知っておきたい上気道感染症の検査/診断/治療 長崎大学大学院医歯学総合研究科病態解析・診断学分野教授 柳原克紀先生
前半の一部のみ列挙
上気道炎の診療
風邪をひいたと訴えてきた患者
↓ ↓
↓ ↓ バイタルサインの異常 あり ⇒ 肺血症考慮
気道症状なし あり (頻呼吸、意識障害、低血圧)
気道感染症以外を考慮 ↓インフルエンザ流行時に
高熱 筋肉痛 関節痛 ⇒インフルエンザを考慮
↓ ↓
感冒:鼻、のど、咳 急性副鼻腔炎 急性咽頭炎:喉症状がメイン 急性気管支炎 :咳症状
症状が同程度 鼻症状がメイン (1週間以内)がメイン
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
↓ 軽症例 中等度以上 Red Flag 肺炎の鑑別のために考慮する所見
↓ 人生最大の痛み、唾も呑み込めない バイタルサインの異常
開口障害 嗄声 呼吸困難 体温38度以上
↓ ↓ ⇒扁桃周囲膿瘍 急性喉頭蓋炎 脈拍100回以上/分
咽後膿瘍 などを考慮 呼吸数24回/分
突然発症 嘔吐 咽頭所見が乏しい いずれか1つ
抗菌薬考慮 ⇒急性心筋梗塞、クモ膜下出血 または胸部検診所見の異常
頸部・椎骨動脈解離など考慮 ↓
Red Flag なし あり 上記所見なし あり
↓ ↓ GAS迅速抗原検査 胸部X線撮影
陽性 陰性
↓ ↓ 抗菌薬考慮 ↓ ↓
抗菌薬不要 抗菌薬不要 抗菌薬不要
感冒 抗菌薬の投与は行わない
急性副鼻腔炎 成人では軽症の急性副鼻腔炎に対しては 抗菌薬の投与は行わない
中等度または重症でのみ抗菌薬投与
成人における基本 アモキシリン5-7日間 経口投与
学童期以降の小児に対しては 遷延性または重症の場合を除き抗菌薬投与は行わない
遷延性または重症の場合の基本 アモキシリン7-10日間 経口投与
急性咽頭炎 迅速検査または培養検査でA群β溶血性レンサ球菌(GAS)が検出されない場合
は抗菌薬投与は行なわない
検出された場合 アモキシリン 10日間経口投与
*センタースコアー
年令<15歳 +1 年令>45歳 -1 発熱または悪寒 +1 咳の欠如 +1
扁桃腫大、膿苔付着 +1 前頚部リンパ節有痛性腫大 +1
1~3 溶連菌性咽頭炎の可能性 18% →迅速抗原テスト行う
4~5 溶連菌性咽頭炎の可能性 51% →抗生剤投与
急性気管支炎 慢性呼吸器疾患の基礎疾患や合併症のないばあい成人の急性気管支炎は抗菌薬投与は
行わない
A群β溶血性レンサ球菌による咽頭扁桃炎に対する経口ペニシリン・セフェムの比較
9ランダム化比較試験 2113患者
除菌効果 細菌学的失敗はペニシリンで約2倍高い
臨床的効果 セフェム970/1017例 ペニシリン918/1021例
臨床的治癒はセフェムのほうが有意に高い
A群β溶血性レンサ球菌および扁桃常在菌叢の除菌におけるペニシリンとセフジニルの有効性
ペニシリン20例 セフジニール(セフゾン)20例
A群溶連菌 11 3
α連鎖球菌 6 15
黄色ブドウ球菌 13 1
モラキセラ 8 2
インフルエンザ菌 15 2
赤字はβ―ラクタマーゼ産生菌
日本感染症学会 気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言 2022年12月
抗菌薬適正使用の手引きは基礎疾患のない、成人及び生後3か月以降の乳幼児を含めた小児
を対象にしている
↓
本提言では基礎疾患を有する等、上記に該当しない患者群を対象とした
基礎疾患などがあり、感染症の速やかな改善や重篤化への対応が求められる
A群β溶血性レンサ球菌(GAS)以外の原因菌(βラクタマーゼ産生菌)の関与
ペニシリン以外の抗菌薬投与を考慮する病態について示すことも抗菌薬適正使用の推進に必要である
急性鼻副鼻腔炎の治療
基本 ペニシリン系 アモキシリン オーグメンチン
例 セフェム系 フロモックス トミロン
レスピラトリーキノロン ラスビック ジェニナック クラビット
急性咽頭炎 扁桃炎の治療
基本 ペニシリン系 アモキシリン オーグメンチン
例 セフェム系 フロモックス トミロン
マクロライド系抗生物質
急性気管支炎に対する治療の考え方
1急性気管支 基礎疾患がない場合 または 軽微な基礎疾患の場合
例: •高血圧 •脂質異常症 •コントロール良好の糖尿病 など ⇒抗菌薬投与は原則不要
(注)ただし、マイコプラズマ、百日咳が 疑われる場合は抗菌薬を考慮
2基礎疾患がある場合
例: COPD、間質性肺炎、気管支拡張症、 結核後遺症などの慢性肺疾患 •慢性心不全 •コントロール不良の糖尿病 •慢性腎疾患(とくに末期腎不全) •免疫不全状態 など⇒ 抗菌薬投与考慮
基礎疾患がないまたは軽微 (成人)ウイルス性急性気管支炎 抗菌薬投与は推奨されない.
百日咳(成人)
EM(エリスロシン)経口1回400mg・1日3回14日間
CAM(クラリス)経口1回200mg・1日2回7日間
AZM(ジスロマック) 徐放製剤経口1回2g単回
* カタル期を過ぎてからの治療は咳の程度や持続期間に対する改 善効果はもたないが,周囲への感染を防止する目的で抗菌薬を投与する.
百日咳(小児) EM経口 1回15mg/kg・1日3回または1回10mg/kg・1 日4回14日間 CAM経口1回7.5mg/kg・1日2回7日間 AZM経口1回10mg/kg・1日1回5日間(保険適用外)
ウイルス感染後の細菌の二次感染(小児) 基本
AMPC経口1回10~15mg/kg・1日3回 その他の薬剤:以下を選択肢として考慮する. CVA/AMPC経口(1:14製剤)1回48.2mg/kg・1日2回
CDTR-PI(メイアクト)経口1回3~6mg/kg・1日3回
CFPN-PI(フロモックス)経口1回3mg/kg・1日3回
CFTM-PI(トミロン) 経口1回3~6mg/kg・1日3回
細菌性気管支炎 市中肺炎に準じた治療を行う.
第一選択薬
レスピラトリーキノロン ラスビック ジェニナック クラビット
第二選択
アジスロマイシン
CFTM-PI(トミロン) 経口1回3~6mg/kg・1日3回
スルタミシン(ユナシン) オーグメンチン




2026-07-06 06:53:08
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