HbA1Cを管理する、その先へ~対話が治療にもたらす変化~ かがやき糖尿病内分泌クリニック三宮院院長 岡田裕子先生
一部のみ列挙
目標とするHbA1Cを達成していない2型糖尿病のある人の割合
日本 49.2% JDDM基礎集計データー
米国 49.5% NHAMES基礎集計データー
欧州 46.4% GUIDANCE Study データー
なぜ達成できないのか:治療の壁
治療タイミングの遅れ 早期から十分な介入がなされていない
病態進行と患者の認識のずれ まだ薬にたよるほどすすんでいない
薬物療法に対する心理的障壁 副作用 低血糖への恐怖 ステイグマ
医療者側からの問題 低血糖に対する懸念 診療時間の制約
日本人病態的特徴 (治療の難しさ)
軽度体重増加でもインスリン抵抗性をきたしやすく、血糖悪化をきたしやすい
薬物療法に対する心理的障害
薬が増えるのは嫌です 面倒 よりも患者が感じていることは?
1慢性疾患の患者になること 社会的ステグマ 自己ステグマ 予期ステグマ
自分はもう健康な人ではないという意識
一時的な不調から一生付き合う病気に格上げされてしまう感覚
病気は恥ずかしいという価値観
家族や職場に悪化したと受け止められる 周囲からの干渉や避難 心配がふえることへの抵抗感
2自己責任と罪悪感 自己ステグマ
薬が必要になるのは自分の努力不足
もっと頑張れば薬にたよらなくて済んだのではという自己批判や後悔
今までの努力が否定されたように感じる
3自由が奪われる感覚
服薬や食事制限が生活に入り込むことへの抵抗
4費用負担への不安
自己負担額が増えることへの懸念
日本人におけるBMIおよび心血管代謝のリスク別のインスリン抵抗性
BMI23-25でもリスクファクター2つ以上の場合有意にインスリン抵抗性が強かった
BMI25以上(メタボリックシンドローム)では有意にインスリン抵抗性が強かった
チルゼパチドで目指す高質な血糖マネジメント
SURPASS‐J‐mono
チルゼパチドは持続型インスリン同様に空腹時血糖を低下させ持続型インスリンよりも食後血糖を低下させた
チルゼパチドはHbA1Cを低下させるだけでなく血糖を正常範囲にたもつ
TIR/TITRからみる治療効果 SURPASS‐3 CGM研究
2型糖尿病(メトホルミン±SGLT2阻害剤で治療中)
チルゼパチド 5㎎ 10㎎ 15mg もしくはインスリンデグルデグ(1日1回)投与行い7日間52週データー
TIR(70‐180mg/dl) チルゼパチド 5㎎ 10㎎ 15mg もしくはインスリンデグルデグ 有意差あり
TITR(71-140 mg/dl) チルゼパチド 5㎎ 10㎎ 15mg もしくはインスリンデグルデグ 有意差あり
低血糖も血糖変動もチルゼパチドで有意に抑制
治療効果を患者の利益に繋げるために―症例と対話から考える治療選択―
糖尿病の薬をやめたいと話された59歳男性 HbA1C7.1% BMI 28.4 随時CPR3.7pg/ml
51歳時に糖尿病指摘され治療開始。前医でダパグリフロジンが開始されHbA1C7%前半で推移
58歳時に当院へ転医
網膜症なし 腎症1期 血圧144/84
治療薬 ダパグリフロジン10㎎ プラバスタチン5㎎
併存疾患 高血圧 脂質異常症 代謝関連性脂肪肝 高尿酸血症 中等度頸動脈硬化症
週1-2回 スポーツジム 60分(筋トレとウオーキング)
1日3食 朝:自宅 昼 コンビニ弁当か総菜パン 夕 週2-3回会食
間食 1日1-2回 キャラメルやチョコレート
糖尿病の薬をやめたい
仕事で会食が多い
食事する店も相手にも合わせるので決められない まさか糖尿病だなんて言えないし・・・
なるべく食べないようにきおつけているつもりです。これ以上どうすればよいのか?
運動は心がけているのに体重が増える・・・
体がなんとなくしんどい 忙しいから仕方ないかな・・・
これ以上どうすればよいのかと・・ややいらだった様子
薬が必要=自己管理不足 という自己否定
努力しても改善しないことへの無力感
慢性的な心理的負担
糖尿病を周囲に知られることへの抵抗
症例はマンジャロ 5㎎開始し 体重6㎏減量 HBA1C5.9%へ
目標値への到達を超えて血糖が正常域に近づいたという実感が、患者自身の治療に対する認識を変化させた
気付き 食事量の変化をきっかけに、これまでの摂取量を自ら振り返る発言がみられた
活動性 HBA1Cや体重の変化とともに活動量も増え、歩行量も増加した
疾患管理 糖尿病を周囲に知られることへ抵抗が軽減し、同僚と治療について話すようになった
認知の修正・行動変容が自然に生じて自己効力感の向上につながった
話そうシートの活用
ダイアベテイスのある人が医療者に相談する前に相談したい内容を整理サポートします
話そうシート
治療について以下のうち当てはまる項目すべてにチェックをつけてください
治療効果(血糖など)がでていないと感じる
もっと自分に合う治療があるかどうか知りたい
薬の時間を守るのが難しい時がある
薬の副作用が心配だ
食事運動療法の効果のやり方がわからない
その他、治療することにあたりきになっていること
(例 最近、家族の介護が忙しくなった)
食事・運動、その他で治療のためにとり組んでいることを教えてください
(例 食事 脂っこい食事は少しにしている 運動 週末はウオーキングを30分している)
最近、興味のあること、やりたいことを教えてください
(例 毎週のドラマ、外食、推し活など 友人や子供と旅行にいきたい)
あなたの夢について
(例 日本中のお城巡り)
(例 そのために ウオーキングの回数を増やすこと)をやっています
医師と決めたこれからの治療と目標
(例 今まで ここは医師との会話の後
目標 医師と一緒にきめたことを記入しましょう)
患者の認識を知ることから治療選択へ
数値だけでは見えないもの
治療負担 費用 ステグマ 価値観 生活上の制約
説明するだけでなくどう受け止めているかを知る
医療者と患者の認識のずれを可視化する
↓
その時点で納得できる治療を選ぶShared Decision Making
↓
こんな時に活用しています
治療についての話し合いが平行線になっている
医療者の目標と患者が大切にしていることにずれを感じる




2026-10-01 05:17:03
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