抗体産生を誘導する 免疫記憶を定着させる
生成された多糖体抗原の反応構造 多糖体特異的B細胞がキャリア蛋白ごと取り込み
B細胞受容体を強く架橋し直接活性化 MHC Class2でペプチドを提示
蛋白抗原でないため、Tfh細胞のヘルプ得られにくい Tfh細胞からの強力なヘルプ(CD40L、IL-21)
主に辺縁帯B細胞などによるT細胞非依存性応答 胚中心反応の成立
↓ ↓
広範な抗体産生を誘導するが、免疫記憶は乏しい クラススイッチと親和性成熟により、強力な2次反応
免疫記憶と抗体の質
胸膜多糖体ワクチン PPSV 結合型ワクチンPCV
B細胞の親和性成熟 なし あり
メモリーB細胞の形成 なし あり
長寿命形質細胞 なし あり
臨床的意義
PCVを先に接種するとプライミング(免疫記憶の準備)になる。一方PPSVを先に接種すると
後続のPCVに対する抗体応答が鈍ることがあるため、接種の順番が重要
*PCV7導入後 → PCV13導入後 → 成人への影響
血清型19Aが薬剤耐性 血清型8、11A、15A/B/C 成人におけるIPDの主要な原因菌としておき変わる
伴って世界的に増加 22F 23A 33F 35Bが台頭
PCV15 PCV13に血清型22F、33Fを追加
PCV21 さらに8、10A、11A、12F、15Bを追加
PCV21のコンセプト
成人特化型設計 2025年8月本邦において21価排煙球菌結合型ワクチン:商品名キャップバックスが承認
従来のPCV 小児用ワクチンをベースに価数を拡大
開発当時から成人に残存するIPDを特異的に標的として設計された 初の成人特化型PCV
8つのユニークな血清型を含む
15A 15C 16F 23A 23B 24F 31 35B
これらの8つの血清型は米国の65歳以上の成人におえkるIPDの約30%を占める
カナダにおける血清型カバー率 日本
PCV15 39.8% 43.3%
PCV20 52.2% 59.6%
PPSV23 60%
PCV21 81.5% 72.3%
PCV21の臨床試験 省略も7つで有益性証明
有害事象PCV15と変わらずハイリスク患者におけるPCV21
1最広範囲カバー(薬剤耐性も)
2強力な免疫記憶
3重症化予防
4最大の利益
65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(2026年4月)
2026年4月以降の大きな変更点
定期接種で使うワクチンは PCV20(沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン)1種類のみ
それまで使われていたPPSV23(23価ポリサッカライドワクチン)などは「定期接種」としては使用しない
65歳未満 PCV20ワクチン 任意接種
PCV21ワクチン 任意接種
肺炎球菌ワクチン既接種者
1年以上あけて PCV20 任意接種
PCV21 任意接種
*60〜64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の重い障害やHIVによる免疫機能障害など、一定の基礎疾患があり日常生活が大きく制限される人
学会の考え方 まとめ
65歳になったら 基礎疾患の有無に関わらず、原則としてPCV20を定期接種として1回受ける
ハイリスク(心・肺・腎疾患、糖尿病、脾摘後、免疫抑制治療など)の人は侵襲性肺炎球菌感染症や重症肺炎のリスクが高く、接種の優先度が高い
過去のPPSV23接種歴があるか、PCV13などを受けたことがあるかを確認し、追加接種の必要性は専門医で個別判断
既に65歳を過ぎている人
定期接種の対象外だが、任意接種としてPCV20を検討
特に基礎疾患やフレイルがある場合は、かかりつけ医とリスク・ベネフィットを相談
国内で接種できるインフルエンザワクチン
不活化インフルエンザHAワクチン
定期接種できるワクチン 0.5mlを皮下注射 原則1回
高用量インフルエンザHAワクチン
60歳以上の者に1回0.7mlを筋肉注射する
海外の知見では標準用量に対する高用量ワクチンの発症予防の相対的な有効性は24.2%
副反応は発現割合は標準用量とくらべ若干高い傾向があるものの、その多くが軽度であった
経鼻弱毒性インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻薬)
2歳以上19歳未満の者に、各鼻腔内に0.1mlを1回噴霧する
なぜ高齢者へのワクチン接種か?
高齢者の感染症はいかに治療するかよりもいかに予防するかを重視する必要がある
身体的リスクの回避 環境的リスクへの対応
高齢者は感染しやすく、重症化しやすい特徴がある 現代社会では高齢者が集団で過ごす時間が長い
感染症はフレイルの負の連鎖の入り口となる 集団感染リスクに対する防衛策を高める必要がある
広域抗菌薬の使用を減らして、薬剤耐性菌を抑制する 一定の接種率を保つことで集団免疫効果を発揮する
生活習慣の保持+日頃の感染対策+ワクチン接種=健康長寿の社会




2026-07-04 06:31:54
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