肥満症治療のこれまでとこれからを循環器医と視点で考える 岡山大学学術研究院医歯薬域循環器内科学教授 湯浅慎介先生
肥満症の病態生理
肥満症のある人が減量しようとする時、体内では生物学的適応が起こることがほうこくされている
肥満症のある人が減量しようとする時
脳の食欲抑制作用の低下により、満腹感が低下し 基礎代謝が低下し
食欲が亢進する エネルギー消費量が減少する
このような生物学的適応により、肥満症のある人の体重減少と維持は、生活習慣への介入だけでは不十分な可能性もある
肥満症と循環器疾患
高血圧のリスクと肥満
83882名の看護師さん研究 10991-2005年
DASH食や運動は0.82――0.87倍に アルコール30g/日 1.51倍
BMI<23を1とするとBMI25‐29.9 2.56倍 BMI30以上は4.70倍 寄与度が大きい
心筋梗塞と肥満 Lancet2005
BMI↑腹囲↑ ウエスト/ヒップ↑ 1.5‐1.8倍に
心房細動と肥満 JAMA2004
5282名 15年フォロー
男性 10% vs 15%
女性 13% vs 5%
大動脈弁狭窄リスク JACC 2020
106996名 発症1208
90歳 BMI 35以上 15%
18.5‐24.9 8%
肥満と心不全 15年後 New Eng J Med 2002
BMI 18.5‐24.9 30以上
女性 5% vs 20%
男性 8% vs 10%
肥満と心不全
HFrEFよりHFpEFのほうがBMI25以上を境に相関する
心不全に併存するのは USA Nat Rev Cardiol 2017
2010年 → 2030年
肥満 30% 50% ↑↑
高血圧 30% 32%
糖尿病 18% 22%
心血管疾患 10% 12%
肥満は心血管疾患のリスクになる
肥満 → 内臓脂肪増加 → アディポサイトカイン異常 → 炎症、インスリン抵抗性、血管障害、血栓傾向 交感神経↑→ 心血管疾患リスク増加
肥満と患者において一定の体重減少が得られれば心血管イベントは減らせそう
LookAHEAD研究
米国16施設で施行された研究で、5145人の肥満あるいは過体重の2型糖尿病患者が対象。少なくとも7%の減量を目指して、カロリー制限と運動で生活習慣に強く介入。
一次評価項目は「心血管系による死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、狭心症入院」
(平均9.6年観察)。
体重減少は1年の段階で 8.6% 対 0.7% (介入群、コントロール群)、終了時点で 6.0% 対 3.5%
介入群は、HbA1cが低く、フィットネスが高くなっていた。介入群は、LDLコレステロール以外の心血管系リスクが全て減少していました。脳心血管系イベントに差なし(HR:危険率、 0.95)。
しかし 20%以上体重減少群では21%有意に脳心血管系イベントを減らした
↓
今までは一定の体重減少を減らす方法がなかった
外科手術 とインクレチン製剤
肥満症に対する治療
インクレチン製剤
インクレチンのヒト生体内での直接作用 (黒字は動物での結果参考)
GLP‐1 → 満腹中枢促進 中枢 食欲抑制は一過性 ← GIP
摂食量減少 代謝亢進
心血管イベント抑制 心血管 動脈硬化抑制?
(血管内皮細胞に多い) (大動脈 肺血管内皮)
インスリン分泌促進 膵臓 インスリン分泌促進
グルカゴン分泌抑制 グルカゴン分泌?
胃排出遅延 胃 腸 受容体なし
受容体なし 脂肪細胞 脂肪組織肥大 薬理学的濃度で脂肪減少
腎障害抑制 腎 受容体なし
受容体なし 骨 骨形成促進
体重関連におけるGIPとGLP-1の生物学的役割
GIP受容体およびGLP-1受容体は脳の領域を含む体の多くの部位に存在し 、食欲と満腹感を調節した
GIP受容体は脂肪組織にも存在して脂肪代謝を調節した (In vitro ラットで)
*内因性GIPと長時間作用型GIPR(チルゼパチド)アゴニズムの比較 以前の講演より
食後毎にインスリン分泌亢進 チルゼパチドでは薬理学的濃度でGIP伝達が持続的に活性化している
GIP分泌亢進
食後及び食間・空腹状態における内因性、チルゼパチドのGIPRアゴニズム
脂肪蓄積(内因性、TZP)
GIPRアゴニズム GIPRアゴニズム
食後 食間 空腹時
↓ 脂す肪細胞へ栄養素取り込み ↓ ↓脂肪細胞からの栄養素放出↓
膵臓 脂肪組織 膵臓 脂肪組織
グルコース依存性 TG加水分解 グルコース非依存性 脂肪分解
インスリン分泌 FFA 取り込み インスリン分泌 FFAやグルコース放出
Glucose 取り込み
内因性GIPは、食後状態でのみインスリンとともに脂肪細胞に直接作用し、脂肪細胞への栄養取り込みを
促進し、脂肪蓄積をもたらす
チルゼパチドは食後時間より空腹状態の時間の方が長いため脂肪分解をおこす
SURMOUNT‐J試験
チルゼパチドを肥満症の日本人に使った場合の減量効果や安全性を確認するための試験
対象:肥満症の日本人成人(BMI 27以上で関連疾患2つ以上、またはBMI 35以上で関連疾患1つ以上)
除外:糖尿病のある人は対象外
方法:3群に無作為に分け、週1回の皮下注射を72週間継続
プラセボ群(薬なし) チルゼパチド10mg群 チルゼパチド15mg群
全員に栄養・運動指導あり
主な結果 平均で―17.8%から22.7%体重減少
72週後の平均体重の変化率
プラセボ(薬なし):−1.7% チルゼパチド10mg:−17.8% チルゼパチド15mg:−22.7%
減量達成率の割合
5%以上の減量に成功した方:
プラセボ(薬なし):20% 10mg:94% 15mg:96%
20%以上の減量に成功した方:
プラセボ(薬なし):0% 10mg:39% 15mg:64%
各疾患に対する改善率(72週時点)
・耐糖能異常:93〜98%が正常化または著明な改善
・脂質異常症:72〜81%が改善
・脂肪肝:69〜77%で肝脂肪の著明な減少
安全性:副作用は主に胃腸症状
もっとも多く見られた副作用は、 吐き気 便秘 下痢
などの消化器症状。GLP-1系の薬剤に共通して見られるもので、多くは使用初期に起こった
重大な副作用は少なく、治療の継続が困難となった方はごくわずかでした。
メンデル無作為化研究
メンデル無作為化研究は、遺伝子の違いを自然な無作為割り付けのように使って、ある要因が病気の原因かどうかを調べる研究手法。メンデルランダム化研究や MR研究 とも呼ばれます。遺伝的変異を操作変数として使う因果推論の方法だと説明されています。
どう考えるか たとえば、ある遺伝子の型によってコレステロールが上がりやすい人と上がりにくい人がいるとします。
この遺伝子の違いは、基本的に生まれるときにランダムに受け継がれるので、生活習慣などの影響を受けにくい比較になります。そこで、その遺伝子差と病気の差を見て、コレステロールが病気の原因かを推定します。自然界の無作為化を利用する解析法だと説明されています。
例 LDLと心筋梗塞
LDLコレステロールを生まれつき低くしやすい遺伝子変異を持つ人は、冠動脈疾患のリスクも低いことが示されてきました。この結果から、LDLは単なる関連ではなく、原因側の要因らしいと判断しやすくなります。
冠動脈とGLP-1受容体遺伝子多型 Science Transl Med 2,016
血糖改善と独立した因子として冠動脈疾患を減少させた
血糖をさげる遺伝子変異 vs GLP-1受容体遺伝子変異 J Am Heart Assoc2022
GLP-1受容体遺伝子変異で心不全有意に低下
GIPの遺伝子変異 MASE 29%減少 心不全 41%減少
体重減少遺伝子変異 MASE 3%減少 心不全 13%減少 Eur Heart J 2026
肥満症の治療は循環器疾患に対してもベネフィットを有する可能性がある
睡眠時無呼吸においてCPAPは心血管イベントを有意に減少させるが、さらに体重減少は
CRP、インスリン抵抗性,TGを有意にさげる
チルゼパチドは体重減少により AHIを-27.4下げた SASの有意な改善
循環器内科医として見るべき肥満症の患者像
循環器疾患 併存疾患
心不全 肥満
冠動脈疾患 耐糖能異常
末梢動脈疾患 脂質異常症
脳梗塞 整形外科疾患
高血圧 肥満症関連腎臓病
SAS
非アルコール性脂肪性肝疾患




今日の甲子園
神村学園が東筑に龍頭汰樹投手の好投で勝利 このチームはこの投手にかかっている
私の推しの聖隷クリストファーは完封負け、注目の左腕、高部陸投手は9回1失点10奪三振と力投も、自責点0で無念の敗退、佐野日大のエース右腕、鈴木有投手の正確な外角へのコントロール(ストレート、スライダー)が冴えにさえた
あの投球ができれば次戦の相手・優勝候補の神村学園も負けるかも・・佐野日大のエース右腕、鈴木有投手に注目する
2026-08-07 04:52:54
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