その時、暮らしは変わる?災害急性期の生活変化と平時からの備え~循環器内科の立場から~
加納総合病院・ハートクリニック 循環器内科部長 頭司良介先生
30年以内に南海トラフ地震が起こる確率 60-90%
プレート型地震 100-150年に1回起こっている 1946年昭和南海地震が
巨大地震において想定される人的被害
死者数 負傷者数
阪神淡路大震災 平成7年 1月17日 6433人 43800人
東日本大震災 平成23年 3月11日 行方不明含む18517人 5927人
首都直下地震 都心南部直下地震を想定 23000人 72000人
南海トラフ地震 最も負傷者が多いパターン M7 323000人 623000人
東海地方が大きく震災する
南海トラフ想定 大阪 湾岸地域に死者数多く想定されている
→大阪府は大規模地震に対する新たな被害想定をまとめた。南海トラフ地震の死者数は約1万1700人で、防潮堤の整備などが進んだため、従来の想定に比べて約9割減少。
大阪市北東部 大阪医療センターがDMAT活動拠点本部
災害医療
供給 需要
医療資源 << 傷病者
災害医療の内科医の役割(循環器)
直後 外傷 ストレス関連循環器疾患
圧死 タコつぼ心筋症
溺死 突然死
1週間 肺塞栓症 感染症 精神疾患
高血圧関連疾患 外傷後 抑うつ
脳卒中 感染 PTSD
心筋梗塞 肺炎
数か月 大動脈解離 胃腸炎
数年 心不全 尿路感染症
超急性期 発災~24-72時間
主な特徴
人命救助が最優先 情報が錯綜し不確実 医療資源が極めて不足 混乱した環境での判断と行動
救助・トリアージ
救急医療活動(臨時救護所・DMAT)
情報取集・共有
物資・機材の確保
災害医療の基本原則
CSCATTT 災害発生後にとるべき行動である7つの基本原則
1 Command and Control (指揮と連携)
2 Safety (安全確保)
3 Communication (情報収集伝達) 組織体制 管理
4 Assessment (評価)
5 Triage (トリアージ)
6 Transport (搬送) 医療支援
7 Treatment (治療)
1Command and Control (式と連携)
合同調整本部
消防本部 大阪府庁 警察本部
↓
指揮本部
消防指揮本部長 医療責任者 警察現場責任者
↓
災害現場前線
救急・救助 医療チーム 警察官
中小隊長
2 Safety (安全確保) 最優先される最重要原則
1自分の安全+家族 2現場・状況の安全 3傷病者の安全
3 Communication (情報収集伝達)
情報収集手段 TV ラジオ インターネットSNS 防災無線
情報伝達/共有手段 掲示板 携帯電話 インターネット SNS 公衆電話
災害伝言ダイヤル/伝言板(171/Web171) 無線 衛星回線
院内スタッフ患者さん地域との情報伝達・共有
他医療機関 医師会 行政との連携
4 Assessment (評価)
自院の被害状況 電気水道ガスの状況 電子カルテ医療機器の状況 医薬品衛生材料の在庫状況
スタッフの状況
周辺施設の医療状況 災害拠点病院 避難所
5 Triage (トリアージ)
6 Transport (搬送) 医療支援
7 Treatment (治療)
急性期 24-72時間~1-2週間
主な特徴
避難生活の長期化 慢性疾患の増悪や感染症、精神的ストレスの増加
医療支援体制の再構築が進む 生活環境の整備が課題
衣 衛生面の悪化 防寒 防暑対策
食 炭水化物中心 塩分過多 ビタミン不足 蛋白質不足
住 電気 水 ガス 避難所 車中泊 トイレ 寝床問題
情報 情報不足・過多 デマ 誤情報
災害と心血管病
心不全
震災 → 精神的 肉体的ストレス
↓ (余震、感情変化、睡眠障害)
薬剤欠乏 ↓ ↓
塩分感受性亢進 ← 交感神経の活性化 抑うつ
塩分摂取増加 → 血圧の上昇 不整脈の増加
↓ ↓ ↓
心不全増悪
↑ ↑
感染 寒冷
心筋梗塞
タコつぼ型心筋症
たこつぼ型心筋症は、心臓の筋肉(心筋)の一部が一過性に動きにくくなる状態
左心室の先端側がふくらみ、根元側がよく動くことで、たこつぼに似た形になるとされています。
多くは時間とともに心筋の動きが回復することが報告されています。
主な症状
胸の圧迫感や強い胸痛 息切れや呼吸しづらさ 動悸や冷や汗、気分不良
原因は完全には解明されていませんが、次のような要因が関与
強い精神的ストレス(ショックな出来事など)手術や重い病気などの身体的ストレス
ストレスに伴う交感神経の亢進やカテコラミン急増
不整脈
脳卒中 被災後増加
高血圧 被災後 収縮期+18 拡張期 +8mmHg増加のデーターも
深部静脈血栓症 肺塞栓症も急性期に増加する
少しでもリスクを減らすために(深部静脈血栓症)
衣 活動しやすい服装 男性ストッキングの着用
食 脱水予防 塩分糖分アルコールの過剰摂取を控える
住 長時間の同じ姿勢を避ける 定期的に体を動かす 段ボール簡易ベッドを活用
DCAP予防スコアー
災害時循環器予防(DCAP:disaster cardiovascular prevention)リスク・予防スコア
年齢 75歳以上
家族 死亡 入院(伴侶、両親 または子供)
家屋 全壊
地域社会 全滅
高血圧 あり(治療中 または160以上)
糖尿病 あり
循環器疾患の既往 あり(脳卒中 心不全 心筋梗塞 狭心症)
4点以上ハイリスク群
DCAP予防スコアはSEDWITMP 8として示されます。主な内容は次の8項目です。
S 塩分を控える 睡眠の改善 6時間以上眠りましょう
E 運動をする 20分/日以上歩きましょう
D 食事改善(深部静脈血栓症を防ぐ) 食塩を控え、野菜・果物(K)多いもの
W 体重を測る
I 感染症を防ぐ マスク 手あらい
T 血栓を防ぐ 水分を
M 薬を続ける 予備を持っておく
P 血圧を管理する 140以上なら医師の診察を
目安
DCAPリスクスコアが4点以上の人では、予防スコア6点以上を目指すよう案内されています。
災害時薬剤確保の優先順位
カテゴリーA B C D
インスリン 抗不整脈薬 降圧薬 スタチン
ステロイド 抗血小板薬 COPD喘息薬 骨粗しょう症治療薬
パーキンソン病薬 抗凝固薬 経口糖尿病薬 胃腸薬
免疫抑制剤薬 心不全薬 精神科薬 尿酸低下薬
抗てんかん薬 甲状腺治療薬 睡眠薬 漢方薬 ビタミン薬




2026-09-26 06:13:28
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