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WEB講演会 7月4日

WEB講演会 7月4日

慢性膵炎診断の現状と課題~リパクレオンの臨床的位置づけ~
 
九州大学大学院医学研究院病態制御内科学分野准教授 藤森尚先生

一部のみ列挙
2021年慢性膵炎診療ガイドラインより(改訂作業中)
1病態・膵内外分泌機能
2治療 

   生活指導 薬物療法
          膵石に対する内視鏡診療

3慢性膵炎の経過観察 
    膵癌との関連を中心に

膵臓
消化酵素の分泌   ↓ 90%          ↓
                                外分泌          内分泌
                              に関与する組織           に関与する組織 血糖調節   
アミラーゼ 炭水化物            ランゲルハンス島 α細胞 グルカゴン
トリプシン 蛋白質                      β細胞 インスリン
リパーゼ  脂質
           
膵機能=膵外分泌能+膵内分泌能
Mechanistic Definitionに基づく慢性膵炎の概念モデル
発症リスク段階 →急性膵炎反復 →早期慢性膵炎 →代償性膵炎 →非代償性膵炎
慢性膵炎の臨床診断基準2019
慢性膵炎は遺伝的的や環境要因、その他の危険因子を有し、実質への障害やストレスに対して持続的な病的反応を生じる個人におきる。膵臓の病的線維化炎症症候群。進行すると、膵外分泌機能・内分泌機能の低下を
伴う。程度、分布、進行性は様々で不均一な病態

分類
アルコール性慢性膵炎
非アルコール性慢性膵炎 (特発性、遺伝性、家族性など)

膵外分泌機能不全
膵臓の外分泌低下により、膵臓から十二指腸に本来分泌される膵酵素が欠乏することによっておこる脂肪、たんぱく質、炭水化物の消化吸収障害を特徴とする病態の総称である。
脂肪便、下痢、脂溶性ビタミンの欠乏症や必須脂肪酸の欠乏症等の症状が生じ、最終的には栄養障害および体重減少を引き起こす。これらの症状はQOLを低下させるだけでなく、感染症などの危険因子にもなる

膵外分泌機能不全を呈する背景
              慢性膵炎   
                                        慢性膵炎の病態進行による膵細胞の線維化
膵接除後                        一部急性膵炎
膵機能低下         
膵外分泌機能不全      膵実質の壊死
              膵機能低下による
胃切除後           脂肪、蛋白質、炭水化物の  膵嚢胞線維症
膵外分泌機能の減弱                   膵細胞の線維化に伴う膵機能の低下
消化管ホルモン分泌の変動  消化吸収障害
  糖尿病                        膵癌
膵外分泌低下を伴う                   腫瘍による膵管の閉塞
糖尿病(膵生糖尿病)

膵外分泌機能不全のタイプ、メカニズムと疾患
タイプ         メカニズム             疾患・病態
膵実質の減少・喪失   膵酵素合成・分泌の低下       慢性膵炎
            重炭酸塩分泌の低下          膵癌
                              嚢胞線維症 膵切除後
他の要因        膵管閉塞による膵酵素分泌の低下   乳頭部腫瘍
            重炭酸塩分泌の低下         膵管狭窄 膵癌

膵外分泌機能不全の臨床症状
消化器系への影響              全身的影響    
腹部膨満感・腹鳴 鼓腸                 微量栄養素(脂溶性ビタミンA,D,E、K、ビタミンB12、必須脂肪酸の吸収不良)
浸透圧性下痢           視覚障害、夜盲症(ビタミンA、E、B12)
脂肪便              発疹(ビタミンA、E、B12、必須脂肪酸)
                 骨粗しょう症、骨減少症(ビタミンD)
                 神経系の影響(ビタミンE、B12)
                 凝固障害(ビタミンE)
                 貧血(ビタミンE、B12)
                 疲労、衰弱(ビタミンE、B12)
                 主要栄養素(タンパク質の消化不良、食物回避)
                 意図しない体重減少
                 サルコペニア

膵外分泌能検査
 1セクレチン試験
 2PFD試験(BT‐PABA試験) 現在、本邦で施行困難・・
 3便中エラスターゼ1    本邦で保険未収載
 4脂肪便、便中脂肪測
 
5血中膵特異的酵素の低下
PFD試験が難しい場合など膵外分泌機能不全をどのように診断するか?
膵外分泌機能不全は臨床的背景や血液検査により総合的に判断
栄養障害が顕在していない患者
アミラーゼ(正常下限のことも)リパーゼ
脂肪便及び脂肪便に関連した症状を伴う患者 脂肪便、便重量の増加 悪臭 下痢軟便 便の光沢 白色便等
膵機能検査により膵機能の低下がみられる患者 BT-PABA試験による膵外分泌機能の低下
消化障害を疑う患者   腹部膨満 鼓腸 食欲低下 

栄養障害が疑われる患者
下記の栄養パラメーターの低下 血清蛋白、アルブミン、総コレステロール、ヘモグロビン中性脂肪、
                      その他(ビタミンE、プレアルブミン、トランスフェリン、レチノール結合蛋白)
体重減少  

CQ3-1 慢性膵炎の病期の判定に画像検査は推奨されるか?
推奨 慢性膵炎の病期の判定に、US、CT、MRCP、ERCP、EUSなど画像診断は有用であり、行うことを推奨する
   推奨の強さ 強 エビデンスレベル C
早期慢性膵炎(3本以上の分枝膵管の不規則な拡張)

MRCP(3テスラ以上)=ERCP
早期慢性膵炎のEUS所見 4項目
分葉エコー 点状・策状高エコー 主膵管境界高エコー 分枝膵管拡張
複数あれば→外分泌機能低下ありそう

膵性糖尿病の特徴
真の膵性糖尿病(狭義)膵疾患発症に伴い、新たに糖尿病を発症する場合
広義の膵性糖尿病:もともとの糖尿病(主に2型糖尿病)が膵疾患発症に伴い増悪したもの
→膵癌発症や慢性膵炎の増悪が念頭にある
膵β細胞減少(インスリン分泌低下)+α細胞減少(グルカゴン分泌低下)血糖の乱高下 低血糖の遷延
膵外分泌機能を評価し、十分なエネルギー摂取+膵消化酵素薬の補充後に血糖コントロールを行う

頻度
イングランド
膵性DM>1型DM (10万人あたり2.59/年 vs 1.64/年) 2型DM(10万人あたり142.89人/年)
本邦の全国調査 狭義の膵性糖尿病 すべての糖尿病患者の0.8%

有病率は人口10万人あたり15.2人
原因疾患 慢性膵炎が最多 (40%)→ 膵癌(24.6%)
CQ4‐12 膵性糖尿病の治療にインスリン療法は推奨されるか?
推奨 膵性糖尿病において、インスリン依存状態であればインスリン療法を行うことを推奨する
   推奨の強さ 弱 エビデンスレベル C

CQ4‐12 膵性糖尿病の治療に経口血糖降下薬は推奨されるか?
推奨 インスリン抵抗性が疑われる、またはインスリン分泌能が保たれている膵性糖尿病に対して経口血糖降下薬投与を推
   奨する
   推奨の強さ 弱 エビデンスレベル D
   膵性糖尿病に対する経口血糖降下薬のエビデンスは乏しい
   膵性糖尿病の中にも2型糖尿病の要素を有する症例がある
   DPP4阻害、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害剤 膵炎や膵癌の発症リスクを増加させない

2021年以降のエビデンス
英国大規模リアルワールドデーター
7084名 タイプ3c(膵性糖尿病) vs 2型糖尿病 97227名
膵外分泌機能不全で層別化

結果
タイプ3c(膵性糖尿病)でも経口薬は有効 HbA1C低下
非膵性糖尿病 2型糖尿病と同等
膵性糖尿病あると効果が低下し中断が増える 膵性糖尿病かどうかが治療反応の鍵となる

韓国 膵性糖尿病例 66120例
SGLT2阻害剤 5113例 他の血糖降下薬 61007例
平均2.3年フォロー 4128vs4128例
結果 2型糖尿病と同様に心腎アウトカムを改善する可能性
   主要心血管イベント HR 0.69
   心不全入院       0.70
   末期腎不全       0.19
   全死亡         0.38

膵性糖尿病におけるメトホルミン デンマーク全国コホート 2009-2018
膵性糖尿病 3781例
 急性膵炎(PPDM-A) 2305例(61%)
 慢性膵炎 (PPOM-C)1476例(39%)
    ↓ メトホルミン
 重症低血糖 HR 0.41
 主要心血管 HR 0.74
 全死亡   HR 0.56
 心筋梗塞、脳梗塞、心血管死

慢性膵炎の治療 
生活指導 食事指導(成因や病期を考慮)
薬物療法 (鎮痛剤、蛋白分解酵素阻害剤、消化剤、胃酸分泌阻害剤)
内視鏡的治療 (膵石、膵管狭窄、仮性嚢胞、胆管狭窄、慢性疼痛など)→ERCP・EUS下治療
外科的治療 膵切除術  膵管減圧術

CQ4-7 慢性膵炎の治療に禁煙指導は推奨されるか?
    推奨の強さ 強 エビデンス C
    
慢性膵炎の発症・進行と喫煙が強く関連している
    断酒+禁煙が重要

早期慢性膵炎の前向き調査  本邦 2019年
   83人中4人(4.8%)が早期→慢性膵炎確診へ移行  2年間経過観察
   いずれもアルコール継続、喫煙歴あり
   有痛性の慢性膵炎 カモスタット投与 264人 4週間 疼痛スコアーの変化改善なし

CQ4-8 膵外分泌不全の治療に高力価膵消化酵素薬は推奨されるか?
    推奨の強さ 強 エビデンス A
    脂肪便や体重減少を有する膵外分泌機能不全に対して高力価膵消化酵素薬を投与することを推奨する

膵外分泌機能不全の栄養療法の基本
栄養療法の基本                    効果不十分な場合
高力価膵消化酵素薬補充を行ったうえで          酸性環境でのリパーゼ失活を防ぐ胃酸分泌
良好な栄養状態を維持するために十分な          抑制薬の投与を考慮
熱量、脂質を接取させる                 膵消化酵素薬の増量を考慮
熱量 標準体重×30-35kcal                必要に応じ、脂溶性ビタミン(A,D,K,E)
脂質 40-70g/日または全カロリーの30-40%        亜鉛などの不足分を補充
蛋白質 1.0-1.2g/㎏標準体重              他の疾患の除外を確認

膵性糖尿病を合併していえでる症例では、適切な熱量接取
十分量の膵消化酵と素薬補充療法を併用う

の血糖コントロールを基本とする
膵酵素補充療法の目的 
消化吸収不良の改善
消化不良に関連する症状の改善
(脂肪便、腹部膨満感、腹痛、腹部不快感などの改善)
栄養障害の予防、改善

           ↓
         症状改善による患者のQOLの向上
慢性膵炎 経過観察における課題
軽微な画像所見異常(早期慢性膵炎、小石灰化など)の取り扱い
膵癌ハイリスク症例の描出
至適modality・間隔は?
検査効率、医療、人的資源の問題
→ ガイドラインのアップデートにも期待

2026-07-05 09:40:17

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