今消化器内科医に求められる肥満症マネジメント 佐賀大学医学部肝臓糖尿病内分泌内科教授 高橋宏和先生
一部のみ列挙
MASLDとは
脂肪肝があることに加えて、心代謝リスク因子が1つ以上ある
アルコール(純アルコール男性30g/日未満女性20g/日未満)
心代謝リスク因子
BMI≧23
空腹時血糖≧100㎎/dl HbA1C≧5.7% or治療中
BP≧ 130/85 or治療中
TG>150 or治療中
HDL-C≦40(男性) or HDL-C≦50(女性) or 治療中
MASHは
MASLDから進行し、肝臓に脂肪の蓄積に加えて炎症と線維化(肝臓が硬くなること)が生じている状態
本邦のMASLDの有病率
2014-2018年 13施設 108446名
SLD 28.4%
MASLD 19.4% 糖尿病15% 脂質異常症 52% 高血圧33% 肥満症(BMI>25)併存している
MetALD 6.9%
MASH 1.5%(Fib-4から)
MASLDの病態
過食・肥満・糖尿病
↓
内臓脂肪蓄積慢性炎症 →肝外病変 心臓⇔腎臓
↓
遊離脂肪酸の流入
インスリン抵抗性 慢性炎症 → 肝線維化
↓ 肝星細胞活性化 CLIONE試験
脂肪変性 → エンドトキシン ↑ 全死亡率 (1000人年) は肝線維化なしor軽度で4.5、
肝硬変で24.2
MASLDの診断 遊離脂肪酸 → 風船化・炎症
酸化ストレス 脂肪性肝炎/治療適応
MASHの診断
MASLD診療ガイドライン2026
体重減少目標 期待される効果 解釈
BMI<25 3-5% 肝脂肪化の改善 非肥満MASLDでは現実的かつ安全な目標
25以上 5%以上 肝脂肪化の改善 最低限の治療目標
25以上 7%以上 炎症、肝線維化の改善 MASHや線維化リスク例ではより重要
肥満MASLD/MASH 10%以上 線維化改善が期待 達成は難しいため多職種・行動療法の支援が必要
達成は難しいため治療薬がゼップバウンド GIP/GLPの注射薬
SURMOUN-J試験
BMIが27 kg/m2以上35 kg/m2未満で肥満に関連する健康障害※1を2つ以上有する、又はBMIが35 kg/m2以上で肥満に関連する健康障害※1を1つ以上有する日本人肥満症患者※2を対象にチルゼパチド投与とプラセボ投与を比較した国内第3相試験
主要評価項目であるベースラインから投与72週時までの体重の平均変化率及び5%以上の体重減少を達成した被験者の割合の両方で、いずれのチルゼパチド群でもプラセボ群と比較して優越性を示しました
ベースラインから投与72週時
チルゼパチド 10㎎ 15㎎ プラセボ
体重変化率 ―17.8% ‐22.7% ‐1.7%
投与72週時に5%以上 94.7% 96.5%
7%以上 91.55% 94.74%
10%以上 85.92% 92.11%
15%以上 63.38% 82.89%
20%以上 39.44% 64.47%
体重減少達成した割合
GIPの最新知見
1脳内(オリゴデンドロサイト)のGIP-R刺激によってGLP-1の脳内への侵入を促進する Cell Metab 2025
オリゴデンドロサイトにGIP-受容体発現 これをノックアウトすると
↓
GIP効果減弱
(末梢の脂肪細胞やIRにも影響)
GLP-1効果も減弱
↓
GLP-1の脳内への移行にGIPが関与
2GIPが脂肪組織に与える影響 Diabetes Obes Metab 2026
GIPRはMature adipocyte(成熟脂肪細胞)に加えEndothelial Cells pericytes Stromal vascular Cells Myeloid Cellsに
作用
GIPRの活性化、脂肪組織への血流増加、食事由来脂肪の脂肪組織への運搬促進
間質細胞(Stromal vascular Cells)におけるGIPRシグナルは、脂肪細胞の分化と脂肪組織の拡張能を促進
Lipolysis抑制
GIPRは脂肪組織内のMyeloid Cells(マクロファージ系細を含む)に発現しており GIPシグナルは脂肪組織の炎症を抑制する
方向に働く可能性が高い。 肝内でも同様の作用が推定される
3GIPが脂肪細胞に与える影響の2面性 Cell Metab 2024
食後及び食間・空腹状態における内因性、チルゼパチドのGIPRアゴニズム
脂肪蓄積(内因性、TZP)
GIPRアゴニズム GIPRアゴニズム
食後 食間 空腹時
↓ 脂肪細胞へ栄養素取り込み ↓ ↓脂肪細胞からの栄養素放出↓
膵臓 脂肪組織 膵臓 脂肪組織
グルコース依存性 TG加水分解 グルコース非依存性 脂肪分解
インスリン分泌 FFA 取り込み インスリン分泌 FFAやグルコース放出
Glucose 取り込み
内因性GIPは、食後状態でのみインスリンとともに脂肪細胞に直接作用し、脂肪細胞への栄養取り込みを
促進し、脂肪蓄積をもたらす
GIPは脂質の安全な出し入れをマネジメントしている可能性




2026-09-30 05:59:31
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